初めての殺人(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。
だが、黒龍は全く気にせず、彼女を脅した。
「自分の立場がわかっていないようだな。お嬢ちゃんは、俺の言うことを聞くしかないんだ。さもなければ、あの少年の前で屍を晒すことになる」
「龍君は関係ありません」
「関係無くはない。彼はすでに当事者だし、俺と同じ紋章使いだ。あれを発動するには精神高揚が必要でな。少年の全力を見るために君には人質になってもらう」
力量見たさに龍の怒りを煽る黒龍のやり方に、未来は嫌悪感を抱いたが、巻き込んだ自分に責める権利は無いと沈黙した。
そんな2人の元に1人の隊員が、伝令係の蝙蝠から、龍が接近中という報告があったことを知らせにきた。
「ようやく来たか。ならば、こちらも準備をしないとな。蠍、手伝ってくれ」
蠍は元気よく返事すると、体育倉庫に隠していた黒龍の武器を持ってきた。
その様子を見ていた未来は、自分と同い年くらいの隊員がいることに驚いた。
「あの、黒龍さん。あれはいいんですか?」
「あぁ。素人の子供相手に使うこともないだろう。それより、蠍。お前は帰れ。本拠地で闇が待ってるぞ」
「え……でも……」
帰りたくない蠍がぐずりだすと、黒龍は呆れてため息をつき、観察目的で残ることを許可した。
憧れの司令の戦いを間近で見れると大喜びする蠍を見た黒龍は、
(全く。親より俺を選ぶとは……嬉しい限りだが、親不孝者だな)
と、思い、未来に研究データを出すよう脅迫した。
脅された未来は頑なに断りながらも、ここに来るであろう龍の身を案じた。
親友からそう思われている龍はその頃、普段の通学路である坂道をひたすら登っていた。
だがそこには、蝙蝠からの通信を受けた影達が、盛大な歓迎をしようと、道を塞いでいた。
「どいて下さい! 僕は行かなきゃいけないんです!」
「断る。どうしても通りたければ、我々を踏み越えていけ」
そう言うと影達は、得物を手に一斉に攻撃をしかけてきた。
彼らの妨害を煩わしく思った龍は、
「いいから……どいてよ!」
と、言って、高々とジャンプして影部隊を踏みつけ、彼らの背後に着地した。
「文字通り踏み越えましたよ。文句無いですよね? それじゃ」
龍はそう言うと、全速力でその場をあとにし、中四条小学校の正門を通過した。
彼のスピードや跳躍力に突破された影達は唖然としていたが、その表情にはまだ余裕があった。
ナンバー2の鴉と龍と同じ紋章使いの黒龍がいたからである。
蝙蝠に蠍に闇と名のある構成員が数々登場しました。彼らの存在は今後も重要な役目を果たします。




