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 12月になると、クリスマスが近くなってくるからか、周りの生徒達の雰囲気が変わってきました。

 みんな、それまでに彼氏彼女が欲しいんですよね、わかります。

 今年のクリスマスは、優希さんの部屋で四人でクリスマスパーティーをすることになりました。

 夜は浩介さんの家にお泊まりです。むふふ……今から楽しみです。


 それはいいのですが、ここ最近、昼休みに私がいつものように浩介さんの教室へ向かおうとすると、視線を感じるようになりました。帰ってきてからも一緒です。

 最近は自分の席に座ると、決まって後ろから声が聞こえます。


「いいなぁ、いいなぁ……なっちゃん、いいなぁ……」


 穂香さんです。私が浩介さんと優希さんと一緒に昼食を食べるのが羨ましいそうです。

 遊園地での遭遇以降、なんで付き合わないのか不思議なくらいラブラブなんですが……関係は変わってないそうです。

 そして、最近私の精神を汚染していくのが、穂香さんの呟きです。確実に私の生命力を削っていきます。可愛いだけに余計たちが悪いです。


「もう……穂香さん、そんなに羨ましいなら一緒に行きますか?」

「……行きたいけど、ユウ君に迷惑かかるし……」


 確かにいきなり穂香さんが加わったら、かなりの騒ぎになりそうですね。私と浩介さんは知っているからなんの問題もないですが、他の人から見たら、優希さんと穂香さんは全く接点がない関係です。

 それなのにいきなり穂香さんが、他のクラスの男子の所で一緒に同じお弁当を食べるなんてことになったら……私がその場にいなくて遠くで見てるだけなら、とても面白そうなので大歓迎なのですが、間違いなく巻き込まれるので勘弁してほしい部分もあります。


「じゃあ、さっさと付き合って、恋人同士になればいいじゃないですか……そうすれば、何の気兼ねもなく堂々と一緒にいられますよ」

「それはまだダメなの……とりあえずクリスマスまで……」


 という事は……これがまだしばらく続くわけですね……私が可哀そうです。誰か代わってください。


「なっちゃん……ダメだったら慰めてね……」

「いやいや、ダメになるような理由なんて何もないじゃないですか?」

「そんなことないのよ~」

「むぅ……なぜそんなに自信ないんですか?毎日、家でキスやらなんやらしているんですよね?」


 周りに聞こえないように小声で会話します。みんな知りませんからね。


「なんやらって……キスしかしてないよ?」

「……じゃあ、もっと先までしちゃったらどうですか?」

「もっと先って?」

「最後までするのが難しいなら、一歩手前までくらい?」

「それって、脱がないとダメ?」

「もちろん、脱いだ方がいいです」

「……それは……ちょっと…………無理……恥ずかしい……」


 穂香さんは何とも言えない微妙な表情で言いました。恥ずかしい以外にも何かあるんでしょうか?


「それなら、優希さんの方をしてあげたらいいんじゃないですか?穂香さんみたいな美人と毎日キスして抱き合っているのにそれ以上が全くないなんて……生殺しもいいとこです。きっと、毎回穂香さんが帰った後に、自分で処理していますよ?」


 浩介さんもするようになるまではそうだったみたいです。私もしてましたし……まぁ、今もよくしてますけど。

 穂香さんは全くしないそうです。クラスの女子は大体半々ですかね、私だけが知っているマル秘情報です。


「えっ?そうなのかな……抱き合ったときに、お腹に何か当たってたのはわかるけど……」

「それです、それ! それを穂香さんがやってあげればいいんですよ。手とか口とか使って……」

「……ん? なっちゃん、手とか口を使って、何をどうしてあげたらいいの?」

「……穂香さん、わざと言ってます?」

「え?何の事?」


 冗談かなと思いましたが、穂香さんの表情からするとマジですね。こういう話題は耐性がないので、すぐに顔が赤くなってわかりやすいのですが、それがありません。

 まさか穂香さんが全くそういう知識とかがないとは……これは楽しみです。あとでじっくりと知識と練習方法を教えておきましょう。


「穂香さん……後で時間下さい。しっかりと教えますので……」

「う、うん……お手柔らかにね……」


 後でエッチな話だとわかった穂香さんは、終始真っ赤になりながら聞いていました。優希さんのためですよって言ったら真剣に聞いてくれる姿は可愛いです。ちょろいですね。

 ただ、一度に色々詰め込みすぎたせいか考えすぎてしまって、いざ優希さんを前にするとできなかったそうです。む~残念です。早く穂香さんと、お互いのそういう話ができるようになりたいですね。

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