表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/16

12

 7月になると、暑い日ばかりになってきました。私は暑いのはそれほど苦手でも嫌いでもないですが、夏場の男性の視線は嫌です。

 なんというかあからさまですよね。顔見て胸見てスカートの裾の辺り見て……クラスの女子達の間でも、話題になっていて誰々がヤバいとかは共有してます。

 知らないのは男子だけです。

 でも、私達も勝手なもので、好きな人に見られる分には構わないのです。逆に見てほしいですし、他の女子のそういうところは見てほしくありません。

 男子からしたら理不尽かもしれませんが、現実はそんなものです。


 浩介さんとも順調です。

 明美さんと浩介さんの速射砲問題で盛り上がったのですが、浩介さんは自分でエネルギーを充填する場合はそれなりに時間がかかるそうです。


 私も別のまだ修行中の、言葉が話せる方の武器を使っても、カップラーメン作るくらいの時間はかかります。浩介さんに弾を込めるときにも使います。大体、リロードは二回までです。

 あまりやりすぎると、浩介さんが白旗を上げます。でも、そういう時の悶える姿が大好きです。もっとしたくなります。


 浩介さんの耐久力は、最初よりは慣れてきたので上がってきていますが、それ以上に私の方が成長しているので、相変わらずの紙装甲です。

 浩介さんが頑張って攻撃してきますが、噛まなくても溶けてなくなってしまうお菓子のように、私は受け入れるだけで何もしなくても勝ってしまうのです。

 それに関しては、明美さんが案をくれました。それに従って、浩介さんに今までより分厚いのを被せてます。これによって、すぐに溶けることはなくなりました。

 私も浩介さんにもっと喜んでもらいたいので、色々練習しているのですが、ちょっと力を入れたりすると浩介さんを倒してしまいます。

 浩介さんによると、別の生き物がいるみたいで立ち止まってても襲ってきてやられるそうです。明美さんに聞いてみたところ、どうやら私がすごいらしいです。浩介さんは私じゃないと満足できないようになるだろうということなので、その通りになるように頑張ります。


 やっぱり私は同級生の女子たちよりもエッチだと思います。元々、知識が先行していた分、余計かもしれません。浩介さんはというと、男子高校生らしく性欲も結構あります。

 ただ、身体がついてこないので、そっちに頼らない技術を頑張って磨いています。目標は私が抗えないくらいのテクニックを身につけてもらうことです。まぁ……先は長いです。私達はまだ回数的にもしれてますからね。

 いつかその日が来ることを楽しみに待ってます。


 昼休みになると、そんな浩介さんの元へ向かいます。お昼ご飯を一緒に食べるためです。


「こんにちは、浩介さん、優希さん」


 浩介さんの所には、もう一人男子生徒がいます。相沢優希(あいざわ ゆうき)さん。浩介さんの親友であり、私のお友達です。

 私は常々、興味がない男子生徒とはあまり関わらないようにしているので、優希さんは唯一の男友達です。浩介さんは恋人ですから。

 優希さんは目立たなくて地味な感じの印象を受けます。常に目が前髪で隠れているせいでしょうか。でも、顔は整っていますし、よく見ると腕とか首回りとかすごい筋肉です。浩介さんは至って普通な感じなので、近くで比べるとよくわかります。

 何となくですが……わざと目立たなくしているような気がします。


「優希さんはまたパンですか……」

「ん?ああ、そうだな……今日は新商品だからいつもと違うやつだ」


 優希さんは一人暮らししているそうですが、料理はできないみたいで、いつも買ってきたパンを食べています。そんなんでなぜ一人暮らししているのかわかりませんが、何か家庭の理由とかがあるのでしょう。

 そして、優希さんはいつもこんな感じです。例え浩介さんの友達であっても、私の事を最初からいやらしい目で見てくる人は無理です。

 でも、優希さんはそういう事もなく、良く言えば紳士的な感じでした。単純に私に興味がないだけかと思いましたが、他の女子に対してもそうなのです。

 話しやすいのと、私の毒舌もサラッと流してくれたり、気を使わなくていいこともあり普通に仲良くなりました。


「優希は……モグモグ……毎週、そんなこと……んぐんぐ……言ってるよな」

「浩介さん……私、昨日も食事中に食べ物入れたまま喋らないように言いましたよね?もしかして聞こえていませんでしたか?耳が腐ってきました?それとも、脳まで届いていませんでしたか?」


 浩介さんの事は大好きですが、こういうことは別です。今後のためにもしっかりしてもらわないといけません。


「うっ……それは……」

「しっかり覚えてもらうために、脳に刺激が必要ですね。玉子焼きを交換しましょう」


 そう言って、浩介さんのお弁当から玉子焼きをもらって、私のお弁当から特製の玉子焼きを浩介さんにあげました。

 私の手作りの玉子焼きですが、浩介さんの顔色が優れません。

 私は普通の人が悶絶するくらいの、()()辛い物が好きです。自分でお弁当を作るときは、気が向いた分だけ辛目の味付けをします。そのため、見た目が赤くなりがちなのが欠点です。

 今回の玉子焼きは青唐辛子を使っているので、色は綺麗です。食感のアクセントになるよう、真ん中に一本巻いてます。


「浩介、赤くないから大丈夫じゃないか?中の一本だけだろ?」


 優希さんがニヤニヤしながら言ってますが、そんなことないです。青唐辛子のスープで出し巻き風にしてあります。

 多分、優希さんも唐辛子が一本巻いてあるだけの玉子焼きではないことに気付いています。


「そうだな……よし……」


 玉子焼き一切れは小さいので、覚悟を決めて一口でいってくれました。冷えているので、最初はそんなに辛さを感じないからか、普通に食べて飲み込みましたが、次の瞬間――


「ふおおおおおおおぉっっ!……おおおっ!…………辛っ!…………水!……水!」


 ジュースを飲み干して息を整えます。

 以前、浩介さんは自分で辛い物は結構得意と言っていたので、私のお弁当の中から唐揚げをあげましたが、同じような反応でした。

 それ以降、何かやらかした時はこれを与えます。お弁当を私が作っていく場合もありますが、何もない時は普通の味付けです。

 今回も辛いとわかっていても食べてくれる姿は素敵です。ご褒美にキスしてあげたいですが、周りにたくさん人がいるので我慢です。

 このクラスの人達も、私達を温かく見守ってくれているので嬉しいです。優希さんによると、浩介さんが私に弄られるのが面白いという事みたいです。


 いつの間にか、私の昼休みはこんな過ごし方が基本になっていました。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ