042 アイドル編18 戦闘開始
ついGGO見てしまって遅れました。すみません。
装備を賭けた試合では、勝った側に負けた側の装備一覧が渡される。
そこに巷で話題のGバレットが載っていたら、間違いなく奪われるだろう。
僕はその危機感で野球拳ルールという卑劣な罠に飛び込むことを決意した。
だがアイドルグループとして守らなければいけない一線というものがある。
そこで僕達は敵旗艦の早期撃破で判定勝利を目指すことにした。
賭け試合なので通常の野球拳ルールと違い降参出来るのが唯一の救いだ。
第一目標、装備リストすら渡さずGバレット所持の秘密を守る。ただしメンバーが脱がされないこと。
第二目標、Gバレットが露見してでも勝利しGバレットを奪われることを阻止する。ただしメンバーが脱がされないこと。
第三目標、とにかくメンバーが脱がされないこと!
「社長! 今回の事は事務所のミスで間違いないよね?」
「ああ、面目ない」
「じゃあ、必要経費で艦の改修予算出してもらうよ?」
「お手柔らかに頼むぞ」
「ビーム砲と……修理費と……。こんなもんかな?」
「うう……。しょうがないな」
「ふふふ。これで保険が出来るぞ。Gバレットを使わないで済む。あ、あれだけは確認とっておかないと……」
個別デュエルを行う前に行政府にとある確認を行った。
個別デュエルに於ける艦の数に関する問い合わせだ。
詳細は省くが、満足の行く結果だった。
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決戦の日がやって来た。もろもろの準備が整って良かった。
専用艦のCICに入りコクピットに座る。データリンク。
仮想空間上の個別デュエル模擬戦会場に向かう。
会場控室になる空間には『KIRARA(AKIRA)』『RIO』『NAHO(TANPOPO)』『SAYA』『MIYU』『KAMI』の6艦が集まっていた。
『KAMI』はオブザーバー参加の神澤社長だ。白い部屋の神ではない。
彼を除く5艦が模擬戦参加者で、社長は戦闘参加は出来ないが降伏の合図だけがは出来る。
『KIRARA』と『NAHO』は行政府許可済みの芸名参加だ。
艦の諸元は以下。(『KAMI』は不明)
『KIRARA』
艦種 艦隊指揮艦(艦隊旗艦)
艦体 全長212m 高速巡洋艦型 2腕 拡張格納庫 (???)
主機 対消滅反応炉G型 高速推進機D型
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 50/50 特殊弾 20/20特殊弾 20/20
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型 サブ電脳D型
空きエネルギースロット 5
状態 良好
『RIO』
艦種 突撃艦
艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉D型 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲連装2基4門
対宙砲 10cmレーザー単装6基6門
ミサイル発射管 E型標準4基4門 最大弾数2×4 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾D型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『NAHO』
艦種 狙撃艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉C型 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身30cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲単装2基2門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 対艦レーダーB型(射撃補正装置付き) 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『SAYA』
艦種 防宙艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 4腕(簡易型)
主機 熱核反応炉E型 高速推進機F型
兵装 主砲 15cm粒子ビーム砲連装2基4門
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー連装4基8門
ミサイル発射管 F型防宙4基4門 最大弾数20×4 ミサイル残弾 80
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾D型 4
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『MIYU』
艦種 防宙輸送艦
艦体 全長250m 輸送艦型 2腕 拡張格納庫 (空)
主機 熱核反応炉E型 高速推進機F型
兵装 主砲 なし
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー単装12基12門
ミサイル発射管 F型防宙4基4門 最大弾数20×4 ミサイル残弾 80
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 2
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 2
状態 良好
『KIRARA』が文字通りの旗艦で中衛担当。『KIRARA』撃沈でも負けるから守られている。
『RIO』は突撃艦で前衛担当。標準NPC艦だと思わせるためにアバターはアイドル化していない。
『NAHO』は狙撃艦で後衛担当。後方から敵艦を狙撃してもらう。
『SAYA』は防宙艦で前衛担当。強力な防御力で艦隊を守ってもらう。
『MIYU』は防宙輸送艦で中衛担当。武装が防衛用のみなのでミサイルから艦隊を守ってもらう。
この5艦で自らの身を守り、敵旗艦を撃沈する。
攻撃力は弱いが防衛力は高い。菜穂さんが敵旗艦を狙撃撃破してくれれば勝てる!
個別デュエル旗艦担当の僕が全5艦のアイコンを掴んで参加艦艇選択画面にに放り込む。
戦闘宙域がランダムで決まる。重力異常宙域だ。
アバターモード固定。野球拳ルール。賭け試合。
対戦相手はバルチャー艦隊5艦。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
3・2・1。カウントがゼロになり目の前いっぱいに宇宙空間が広がる。
試合開始だ。
レーダー全周警戒開始。戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
艦隊フォーメーションを打ち合わせ通りに組み敵艦隊と対峙する。
敵艦隊捕捉。
何か変だ。敵艦1艦が先行して盾になっているようだ。
射撃補正装置を起動して重力異常スポットを計測する。
敵艦隊は重力異常スポットに守られるように囲まれている。
唯一の回廊は敵の先行艦が塞いでいる。
直接照準では後方の艦が狙えない。それなら!
「各艦、敵の先行艦を排除、続けて後方艦隊旗艦を狙う!」
射撃補正装置で敵先行艦を拡大表示する。
女性アバター。(まあネカマモードで全員女性アバターなんだけどね)
「ん? なんか見たことがあるような気がする」
菜穂さんが狙撃モードで拡大して敵先行艦を観察する。
「アキ……いや、きららちゃん! あれアヤメちゃんだよ!」
あの初心者講習のチームメイト、アヤメが盾になって敵艦隊を守っていた。
「なんで野球拳ルール専門艦隊にアヤメが? まさか、騙されてやってるのか?」
僕はまた頭を抱えることになった。
「どう見ても脱ぎ要員にされてるね……」
これは保険が必要だな。格納庫オープン。放出。