052 アイドル編28 異常融合
お待たせしてすみません。
ドック入りさせた専用艦と鹵獲戦艦が融合の繭に包まれていた。
原因はプリンスでもわからないらしい。
僕が「この戦艦を売れば(修理費は)余裕だ」と言った時に、プリンスが「売れればですけどね……」といった言い方をしたのが気になる所だけど。
いかにもこの結末を予想していたかのようだった。
まあ、プリンスに何か裏があるのは薄々気付いてはいるんだけどね。
とりあえず、このまま融合が終わるのを待つしか無いのが現状だ。
レンタル艦10番と敵艦が融合した時は3日かかった。
そういえば、あの時もお互い損傷していたな。
艦を修復したいという願望が艦体丸ごと融合のトリガーになっているのだろうか。
あの時レンタル艦の電脳は融合の許可を求めて来た。
今回はなんで勝手に融合しているのだろう。謎だ。
僕がCICに居ないうちに専用艦の電脳が勝手に決めたということだろうか?
それとも外部から干渉があったのか……。
無人で勝手にって拙くないか?
「そうだ、プリンス。質問があったんだ」
「なんでしょう?」
「リアル空間での無人艦の運用に関してなんだけど、無人艦の運用は出来るけどさせないのか、現実問題として出来ないはずなのか、どっちなんだ?」
僕は中衛戦の最中に気付いた疑問をプリンスにぶつけた。
「それは運用していいという権限を持っているか持っていないかという話になります。晶羅さん自身の資質の問題ということです。出来るのなら権限を持っている。出来ないのなら持っていないということです」
「つまり、出来る僕は無人艦をリアル空間で運用していいってことだね?」
「はい」
プリンスは全く顔色を変えずに当たり前のように答えた。
ミーナが言っていたのは一般論だったのかもしれない。
あるいはその権限を僕がいつのまにか取得していたということだろうか?
あの時点での僕の戦績は偵察艦、ステルス艦、巡洋艦、戦艦、ステルス艦の鹵獲。
5艦撃墜のエースってことか? いや1艦は共同撃墜になるから4.5艦だな。
あ、自立型ミサイルが1艦扱いで5.5艦か!
それで何かステータスに称号でもついたかな?
「もしかして、僕って出世した?」
「はいぃ?(右京さんのやつ)」
「いや、何でもない」
「ははは、これからも頼みますよ。提督」
冗談なのか本気なのかわからないトーンだった。
「話は変わりますが、巡洋艦の買取で晶羅さんの借金は完済となりました。余りは税金を差し引いて口座に振り込んでおきました。結構な金額ですよ」
「そうだ、忘れてた。ステルス艦は綾姫が所有を放棄したんで、そのまま僕の方で部品として引き取ることになった」
「わかりました。倉庫に送ります。150m級なので入るでしょう」
僕は倉庫に鎮座するステルス艦を妄想してしまった。無理だ。
「いや、僕の専用艦格納庫に入れて欲しい。専用艦の融合が終わったら、どのみち格納庫の引っ越しだろうから……」
「わかりました」
引っ越し費用と新たな格納庫の家賃で、儲けが飛んでしまう気がするな。
プリンスが同情顔になっている。
僕は戦艦1と巡洋艦1ステルス艦1を入れられる格納庫を確保しなければならない。
頭の痛い話だ。
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5日後、僕の専用艦の癒合が完了した。
ドックに集まる僕、プリンス、ドック関係者一同。
全員の頭に?マークが浮かんでいる。
「戦艦はどこに行ったんだ?」
そこにあったのは、元とほぼ同じ大きさ、ほんのちょっと全長が長くなった僕の専用艦だった。
腕輪で専用艦の電脳とデータリンクして諸元を入手する。
『AKIRA』
艦種 艦隊指揮艦(艦隊旗艦)
艦体 全長250m 高速巡洋艦型+α 2腕 次元格納庫S型 (艦載機『ふぁんねる』1 外部反応炉 外部兵装 外部電脳 予備部品多数)
主機 対消滅反応炉G型(+外部反応炉 対消滅D型) 高速推進機C型
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 50/50 特殊弾 20/20特殊弾 18/20
(外部兵装 長砲身40cmレールガン単装1基1門 通常弾 20/40 他)
副砲 30cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 6
艦載機用ミサイル D型標準2基×1 最大弾数4×2×1 ミサイル残弾 6
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板
ビームキャンセラー(対ビームバリヤー)
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(対実体弾バリヤー)C型
電子兵装 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型 サブ電脳D型 (外部電脳A型)
空きエネルギースロット 10
状態 良好
「次元格納庫って何ですか? どうやら戦艦の部品が入っているようですが……」
「私どもにもわかりません」
修理の専門家もわからないようだ。
外部反応炉と外部電脳は、外付け装置としてそのままで使えるみたいだ。
「外部兵装というのは、次元格納庫から出し入れして使えるってことかな? これって青い猫の◯次元ポ……」
なぜか頭痛がして言葉を切る。
「次元装備というと大型艦には次元跳躍機関がはっせ「あー!あー!」」
急にプリンスが声を上げてドック関係者の声を遮った。
ドック関係者の顔が青くなっている。
どうやら機密事項を言いかけたのを誤魔化したようだ。
僕は空気を読んで聞こえなかったフリをしておいた。
次元装備とは次元格納庫のことだよな。次元跳躍機関はあの有名なワープ機関のことだ。
それが「大型艦には発生する」と言いかけたように聞こえた。
艦を育てるとそんなことも可能になるのか。
頭の隅にメモしておこう。
とりあえず格納庫の引っ越しが必要なくなった。
専用艦が1km級超にならなくて良かった。そんなの格納庫の拡張が必要だからね。
とりあえず専用艦とRIOを格納庫に入れて、ステルス艦は倉庫へ……いや次元格納庫に入るんじゃないか?
予算削減でやってみる価値はありそうだ。
あ、忘れてた。
「ドックの使用料はおいくらに?」
ドック関係者から請求書(電子書類)が腕輪に送られてくる。
腕輪決済する。ちゃりん♪
修理費が不要になったけど、ドックを5日間も専有した費用はバカにならなかった。
払えたからいいけど。
でも、借金が無いって素敵だ。
明日は始業式。これで大手を振って高校に通える。
専用艦がアイテムボックスを装備しました。
次元跳躍装置とワープ装置を逆に書いていた箇所を修正しました。
装置を機関に修正しました。
融合した鹵獲戦艦が中衛に至るまでに消費した、レールガンの弾数が考慮されていなかったので修正しました。




