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043 アイドル編19 歌う艦

ちょっと遅れました。

 僕達の前に立ち塞がる敵艦がアヤメだと判明した。

それにより僕達は攻撃を躊躇してしまった。

僕達の攻撃の要は菜穂(なほ)さんの狙撃と僕の支配下にあるRIOの突撃だ。

2人が攻撃を躊躇したら、後は防宙艦という守り専門の艦だけとなり敵に対して何も出来なくなってしまう。

その隙を突くように、アヤメ(アバター)が緊急回避を行う。

刹那、アヤメ(アバター)が退いた回廊からレールガンが撃ち込まれて来た。


 大口径のレールガンが紗綾(さーや)(アバター)の盾を吹き飛ばす。

敵艦隊は戦艦並みのレールガンを持っているようだ。

すかさずアヤメ(アバター)が回廊を塞ぐ。


 こちらの長距離狙撃はアヤメ(アバター)を排除しない限り重力場の影響で当たらないだろう。

かと言って、アヤメ(アバター)を排除するということはアヤメの裸を世間に晒すということだ。

まさか奴らも僕達とアヤメの関係を知って採用したわけではないだろう。

僕らがアヤメを攻撃しない理由はわかっていないはずだ。

つまりアヤメが脱がされるのは敵にとっては既定路線だということだ。

このままアヤメが敵に協力していれば、こちらは次から次へと被害を受けてしまうだろう。

いくら僕らが位置を変えても、アヤメがレーダーで詳細位置を把握し報告してしまっている。


 アヤメ(アバター)の排除は必須だ。だが、攻撃して排除すればアヤメを辱めてしまう。

アイドルグループがそんなことをしたら非難の的になりかねない。


「説得が一番だよなぁ。さてどうやってするか……」


 僕はアヤメを説得することを決意したが方法で悩んでしまった。

通信機で平文を流すと敵の本隊にも筒抜けになり、逆にアヤメを人質にされるかもしれない。


「歌うか……」

「はい?」

「僕達はアイドルだよ。歌詞にアヤメと僕達しか知り得ない言葉を乗せて届ければ、向こうも気づくはずだ」

「そうね。私達って見た目は初心者講習から随分化けてしまっているわよね。アバターでは気づけないかもだわ」

「歌詞は僕が即興で適当に書く。紗綾(さーや)美優(みゆ)で、その間なんとか防いでくれ」


 僕は広域通信機S型をフルで使い、全方位全周波数帯に新曲のカラオケを流した。


「ミュージックスタート!」


 即興で歌詞を書き、菜穂(なほ)さんに送る。


『私達が会ったのは学び舎の一室。3人直ぐに仲良くなったね』


 アヤメ(アバター)が緊急回避を行い、また大口径レールガンが撃ち込まれる。

直撃コース。紗綾(さーや)がまた盾で防ぐが盾が破壊される。


『厳しい教官に泣き笑いの毎日だったね。力を合わせて戦い、時には男子の失敗に笑ったこともあったね』


 敵艦隊から大量のミサイルが撃ち込まれた。

紗綾(さーや)美優(みゆ)が対宙ミサイルで迎撃する。

宇宙(そら)に光の花となるミサイル。しかしその中には爆裂して散弾をばら撒くミサイルがあった。

防御をするため前に出ていた紗綾(さーや)(アバター)に散弾の雨が降り注ぐ。

アバターの装甲が剥がれ、とうとう紗綾(さーや)(アバター)は下着姿に!


「「「紗綾(さーや)!」」」


 僕達全員から悲鳴が上がる。


「RIO! 紗綾(さーや)の盾になれ! 紗綾(さーや)後退して!」

「じゃーん! 下着じゃないから大丈夫だよ♡グラビアで水着なんて普通だぞ♡」


 紗綾(さーや)はビキニの水着だった。しかし後が無いので後退してもらう。


「良かった。作戦続行!」


『楽しかった日々、なのにどうして今は敵味方に分かれて戦っているんだろう? 気付いて欲しい私達に』


 アヤメ(アバター)がピクリと反応する。

気付いたかな? よしもう一押しだ。


『また私達と一緒に宇宙(そら)を翔ぼうよ。アヤメ!!!!』


 もう間違いなく気付いたろう。だが敵も気付いたはずだ。


()けろ! アヤメ!』


 僕がアヤメに通信を送ると同時に、菜穂(なほ)さんがアヤメ(アバター)後方の敵にレールガンを撃ち込む。

回廊を塞いでいたアヤメ(アバター)が緊急機動で回廊を開ける。

菜穂(なほ)さんが撃った30cmレールガンが回廊を通り敵艦(護衛艦)に直撃、轟沈させる。


『裏切ったな! アヤメ! 丁度いい、お前も剥いでやるわ!』


 敵旗艦から大口径レールガンが撃ち込まれる。

大口径弾がアヤメ(アバター)を掠る。

その破壊力でアバターの装甲が剥がされる。

ギリギリ裸にはされていない。

だが、味方を撃つなんて、やはり奴らはアヤメを仲間だなんて思ってない。

僕は無性に腹が立った。

ここらが潮時だな。保険を使おう。


「ふぁんねる! やっておしまいなさい!」


 敵旗艦の真後ろからビームが連射される。

遮蔽フィールドを纏った小型艦が潜んでいたのだ。

敵旗艦は停滞フィールドをダウンした。

ふぁんねると呼ばれた無人機が高機動で位置を変え嬲るようにビームを撃ち込む。


『バルチャー艦隊旗艦撃沈、ブラッシュリップス艦隊の勝利です!』


 システム音声が流れ、僕達の勝利が宣言された。


「さて、賭けで奪うのは、あれでいいよね?」

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