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死獣神~誕の書~  作者: 天馬光
20/23

闇への崩壊(1)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。

 龍と黒龍。2人の壮絶な戦いは得物を得たことでより激しさを増し、拮抗した。

 この膠着状態を重く見た蝙蝠は、全ての影部隊に応援要請した。


 それぐらい龍は黒龍と互角に戦っていた。

 本来なら、とっくに体力が尽きていてもおかしくないはずだが、紋章の力なのか、未来を守ろうとする執念なのか、龍は疲れを感じず、不屈の闘志を保ち続けていた。

 その無尽蔵の体力とロープカッターのおかげで戦いは長期化し、龍のスタミナ切れを狙っていた黒龍の顔にもとうとう疲れが見え始めた。


「いいかげんしつこいな。少年。そうまでして俺を阻むか。戦争を乗り越えて発展する世界を、君は見たくないのか?」


「えぇ! 戦争でしか発展することができないなら、僕は文明なんていらない! 人が死ななきゃ何もできないなんて、間違ってます!」


「甘いな。それは理想に過ぎない。戦争という極夜がなければ、発展という白夜は訪れないんだ。どうしてもわからないと言うのなら見せてやろう。君に死という名の現実を」

 そう言って振られた黒龍千鱗腕の重たい一撃を龍は受け止め、


「僕は死にません。未来さんをあなた達から守るまではぁ!」

 と、言って、黒龍を蹴飛ばし、体育館の入口付近の壁にぶつけた。


「チッ。忌々しい少年め」

 血を拭いながらそう言う黒龍にすでに余裕は無く、龍に本気の殺意と苛立ちを抱いていた。


 鋭い眼光で敵を睨みつける黒龍。その視界に、戦いを離れて見ていた未来の姿も映りこんでしまっていた。


「あ! 未来さん! そこから離れて! 危ないよ!」

 黒龍が側にいることに気付いた龍にそう言われて、未来は頷き、その場から離れようとした。


 そこを黒龍は見逃さず、未来を逃がそうとスキだらけになった龍に襲いかかった。

 迫り来る彼に身の危険を感じた龍は、黒龍千鱗腕が自分に届く前に仕留めようと、ロープカッターで薙ぎ払った。

 嫌なサブタイトルですが、その意味は間もなく明らかになると思います。

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