091 領主編3 反乱討伐1
体調不良で寝込んでいて気付いたら4時前でした。遅れてすみません。
「アクア3の3って何?」
海洋リゾート惑星に興味津々の紗綾が唐突に聞いて来た。
確かに何気なく呼んでいたけど、星系の命名基準について説明が必要かもしれない。
「はい、愛さんよろしく」
僕は愛さんに丸投げする。
「星系名は恒星の名前がそのまま使われます。その星系に存在する惑星は公転軌道が内側にある順番に数字が振られます。
アクア星系ならアクア1、アクア2、三番目の惑星なのでアクア3です」
「でもグラウルは数字無いぞ?」
「グラウル星系は惑星が1つなので数字がありません。
その代わり複数ある衛星が順番にグラウルα、β、γ、δと続きます。
グラウルの衛星はそのようなことでグラウルαと呼びますが、星系に惑星が複数あるアクア星系のアクア3では衛星はアクア3αになります」
「アノイ星系は惑星が複数あるのに惑星アノイで数字が無いぞ?」
「それはプリンスが情報を秘匿していたのでデータがアップデートされていなかったのです。
今は得られた情報から惑星アノイはアノイ2になっています。
しかし今までの慣例でそのまま惑星アノイと呼ばれているのです」
「ふーーん。わかった」
説明台詞が終了した。
**************************
僕は反乱と確定したダグラス伯爵とプリンス系代官のミラーの討伐令を出した。
ミラーはプリンスの家臣である上級騎士の3男で帝国本国の騎士学校を出た文官らしい。
一応ニ人には降伏勧告を次元通信で送ったが返事は無かった。
討伐には2つの選択肢があった。
僕が先頭に立ち直接討伐する方法と、臣下の貴族に「刈り取り自由令」を出し間接的に討伐する方法だ。
ミラーが代官だった惑星ウェイゼン4は刈り取り自由令でいいだろう。
戦争に出てくれた臣下に出す恩賞にもなる。
主戦場のファム5とタタラ4の工場衛星は僕が軍を編成して指揮する必要があるだろう。
ダグラス伯爵の所在が判らないうちは戦力を分散出来ない。
アノイ要塞極秘会議室
僕はアノイ要塞にいる軍または領地関係者を集め軍議を開いた。
出席者は僕、アノイ要塞司令コマンダー・サンダース、カプリース領軍司令ノア、グラウル領軍司令ハンター、小領地混成軍司令ジョン、地球軍司令神澤、惑星アクア3領地領主アクア子爵、他代官4名だ。
そういや神澤社長は准男爵に叙爵した。一応地球軍司令なので箔をつける必要があったのだ。
僕は皇子という立場なため、子爵までの叙爵資格があった。それで爵位をばら撒いたというわけだ。
ばら撒いたというのは家臣団に対しても含めてだ。
カプリース男爵を子爵に、グラウル男爵を子爵に、ジョンことジョン=ドゥ=ラーテル准男爵を男爵に陞爵した。
コマンダー・サンダースには1階級昇進を打診したが固辞された。そんなに呼び名が変わるのが嫌なのだろうか?
管理が面倒だったので分配した無人艦4500も、彼らからすると恩賞になっていたようだ。
「そういやカプリース領の星系領主は誰なんだ? 小領地混成軍の領地がある惑星の星系領主も」
軍議の席で僕はカプリース領軍司令のノアと小領地混成軍のジョンに質問を投げかけた。
「カプリース領は帝国直轄領なので皇帝陛下になりますが、辺境のため名目上の意味以外のものではありません。
むしろ赤字でやっかいな領地扱いで誰も星系領主にならなかったというのが実状です。
カプリース子爵様が申請すれば晶羅様が星系領主になれましょう」
「小領地も帝国直轄領です。正直辺境故誰も引き取り手が無いというのが実状で、カプリースと同様に申請さえ受諾されれば晶羅様が星系領主です」
「その話しぶりだと申請済みってことか?」
「「御意」」
帝国も管理を丸投げするぐらいの星系が僕の肩に伸し掛かってくるわけね。
あのプリンスが態々手に入れなかった星系って、どんだけお金かかるんだろう?
だがそこは僕に付いてきてくれると誓ってくれた大事な臣下だ。
面倒を見ないなんて選択肢は有り得ない。
「その奉公に報いなければならないな。(畜産2、農業4、水産1、鉱業3、工業1、レジャー1、儲からないかもしれないけど、食べていくには大丈夫かな?)」
「「有り難き幸せ!」」
現在、畜産1、農業1、工業1が敵の手にあることになる。
工場衛星は無傷で奪還したいところだ。
「各領軍の出撃可能艦数はどのぐらいだ? 領地の防衛戦力は残してだぞ」
「はい、そこは晶羅様の命令を遵守して領地に2000ほど残した他は各領軍3000ずつといったところです」
3軍を代表してコマンダー・サンダースが答える。
「3領軍はアノイ要塞の防衛戦力だ。各領軍1000ずつは残ってもらうことになる」
「「「はっ」」」
「残り2000ずつだが、惑星ウェイゼン4は刈り取り自由とするが何艦で行く?」
「若に全艦付いて行きたいところですが、我々も戦争となると懐具合が厳しいので1500行かせもらいたい」
(ちょっとジョン、若って何よ? 若って! まあ一応ジョンは義父だけどさ)
僕は平静を装って答える。
「うん、各領軍がそれぐらいなら合計4500になって充分制圧可能だろう。
ただし領民への略奪暴行は厳禁だ。代官を討伐し領地を3軍で分配せよ」
「「「はっ」」」
「アノイ防衛はコマンダー・サンダースに任せる」
「はっ」
「アクア子爵は惑星アクア3の守護。代官は領地が攻められたら防衛艦隊で遅滞戦闘、即時報告を送れ、救援に向かう。
悪いけど、アクア子爵と代官の軍は統帥権を僕に移譲してもらった。裏切ったら艦は動かない。そんなことの無いように頼む」
「「「「「はっ」」」」」
一応統帥権移譲で情報漏洩も防げるはず。裏切り者が居ないことを祈ろう。
「主力は地球軍750、カプリース領軍500、グラウル領軍500、小領地混成軍500、そして工場母艦の戦力5万を加え一気に叩く。
奴らは此方が次元跳躍門で侵攻して来ると思っているだろう。
だが僕達は工場母艦に収納してもらい、次元跳躍で一気に強襲する。
作戦開始は明日の12:00だ。
それまで3領軍は惑星ウェイゼン4攻略に向け次元跳躍門を潜って先行せよ。
主力はまず工場衛星を奪還する。終了次第ファム5に次元跳躍強襲する。
以上質問はあるか?」
僕は周囲を見回す。誰も声を上げない。
「では作戦にうつる。各軍戦闘準備!」
全員が一斉に席を立ち自らの軍に領地に散って行った。
いつの間にか総合評価が4000を超えていました。
これも皆さんのご支援の賜物です。ありがとうございます。
評価がまだの方、最新話の下の方に評価欄がありますのでポチっとしていただけると嬉しいです。(てへ)