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遊園地って前に来たのっていつでしょう?小学生の頃、親に連れてきてもらった時以来でしょうか。
私は元々インドアな方ですし、こういうところに出かけるのも久しぶりです。
今日は四月の割には日差しが強いですね。日焼けは対策してるので大丈夫ですが思ったより暑いです。
ただ予想通りと言いますか、日曜日なので人が多いです。主に家族連れですが、カップルも結構います。私達もそう見えるといいのですが……。
気になるのは、家族連れでおそらく小学生か中学生なのですが、私より大人っぽいのはどういう事なのでしょう。私より子供っぽい人なんて、明らかに子供って感じの子ばかりです。
チラッと浩介さんの様子を伺うと、バッチリ目が合いました。何か言いたそうな顔してます。まさか、私がその辺の子供より子供っぽいとか言いませんよね?そんなこと言ったら絶対お仕置きします。
「なぁ、人多いし……手、繋いでもいいか?」
ちょっと照れながらそう言ってきました。私には断る理由もないので、もちろんOKします。
良かった、さすが浩介さん。私は信じてましたよ。
「はい、いいですよ。離さないでくださいね」
差し出された手を取って、しっかり握ります。温かいです。
「さて、どれから行こうか?比較的空いてるのは絶叫マシン系か……」
「絶叫マシンですか?大丈夫ですよ、行きますか?」
私はあまりそういうのに恐怖心はないので問題ないのですが、浩介さんの顔色が優れませんね。もしかして、こういうの苦手なんですかね?
「え?ああ……いいぜ……行こうか……」
私達が乗り込む番が来て、浩介さんの緊張がさらに高まった感じがします。ちょっとビクビクしてる浩介さんも可愛いですね……んんん?これって普通逆じゃないですか?
私が怖がって、浩介さんが平気な顔をしているのが王道ですよね。
む~、こういう駆け引きは難しいです。
乗り込む前に係員のお姉さんに、スカートが捲れないように気を付けてねって言われました。ああ、確かに絶叫マシンに乗るには最適な恰好ではないですよね。
浩介さんに見られる分には構いませんが、その他大勢に見られるのは嫌なのでしっかりガードしておきましょう。
そして、そんなことを考えている間に一周して戻ってきました。絶叫マシンは楽しむ間もなく終わりましたね。そんなわけで絶叫マシンの感想はありません、すいません。
浩介さんは顔が青いです。そんなに怖かったのでしょうか。こういう時、優しく声をかけるのがいいのですかね。
でも……ああ……ダメです……なんか弄りたくなってきます。
「浩介さん、そんなに怖かったのですか?顔色悪いですよ。お化け屋敷のゾンビの方がまだマシな顔してます。大きな身体してるのに色々と小さいですね。私より子供みたいじゃないですか…………あ…………ごめんなさい」
我慢できずに言ってしまいました……内容は私的には軽い方ですが……浩介さんにとってはどうでしょう。やっぱ引かれてしまいますよね……。
と、思って浩介さんの顔を見たら、なんかニコニコしてました。
「へへっ……やっと言ってくれたよな。仲良くなったら言ってしまうって言ってたからさ、ずっと待ってたんだ」
「え?でも……嫌じゃないですか?」
「そんなことないぜ?なんか、気持ちいいというかゾクゾクするというか……もっと言ってほしいくらいだな」
浩介さんって……やっぱり……いえ、考えないようにしましょう。
ただ、私とは色々と合いそうな予感がします。相性は大事ですよね。
「浩介さん……そんなこと言われたら……私、遠慮しませんよ?」
「ああ、いいぜ。なんとなく、清浦さんは俺のねーちゃんとウマが合うかもしれねぇな~」
「浩介さんのお姉さんとも会ってみたいです」
「そのうち会えるかもな~でも、二人で協力して攻めてくるのは無しにしてくれよな。それは俺がもたねぇし」
そんなこと言われたらするに決まってるじゃないですか。実は浩介さんもそれを望んでるんですよね?わかります、任せてください。
「はい、ほどほどにしておきます。あ、でも……本当に無理な時は言ってください」
「そうだな、その時はどうするんだ?」
「浩介さんのお姉さんと情報を共有します」
「げ!それは勘弁してくれって」
ふふっ。浩介さんのお姉さんってどんな人なんでしょうか?また一つ、楽しみができました。
でも……浩介さんが受け入れてくれて良かったです。ちょっぴり変態さんでも変人さんでも、私が好きなことに変わりはないのでいいです。
むしろ、普通の人は浩介さんを争うライバルにならないかもしれないので、私としては大歓迎ですね。
また一つ、浩介さんとの距離が縮まった感じがします。