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055 アイドル編30 緊急招集三度目2

遅れました。すみません。

 警報が鳴り、リアルタイムで変わる分析図に赤い光点が複数点滅しだした。

光点の数は20以上。敵艦隊というより、もはや敵勢力だ。

脅威判定により可及的速やかに対応すべき敵勢力だということだ。

敵勢力のコースは、どう見ても(あきら)綾姫(あやめ)の担当ポイントだ。

この分析図はアヤメ艦とも共有している。


綾姫(あやめ)、後ろのエリアに撤退して。これは無理だ」

晶羅(あきら)はどうするの?」

「エリアリーダーに援軍要請して無理なら撤退する」

「たぶん戦線を後退して後ろのエリアで迎撃になると思う」

「わかった。晶羅(あきら)も気をつけて」


 アヤメ艦が後退する。


『エリアリーダー、敵艦隊が集結して一点突破をかけてくる形跡がある。戦線を後退して対応しよう』


 僕はエリアリーダーに分析図を送り、敵勢力の予想進路を伝え後退を進言する。


『アキラ、その情報は何だ? こちらからはそんな形跡は把握していない。却下だ。持ち場を離れるなよ』

『了解』


 しまった。エリアリーダーからしたら、この分析図は正否すら疑わしい情報でしかない。

彼の位置から把握出来るレーダー画面では、小惑星や岩塊に隔てられて、まだここまでの分析は不可能だろう。

この分析図は高性能電脳2つとステーションが収集した各艦の索敵情報あってのものだ。

持ち場を離れることも禁止されてしまった。説得するには、もっと状況が動くまで待つ必要がある。

まあ、アヤメ艦の後退は僕の権限内だから撤回しない。


「指揮権がないと、上手くいかないもんだな」


 僕は次善の策をとることにした。

とりあえず、この担当ポイントの戦力を底上げするしかないな。

僕は自重をやめて次元格納庫からありったけの装備を持ちだした。

まずステーションの専用格納庫に入りきらなかったステルス艦を出す。続けてふぁんねる。

外部兵装を取り出し、右腕に長砲身40cmレールガンを装備、左腕には30cm粒子ビーム砲(単層)を装備。

手首から伸びたエネルギーチューブを接続した。

次に移動砲台化した30cm粒子ビーム砲(連装)を2基浮遊させる。

これは次元格納庫から直でエネルギーチューブが出ている。


「よし、準備完了。視界に入った艦から長距離射撃で数を減らす! 自重なしだ!」


 僕の専用艦は右腕の長砲身40cmレールガンを構える。

射撃補正装置の長距離射撃モードを起動し視界に入った敵艦から撃つ。

残弾は20発。弾はまだMAXまで補充されていない。


 僕は敵艦が担当エリアに入るのを待つ。

ステーションでは味方を撃たないように、エリアを跨いだ近接エリアへの射撃は禁止されている。

既にスルーされている敵艦だから撃っても大丈夫なのだが、それが確実に敵艦だと把握出来ているのはどうやら僕の専用艦だけらしい。

まあ後退した味方艦が撃たれないためにそのルールがあるわけで、先に後退したアヤメ艦もその恩恵を受けているのでルールを破る気はない。


 敵の先頭艦がエリアに侵入する。

待ち構えていた僕はすかさず狙撃する。


「発射!」


 鹵獲した戦艦の主砲として搭載されていた長砲身40cmレールガンを撃つ。

敵艦は迎撃ミサイルを発射、弾体を撃ち落とすつもりだ。

長距離を飛んでくる実体弾は距離があればあるほど迎撃のチャンスが増える。

まずミサイルで破壊を狙い、次に射程の短い光学兵器で撃墜を狙ってくる。

弾体になんらかの被害を与え、コースが変わってくれれば儲けものだという思想。

だから僕は2発目を同じコースで連射する。

1発目を囮にして2発目を確実に当てるつもりだ。

戦艦のレールガンの弾体は質量があるため発射のエネルギーが嵩む。

そのエネルギー充填に時間がかかり、それが原因で発射間隔が開いてしまう。

僕の専用艦が連射出来るのは、艦の反応炉と次元格納庫に持つ外部反応炉と2つも反応炉を持っているからだ。

弾数が少ない中、1艦に2発は勿体無いが致し方ない。


 敵の先頭艦にレールガンが直撃し粉砕される。

威力があり過ぎて、苦労の割にお金にならない。

敵勢力は僕を脅威と認識したのか、エリア外からミサイルの飽和攻撃をかけて来た。

飽和攻撃とは、こちらが対処しきれない大量の攻撃を加えてくることで、対処漏れの攻撃で被害を与えようというものだ。

僕の専用艦のような巡洋艦クラスなら対宙レーザーが4門くらいが標準だ。

その対宙レーザーが対処しきれないミサイルを撃ちこめば、どんな重武装の艦でも被害を与えられるという算段だ。

ざっと40発ぐらい飛んで来ているようだ。


「光学兵装、全砲門一斉射撃!」


 僕達を1艦だと思っているのは大間違いだ。

遮蔽フィールドを張った僚艦が2艦(1艦と1機)隠れている。

30cm粒子ビーム砲6門、15cm粒子ビーム砲1門が発射される。

近距離に接近して来たミサイルは10cm対宙レーザー8門が迎撃する。

全ミサイル迎撃成功。

この隙にエリア内に突入して来た敵艦は長砲身40cmレールガンで狙い撃つ!

敵艦を合計6艦撃墜したところで敵勢力がバラけてコースを変えた。

これで味方艦が各個撃破出来るだろう。


 こうして僕の三度目の緊急招集が終了した。



************************************



 格納庫に戻るとコピーロボットが待機室で待っていた。

コピーロボットは僕の行動をシミュレーションし、学校が終わってそのままアリバイ作りで自宅に帰り、ステーションに転送されたのだろう。

ちなみに本人が任務から戻って来た時点で、まだコピーロボットが他人の目のある場所にいた場合は、その場で本人と入れ替わる。


 コピーロボットは生体部品で造られた生物(なまもの)なので、金属の骨格とか白い血液を持っているわけではない。

事故に遭えば人と同じように怪我をしたり死んだりする。

触られても相手には生身の感触を与え、ロボットだとは見抜かれない。

そのため、緊急招集の任務中にコピーロボットが死に、自分が死んだことになっていたなんて不幸も起こる。

コピーロボットはコピー元のマスターの思考をシミュレートし、本人の行動を忠実に再現することになる。

なので、いつもの行動が不幸に直結している運命であっても、代理で演じることになる。


 そのコピーロボットが任務終了で待っていたということは何かがあったということだ。

僕はコピーロボットの報告を聞いた。感覚は共有出来ない。


「ちくしょーーーーーーーーーーーーーー!!」


 血の涙を流した。

ニュアンスの誤りを修正しました。


外部兵装のレールガンの口径が間違っていたのを修正しました。

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