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むふふ……今日は楽しみにしていた遊園地です。
もちろん、浩介さんと一緒です。ここに来るのは三回目ですね。
何回も来ると、浩介さんも絶叫マシンに少し耐性ができたようで、普通に乗ることができて楽しいです。
でも、浩介さんを弄れないのは残念ですよね。そういう面では楽しみが一つ減りました。
お化け屋敷では、浩介さんの腕に抱きついて、思いっきり胸を押し付けながら歩きました。
浩介さんのにやけた顔と、驚いて青くなった顔が交互に見られて良かったです。
そして、後でクレープを食べるために軽めの昼食を済ませた後、クレープを買っている穂香さんを発見してしまいました。
向こうはこちらに気付いていません。
「ちょっと浩介さん、こっちに来てください。穂香さんに見つからないように」
「え? ああ……あれって一ノ瀬さんか……横にいるのは……誰だ? 噂のいとこの人か?」
「ん~どこかで見たことあるような気がします」
いとこの人とお揃いの服着て遊園地来ますかね~?
それに穂香さん、腕組んでますけど……胸がめり込んでるじゃないですか。くっつきすぎですよ。
ん~? 優希さんが好きなんじゃなかったんですか? もしかして、二股? まぁ、穂香さんなら1ダース股とかでも余裕だとは思いますけど。
そのまま見てたら、今度は買ったクレープをベンチに座って食べさせ合ってます。男の人の顔は見えませんが、穂香さんは楽しそうですね。表情が蕩けてます。周りのカップルの男性が見とれて、相方に殴られたりつねられたりする事件が多発しています。あの表情は反則ですよ。
浩介さんはと言うと、何やら真剣な顔して考えてますね。一緒になって見とれていたら、ちょっとだけ握り潰してあげようかと思いましたが……さすが私の浩介さんです。
「あ! ナツ、あれ……優希だ!」
「ホントですか!?」
浩介さんに言われてよく見てみれば、確かに優希さんっぽいです。髪型変えて、眼鏡かけてますから大人っぽく見えます。
普段からあんな感じにしてたら、結構モテるんじゃないですかね?
さて、これから私達がどうするかですが、このまま見逃すという選択肢はないですね。ただ、普通に声をかけたのでは面白くないです。
確実に優希さんだと確証を得てからにしたいです。
「電話をかけてみましょうか」
「よし! じゃあ、俺がかけるぜ」
「ダメです! 浩介さんがかけても、穂香さんとラブコメするのに忙しくて出てもらえないと思います……なので、私がかけます。優希さんには電話はしたことないので、逆に出てもらえると思いますよ」
「おお、そうか~なるほどな~」
というわけで、優希さんに電話をかけました。
優希さんらしき人が携帯を取り出して、穂香さんと確認して電話に出ました。確定です。
「もしもし、優希さん、大変です! 今、私の目の前に火傷しそうなくらいアツアツでラブラブな二人がいるんです! そこら辺のカップルより密着してて、お揃いの服着て、先ほどクレープ食べさせ合ったりしてるのを見てたら、もうお腹いっぱいって感じなんですけど……私の知的好奇心を満たすためにあえてお電話しました。優希さん、穂香さん」
電話しながら二人の後ろまで行ったところで、二人が振り返りました。私は、それはもう最高の笑顔で迎えてあげました。
「あ……なっちゃん……あはは……ユウ君、バレちゃったね……あ」
「ゆう……」
「君……だと?」
優希さんと穂香さんが、しまった! って感じの表情してますが、私と浩介さんもかなり驚きました。
ユウ君ですか……これはこれは仲がよろしいようで何よりです。私も浩介さんもニヤニヤがとまりません。
これは浩介さんとのデートを一時中断してもいいくらいの案件です。
二人の奢りでカフェに来ました。クレープは先ほどのやり取りを見ていたらお腹一杯なので、スーパーデラックスジャンボイチゴパフェなるものを注文しました。
どうせ名前負けのサイズのパフェが来ると思っていたら、私の顔より大きなパフェが来ました。
む~……こういうのは別腹なんですが、ちょっと太ってしまいそうなので、穂香さんとシェアすることにします。でも、苺は全部私のものです。
二人から色々と事情聴取した後の別れ際に、穂香さんに今日はキスくらいはするように言っておきました。
相変わらずこれくらいで赤くなる穂香さんは可愛いですね。
後日、穂香さんからキスと告白したことは聞きましたが、まだ付き合ってないらしいです。しかも、穂香さん側がとめてるとか。
なんでなんですかね? 付き合うと何か具合が悪いことでもあるのでしょうか?
まさか、やることやってから付き合うかどうか決めるとか? 相性は大事ですが、穂香さんがそんな感じだとは思えません。
私にはわかりませんが、何かあるのでしょう。
私達はもちろんやることやってますよ。
今日はあのカップルにあてられたので、観覧車で浩介さんに色んな口撃をしました。普段は分厚い鎧を着てますが、口撃の時は鎧を着ないので弱いです。
今回の遊園地は、浩介さんとたくさんキスして終わりました。控え目に言って最高です。