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う~ん?
なんかおかしいんですよね。何がって言うと、穂香さんです。
どこがおかしいのかと聞かれても、よくわからないのですが、何かがいつもと違う気がします。
パッと見た感じはいつもと変わらないんですが……相変わらず見ているだけでため息が出そうなくらい美人ですし。
「ん? なっちゃん、どうかしたの?」
あ~、ちょっと見すぎました。こうなったら聞いてみるのが一番ですよね。
「ん~、穂香さん、最近何かありました?」
「え?……そうね……これと言って特に何かあったってことはないかな~どうして?」
「なんとなくいつもと違う感じがしたので……」
「……そう? 私はいつもと一緒だと思うよ?」
「そうなんですね」
気のせいかなと思っていましたが、穂香さんはとんでもないことを隠していました。
その次の日曜日、浩介さんと一緒に優希さんの家に遊びに行くことになりました。
優希さんは一人暮らししているのですが、料理と掃除ができないというポンコツな面がありました。
浩介さんによると、とても部屋に入れるような状態じゃないとのことでしたが、この度、掃除が完了したとのことです。
ちなみに浩介さんは、掃除だけはしっかりできます。明美さんの教育の賜物だそうです。
浩介さんと一緒に優希さんの住むマンションに来ました。あ、このマンションって穂香さんも住んでるマンションですね。何回か遊びに来たことあります。
優希さんの部屋の前に来ると、浩介さんがインターホンを鳴らしました。
「オッス、ゆう……き?……あれ?」
ドアが開いたと思ったら、浩介さんが固まりました。何かあったのでしょうか? 実はまだ、掃除が終わってないとか?
とりあえず、目の前の浩介さんが邪魔で見えません。
「浩介さん、どうしましたか?入るなら早く入っ……」
私はそういいながら、浩介さんの身体の横から覗きこみました。
そして、私も浩介さんと同じように固まりました。
「待っていたわ。さあ、中に入って」
あれ? 穂香さん? 私達、部屋間違えてないですよね?
「なぁ、ナツ……一ノ瀬さんがいるな」
「はい……穂香さんがいますね」
私達は何がなんだかわからないまま、部屋の中に入りました。中には優希さんもいます。
二人からこの状況の説明を受けましたが、驚き以外何もないですね。
浩介さんなんて締まりのない顔が、更に酷いことになってます。
優希さんは微妙な表情をしていますが、穂香さんはニコニコしています。
なるほど、仕掛人は穂香さんでしたか。
昼食を作るというので、私も手伝うことにしました。
穂香さんと一緒に料理するのは初めてですが、ホントに同い年ですか? お母さんと料理してるみたいです。
私も料理はそれなりに自信ありましたが、一撃で打ち砕かれました。
「……穂香さん、なんでそんなにできるんですか?」
「えっ? あまり考えたことないけど、毎日してるからじゃないかな?」
確かに穂香さんは毎日お弁当も自分で作ってきてますし、朝も夜も自炊してるみたいですからね。
若くして経験値が違うわけですか。
「なるほど……ところで奥さん、優希さんとはどこまでいったんですか?」
「ちょっと、奥さんって……相沢君とはそんなんじゃないって……どこまでって、買い物くらいしか行ってないよ?」
なんと! まさかの返事に思わず手元が狂って、ケガをしてしまいそうでした。
そのどこまでいったじゃないんですけど……。
「いえ、あの……そうじゃなくてですね……」
「ん?他に何か意味があるの?」
むむ~穂香さん、わざと逃げてるのかと思いましたが、マジな反応ですね。
ふふっ……後で色々聞かせてもらいましょう。
そんなことを考えていたら、いつの間にか料理が出来上がってました。穂香さん恐るべし。
私と穂香さんで作った料理は、食べるの専門の二人がしっかり食べてくれました。
食べ終わってすることと言えば、穂香さんへの聞き取り調査です。
休みの日に朝から晩まで一緒の部屋で過ごして、ずっと勉強してるとかありますか? どんなに真面目なんですか。
とりあえず、穂香さんを空き部屋に連行して聞いてみることにしました。
「なっちゃん、どうしたの?」
「穂香さん、もう一度聞きますが、優希さんとはどこまでいったんですか?」
「えっ? さっきも言ったけど、買い物くらいしか行ってないよ?」
やはりマジで話が通じてませんでしたか。
それなら身体に直接聞きましょう。
「そういう意味ではなくてですね……こういう事はしてないんですか?」
そう言いながら、穂香さんの胸を鷲掴みしました。くっ、相変わらず大きくて羨ましいです。
「ひゃっ! なっちゃん、そんなに揉まないで……そんなことは何もしてないって……」
「じゃあ、キスくらいはしてますか?」
「え? えええええぇぇっっ! キスなんてするわけないじゃない!……もしかして、どこまでいったってそういうこと?」
「はい、そういうことです」
穂香さんは意味を知って恥ずかしくなったのか、赤くなってしまいました。どうやら、この手の話は得意ではなさそうですね。
「穂香さんは、優希さんの事が好きですか?」
「ええっっ! それは……その……」
「あ~はい、わかりました。好きなんですね」
「うん……」
穂香さんは分かりやすく頬を染め、恥じらう素振りを見せています。めっちゃ可愛いです。つられて私も赤くなってしまいます。
「優希さんはあんなんですから分かりにくいですけど、好意は持ってるはずですからもっと押していかないと……」
「え~っ……そんなこと……」
「ありますから。大丈夫ですよ。この身体も最大限に活用してください」
「身体を利用って……それよりも、なっちゃん……そろそろ揉むのやめてほしいんだけど……」
「むぅ~名残惜しいですが仕方ないです」
なんとなくですが、玲さんの気持ちがわかるような気がしました。
でも、穂香さんと優希さんですか……この事は今はまだ、私の中にしまっておきましょう。