073 放浪編13 六人嫁 帝国正規軍
きりが悪くて短いです。
前話072のラーテル准男爵の名前をネタ的に変更しました。
フィレ→ドゥ
ブラッシュリップスメンバーの三人を嫁にするという話は、僕としては本気じゃない。
むしろ彼女達を保護するための建前として嫁という立場にするだけだと思っている。
今後、どこぞの貴族にメンバーが見初められるなんて事態になった時に「うちの嫁ですが何か?」と断わる口実になればいいのだ。
僕は地球帰還を諦めてはいない。
たぶん地球は敵勢力に占領されて、今までの生活は出来なくなっているだろう。
僕らが行方不明になっていても、誰もが構っている暇さえなかろう。
だが、もし地球に帰還出来るのなら、彼女達をアイドルとして戻してあげたい。
そのために指一本触れてはならないのだ。
「晶羅ー。何を考え事してるの?」
紗綾が抱きついて胸をギュウギュウ押し付けてくる。
いや、指一本触れては……。
「紗綾、離しなさい! 僕達はまだ正式に結婚してないんだよ? むしろ偽装結婚なんだからね?」
「えーー。私は本気だよ? 今夜初夜を迎えてもいいんだぞ」
「それは地球に戻ったら取り返しがつかなくなるって。まだ我慢しなさい!」
「えーー。つまんないの」
紗綾が離れて行く。
(ハァハァ。恐ろしい子……)
ところで、この背中の違和感は?
後ろを振り向くと、背中に美優が張り付いていた。
微かな膨らみが背中に当たっている。
「美優も……」
(うん。がんばったね。美優。でも地球に帰って淫行扱いは嫌だからね。3年待とうね)
とりあえず美優は癒やしなので、そのままにした。
「彼女達、ケモミミ押しかけ嫁をどうしようかね」
何気ない独り言だったのに、社長が答える。
「受け入れちまえ。若い美少女三人だぞ。しかも合法なんだから、ハーレムだハーレム」
「社長、後の柵は考慮してるの?」
「むしろ、アノイ要塞で生活して行くなら都合がいい。
そうだ、彼女達でアイドルユニットを作ろう。帝国で芸能活動だ!」
「人事だと思って……」
僕は苦笑いするしかなかった。
だがちょっと仕返しをしたくなった。
「社長も菜穂さんと沙也加さんの面倒は見てよ」
「ちょお前」
「偽装結婚でいいから、身分を保証出来るようにしないと。
帝国5級戦功章持ちは一応二級市民相当らしいからさ」
「やはり、いつまでも難民扱いはしてもらえないか……」
「少なくとも、うちの事務所の五人の女性は守らないとね」
僕は思索にふける。
ラーテル族は最強種族で猫族と犬族を押さえ込むことが出来るらしい。
猫族と犬族の対立を理由にして断わるという作戦は、ラーテル族の登場で破綻しつつある。
かと言ってラーテル族の嫁を断わるなんて怖いことも出来ない。
詰んだな。
後は僕の気持ち的な問題だけになってしまった。
美少女嫁なんて地球じゃ望んでも来てもらえない。それが三人なんて贅沢な話だ。
生理的に無理とか性格が合わないとか、よっぽどの事がない限り、もう嫁にするしかなさそうだ。
もし地球に戻れたらどうするか。ケモミミ嫁とは宇宙で暮らせばいいか。
なんだか受け入れる方向に気持ちも向かいそうだ。
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アノイ要塞に客が来た。
帝国正規軍の来訪だ。
これは地球奪還作戦の軍だろうと地球人難民は沸き立った。
コマンダー・サンダース他、三軍の長であるカプリース領軍司令ノア、グラウル領軍司令ハンター、小領地混成軍司令ジョンが宇宙港に並んで出迎える。
なぜか僕と神澤社長もジョンの後ろに立たされている。
この宇宙港は歓迎式典用の巨大格納庫だ。
本来なら搭乗チューブで繋げられ乗り降りするところを、エアロック内に艦を入れ直接タラップで乗り降りするのだ。
その格納庫には歓迎の人員を配置出来る隔壁が設けられている。
格納庫の扉が閉まり、空気が充填されると目の前の隔壁が開く。
その先に鎮座する一際目立つ戦艦にタラップが横付けする。
ハッチが開きそこから降り立ったのは、プリンスと同じ派手な装飾の着いた軍服を着た帝国貴族だった。
「帝国正規軍第183艦隊司令、ギルバート伯爵に敬礼!」
コマンダー・サンダースの号令で全員が敬礼する。
僕達は帝国式の敬礼を知らないので見よう見まねで敬礼する。
右の手のひらを相手に向けて逆L字型に腕を上げる。
なんか嫌な感じだ。僕達は帝国軍の一部か?
「ん、ご苦労。地球人はどこだ。まだ難民だなんて言ってる奴らを俺が引き取りに来たぞ」
僕は帝国による地球人の扱いが変わった事をいま知った。




