青龍vs黒龍(5)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。
が、不幸中の幸いか、ドアをぶち破って入った先は、黒龍の武器が置いてある体育倉庫であった。
痛みを抱えながらあたりを見渡すと、そこには本来あるはずのない武器の数々があり、その中に火炎放射器とセットであれがあった。
そう。後の得物となるロープカッターが。
「これ……使えるかもしれない。多分あの人達の武器だろうけど、この際選んでられない」
龍はそう言ったあと、火炎放射器とロープカッターを装備し、体育倉庫を出た。
彼の得物となった瞬間である。
龍がそれらを手に出てきたのを見た蠍は危機感を抱き、黒龍はそんな部下を落ち着かせた。
「しかし、数ある武器の中からそれを選ぶとはな。俺の得意な武器の1つではあるが、そいつはかなりの暴れ馬だぞ。君のような少年が使いこなせるかな?」
「やってみなければわかりません。せやー!」
龍の叫びと共に振られたロープカッターは、狙い通り黒龍の持つトンファーを両断した。
いきなり見せつけられた腕に、黒龍は感心した。
「ほう。これは面白い。よもや少年が俺のトンファーを狙って斬れるとは。見事。なら、こちらもそれに応えないとな」
黒龍はそう言うと、使用不可になったトンファーと龍鱗腕を投げ捨てて体育倉庫に入り、龍鱗腕の10倍の長さの黒い龍鱗腕を装備して戻ってきた。
その恐ろしい武器の名は、黒龍千鱗腕。
黒龍が最も得意とする特注の武器であり、ロープカッター並の刃渡りと切れ味を誇る刃全てに即効性の猛毒が塗り込まれた文字通りの凶器である。
「待たせたな。さて、では決着をつけようか。少年」
黒龍の言葉に頷くと、2人は一気に近付き、互いの刃をぶつけ合った。
流れが向いてきました。
クライマックスは目前です。




