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6/16

 お昼になりました。

 実は今日、お弁当を作ってこようかと思ってたんですが、止めになったんです。

 園内のレストランの割引クーポンがあるとのことなので、()()はそれを使おうって言ってくれました。

 ふふふ……()()はです。

 つまり、また誘ってもらえるという事ですよね?楽しみに待ってますからね、浩介さん。


 レストランは予想通りの込み具合なので、しばらく並んでから入りました。

 さて、何を食べましょう。私は好き嫌いなどは何もないのです。


「そういえば、クーポンってどんなクーポンなんですか?」

「ああ、これこれ。え~っと……」


 わぁ、思ってたよりたくさんあります。単品やセットメニューの割引と、ドリンク無料券とデザートの割引券があります。どうやら重複して使えるようです。サービスいいですね。


「俺はハンバーグ定食とコーラだな」

「私は……ミートドリアといちごオレにします」

「お?そんな少なくていいのか?」

「はい……後で、これ……一緒に食べませんか?」


 数あるクーポンの中から一枚選んで、浩介さんに見せました。デラックスいちごパフェです。一人で食べるにはちょっと大きそうなんですよね。


「ああ、いいぜ。デザートはそれ一つで良さそうだな」


 そして、料理が運ばれてきて食べ始めたのはいいのですが……。

 料理の見た目や味などに文句はありません。美味しいですしね。

 私がとても気になるのは……浩介さんの食べ方です。ハンバーグと付け合わせの野菜が地面にたたきつけた完熟トマトみたいに散らばってます。

 どうやって食べたらあんな風になるのでしょう。謎です。今度、最初からじっくりと見てみたいですが、最初から見てたら途中で止めそうです。


「浩介さん、ハンバーグ食べるだけで、なんでそんなに散らかるんですか?周りの席の子供たちの方が綺麗に食べてますよ?ハンバーグが可愛そうです。作ってくれた店員さんと生産者の方に謝った方がいいと思います」

「う……前にねーちゃんにも同じような事言われたぜ……ただ、清浦さんの方が効くな~」


 ああ……浩介さんを弄るのは最高です。大好きな人が素の私を受け止めてくれるのがたまりません。そして、あれだけ言われて満更でもない浩介さんは、普通じゃないです。


「という事は、反省してない上に全く成長してないんですね?」

「いや……決してそんなことはないと……思う」

「今、目を逸らしましたね?私の目を見てもう一度言ってもらえますか?」


 浩介さんをじーっと見つめます。

 ただ、浩介さんはちょっと目が合うとすぐに逸らしてしまいます。返事を聞くまでもなく有罪です。

 これは時間をかけて教育する必要がありそうです。

 私はいいですが、浩介さんが周りからそういう風に見られてしまうことが問題です。外見はいいのに、中身が残念っていう評価になりそうです。いや、普段から浩介さんを見ている人は、そういう風に思っているかもしれませんね。

 もしかしたら、浩介さんって……周りからそういう風に見られることに喜びを感じる人とかじゃないですよね?そこまでいってたら、私も計画を見直さなければなりません。


「あ~、俺の負けだ……ごめん、幻滅したか?」


 浩介さんがちょっと落ち込んでます。しょぼんとして可愛いです。隣に座ってたら頭を撫でてあげますが、残念ながら向かいの席なので届きません。


「いえ、そんなことないです。ただ、時間かかっても私が教育し直すので覚悟してくださいね」

「うおっ、マジか……お手柔らかに頼むぜ」


「お待たせしました~デラックスいちごパフェです」


 丁度いいタイミングでデザートが来ました。ふふふっ、美味しそうです。

 早速頂くことにします。浩介さんは、綺麗に食べ終わるまでお預けです。

 こういうものは別腹とよく言いますが、この量を一人で食べると太ってしまいそうですね。食べきれる量ではありますが、一応、浩介さんの分も入ってますから。


 ハンバーグを食べ終わった浩介さんが、欲しそうな目をしています。

 もちろんあげますが、浩介さん用のスプーンはありません。


「はい、どうぞ」

「えっ?」


 私がスプーンに乗せて浩介さんに差し出すと、驚いて固まってます。


「浩介さんがパフェを食い散らかすと私が困るので、一口ずつ食べさせてあげます。はい、あ~んですよ。拒否権はありません。どうしても拒否するなら、このパフェは全部私のものです」


 ちょっと躊躇してましたが、パクっと食べてくれました。餌付けしているみたいです。


「美味しいですか?」

「ああ……しかし、これはさすがに恥ずかしいぜ……」

「綺麗にハンバーグを食べない浩介さんが悪いのです」

「ねーちゃんにはこんなことされたことないからな~」

「私が初めてですか?私もこんなことするのは初めてですけど」

「そうだな~」


 ふふふ……浩介さんのハジメテいただきました。この調子で色んなハジメテを頂いていきます。もちろん、私のハジメテも全部あげます。

 そういえば……特に何も考えずに同じスプーンで交互に食べてましたが、よく考えたらこれって間接キスですよね。

 ああ、意識したら恥ずかしくなってきました。これもハジメテです。

 浩介さんはわかっていたのか、さっきから顔が赤かったです。

 でも、ここまで来たら最後までこのままいきます。頑張れ、私。



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