069 放浪編9 遠征2
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サポートAIの有機端末である愛さんからの受け売りによると、遠征先の惑星グラウルは巨大ガス惑星だそうだ。
居住可能な星は、その衛星であるグラウルαとグラウルβ。その2つの衛星が帝国の植民星となっている。
グラウルαとグラウルβは巨大ガス惑星の衛星であるがために気候が厳しい。
衛星が巨大ガス惑星の太陽側に来た時はガス惑星からの反射で夜が無く、ガス惑星の太陽から裏側に来ると蝕により昼が無くなる。
それが公転周期により四季のように繰り返されるため過酷な環境なのだそうだ。
それを上手く回避するために2つの衛星を行き来して住むという面倒なことをやっているのだとか。
宇宙船の恩恵を受けまくった生活をしているんだな。
人工太陽とか遮蔽フィールドの応用とかで対処出来るんだろうけど、コストを考えるとその方が安くつくらしい。
人口が少ないからこそ出来ることと出来ないことがあるんだろう。
その惑星グラウルこそが犬族が治めるグラウル領だ。
巨大ガス惑星からの重水素採集が主な産業だそうだ。
これが熱核反応炉の燃料になっているのだから足を向けて眠れない。
領軍が最前線に出向しているため、中継点としてはあまり戦力が常駐していない。
帝国軍の駐留艦隊がいるが最低限のものになっている。
なので緊急時には、いつもアノイ要塞から援軍が向かうことになっている。
僕と神澤社長は援軍に応募し、次元跳躍門の前に集合した。
僕達の艦の諸元は以下。
『AKIRA』
艦種 艦隊指揮艦(艦隊旗艦)
艦体 全長250m 高速巡洋艦型+α 2腕 次元格納庫S型 (巡洋艦 2 突撃艦 1 ステルス艦 1 艦載機『ふぁんねる』1 外部反応炉 外部兵装 外部電脳 予備部品多数)
主機 対消滅反応炉G型(+外部反応炉 対消滅D型) 高速推進機C型
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 100/∞ 特殊弾 55/∞ 特殊弾 68/∞ 特殊弾 10/∞
(外部兵装 長砲身40cmレールガン単装1基1門 通常弾 56/∞ 他)
副砲 30cm粒子ビーム砲単装1基1門
20cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
艦載機用ミサイル D型標準2基×1 最大弾数4×2×1 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板
ビームキャンセラー(対ビームバリヤー)
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(対実体弾バリヤー)C型
電子兵装 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型 サブ電脳D型 (外部電脳A型)
空きエネルギースロット 9
状態 良好
『RIO』(神澤社長座乗)
艦種 高速巡洋艦
艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉D型 高速推進機E型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 20cm粒子ビーム砲連装2基4門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 E型標準4基4門 最大弾数2×4 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾D型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
僕の専用艦は最大弾数限定解除で残弾数が増え続けている。
新装備は長砲身5cmレールガンの特殊弾で跳躍弾。
ワープ弾だと期待しているので必殺の急所狙いをしてみたい。
RIOは副砲の粒子ビーム砲を15cmから20cmにパワーアップ済み。
推進機もワンランクアップしてE型にしてある。
ただし重量が増えているので突撃艦としての高速性は落ちてしまい艦種が高速巡洋艦になっている。
かなりの戦力アップにはなっているはず。
この2艦が僕達の事務所の遠征参加艦だ。
『みんさん、よく集まってくれた。私はグラウル領軍司令のハンターだ。わが母星の危機に参集していただき感謝している。
作戦としては駐留軍が支えているうちに、敵を後方から挟み撃ちにして撃破する。各員次元跳躍門出口は任意に突入し戦闘に入ってくれ。よろしく頼む』
援軍は当然グラウル領軍が行く。他には任意参加の小領地混成軍や地球軍の艦船だ。
カプリース領軍の艦はゼロだ。アノイ要塞の守りが必要とはいえ本当に仲が悪い。
『座標セット、次元跳躍門突入! グラウルには直ぐに着く。敵味方識別信号に注意しレッドを殲滅せよ!』
僕達の艦は次々に次元跳躍門へと突入して行く。
初めての他星系への遠征だ。胸の高鳴りが抑えられない。
次元跳躍門へと突入すると目の前に亜空間が広がる。
パイロットシートに座る僕の目の前全周に仮想画面が開き、外部映像が表示されているのだ。
その映像に航路を示すグラフィックが重なっている。
その航路の先に丸い鏡のような次元跳躍門の出口が見える。めちゃくちゃ近い。
僕は航路にそって艦を進め、打ち合わせ通りに鏡面に入る。
一瞬の違和感の先には、僕の目の前に巨大ガス惑星が鎮座していた。
横を見ると神澤社長が乗るRIOも飛び出していた。
出現先はランダムなので恐ろしい偶然だ。
『社長! 暴れるよ!』
『おう! お前もがんばれよ!』
僕は対艦レーダーと戦術兵器統合制御システムを起動し、地球軍全艦とグラウス領軍旗艦にデータリンクを繋げる。
RIOが完全支配下にあって、いつでも介入出来ることは社長には内緒だ。
レーダー各種センサーのデータを一瞬で収集して敵味方展開図を作成、地球軍全艦におすそ分けする。
今回は救助目的の援軍なので、敵勢力の殲滅を優先する。
僕は外部兵装の長砲身40cmレールガンを次元格納庫から取り出す。
射撃補正装置を起動、敵勢力の脅威優先度でナンバリングをして狙い撃つ!
「初弾発射! 直撃! 次弾チャージ。発射! 直撃!」
思うように狩れる。
余裕が出て来たので狙撃の合間に侵食弾も撃つ。
実はレールガン2門持ちなんだよね。
狙いは敵戦艦。神澤社長に対消滅反応炉をプレゼントしてあげよう。
「目標敵戦艦。侵食弾撃て!」
侵食弾が敵戦艦の艦橋に当たる。
侵食が終わるのを待つ間に他の艦を長砲身40cmレールガンで狙い撃つ。
『侵食完了。データリンク開始。乗っ取りますか?』
システムメッセージが目の前の仮想画面に表示される。
「NOだ」
『跳躍弾を発射しますか?』
今までに無い新しい反応がある。もしかするとこれは……。
「YESだ!」
『了解。敵艦サーチ開始。敵艦ウイークポイント把握。どこを狙いますか?』
「エネルギー分配器だ! 跳躍弾発射!」
『電磁誘導路のエネルギー吸収。跳躍弾発射します』
跳躍弾の弾体が電磁誘導炉のエネルギーを吸収し紫の電磁パルスを纏う。
輝きが増したと思った瞬間、その輝きが消え去る。
と同時に弾体が消え敵戦艦内で爆発が起こる。
『その戦艦は僕が鹵獲した。手を出すなよ!』
僕は味方艦に鹵獲宣言を発した。
『こら晶羅、俺達にも残しとけ。こっちはまだ有効射程に入らん!』
神澤社長が愚痴る。傭兵共も追従している。
僕の奇襲で敵艦隊は統制を乱し始める。
脅威度認定で艦隊の指揮を取っている艦ばかり狙ってたからね。
後は彼らに任せるか。
独占し過ぎると恨まれるからね。
この後僕は戦場を見回し、危ない場面にだけ介入して過ごすことにした。
僕の戦果は戦艦1鹵獲。巡洋艦12大破だった。
これらは戦場を駆けまわり、サクっと次元格納庫に回収した。
戦艦鹵獲は美味しかった。現在次元格納庫内で電脳を調教中だ。
侵食弾と跳躍弾の組み合わせで楽に鹵獲できることがわかった。
今後は楽に稼げそうだ。
ついでに犬族にとても感謝された。
アノイ要塞に帰ったら表彰してくれるらしい。
他民族との友好度が上がるのは嬉しいものだ。
5cmレールガンが長射程でも有効なのは、弾体が軽くて発射速度が速いことと、特殊弾は破壊力が無くても有効だからです。
発射速度が速いと強力な停滞フィールドでも撃ち抜けます。
通常弾では停滞フィールドを抜いても装甲で弾かれて有効弾になりません。