089 領主編1 領地
本日2話投稿です。
前話88.5が短いですがあります。
プリンスとの決戦が帝国の都合により決闘扱いとなり、勝利を収めた僕にプリンスの領地が丸ごと与えられた。
僕が負けたら僕の領地がプリンスの物になっていたらしいが、僕に領地なんか元々無かったから掛け金無しで大儲けという感じだ。
もっとも、プリンスが狙っていたのは僕の命と皇子の順位だったようだけど。
そんな棚ぼた気味に手に入れた領地を僕の裁量で統治して行かなければならない。
領地の内訳は以下。
グラウル星系。
犬族のグラウル男爵が統治するグラウルαとグラウルβの2衛星以外は僕の物らしい。
犬族のファミリーネームであるグラウルは、この衛星を賜った以後に名乗るようになっただけで、グラウル星域全てが犬族の物であるわけではない。
主な資源はガス惑星の惑星グラウルで採取される重水素だ。
犬族は重水素の採取労働が主産業だが、その重水素利権はプリンスの物だったということだ。
ここは重水素利権の一部を譲渡してグラウル男爵を代官にしよう。
アノイ星系。
直轄領。惑星アノイはテラフォーミングすれば人が住めるようになるが、まだ調査段階らしい。
その改造予算も莫大で無いし星系としての価値は次元跳躍門の中継点であるということだけのようだ。
ここはアノイ要塞をコマンダー・サンダースに任せれば問題ない。
これを期に1階級昇進を打診しようかと思ったが、任命権とかよく分かっていないので保留中だ。
細かく調べれば他惑星も資源の宝庫だろうが、手が回っていないというのが現状だ。
アクア星系。
子爵統治領。唯一の居住可能惑星である惑星アクア3はアクア子爵が統治している。
子爵家の命名理由が惑星アクア由来なので当然と言えば当然の名前だ。
ここはリゾート惑星だ。陸海比が1:9でほとんど海の星だ。
観光と魚介類の食料資源が主な産業になっている。
貴重な食料庫といえる。
その惑星アクア3も陸地は子爵領だが、ほとんどの海洋資源は僕の物らしい。
惑星がいくつあるか、どんな資源を持っているのか、開発状況がどうなっているのかは不明だ。
本来ならサポートAIの有機端末である愛さんに聞けば直ぐなのだが、プリンスの怠慢か意図的かデータがアップデートされていないそうだ。
その秘密主義なところが不安視され、アクア子爵の出方次第では揉める可能性が高い。
ファム星系。
伯爵統治領。2つの惑星がテラフォーミングされていて牧畜を行っている。
惑星の1つファム5が伯爵領でもう1つファム4が元プリンス領で今は僕の領地。その他星系内の所有権は僕になる。
畜産物を生産する重要な食料庫である。
しかし統治している伯爵とは捕虜から話の出た、あの敗走したダグラス伯爵だ。
揉めること確実だ。
タタラ星系。
直轄領。鉱物資源を産出するタタラ3からタタラ5が開発されていて、プリンス指名の代官が収めている。
タタラ4の衛星軌道上に工業衛星があり、各種工業製品が生産されている。
元プリンス軍の兵器工場でもある。
おそらくここもプリンスに与する抵抗勢力だろう。
その他穀物を生産する星系が4つ。ここも直轄領で代官がいるらしい。
代官が帝国から派遣された者なのか、プリンスが直接雇ったのかで差が出るだろうが、とりあえずは会ってみないことにはわからない。
そして太陽系。
地球を含む太陽系がプリンスの直轄領で所有物扱いだったなんて腹立たしい限りだ。
今は僕の所有物になっているが、僕は地球をどうこうしようというつもりはない。
せいぜい他の惑星の資源を使わせてもらうぐらいだろう。
木星はグラウルと同じように重水素を採取可能だろう。
またゲームとしてのSFOを維持するためにはアステロイドベルトでの採取活動も継続する必要がある。
採取には敵艦の残骸回収と小惑星からの鉱物採取があり、後者は地球に少なくない恩恵を与えているようだ。
それがSFOの資金源だったとは後から知ったことだ。
SFOは地球経済に絡みつき今や切っても切れないものになっていた。
次元跳躍門がある限り、野良宇宙艦や他の勢力からの攻撃に晒される事になるので、ステーションとSFOの戦力はあてにせざるを得ない。
これが現在、僕の領地だ。
これらの領地はアノイ星系を中心に次元跳躍門で2週間以内の距離にある。
領主や代官をアノイ要塞に呼ぶのには10日もあれば十分だろう。
一番遠い地球は領主も代官もいないので保留だ。
彼らの行動でまた戦争になるだろう。
ダグラス伯爵のファム星系はどう出て来るだろうか。