041 アイドル編17 乙女の危機
遅れました。すみません。
神澤プロモーションSFO支社会議室で神澤社長が頭を抱えていた。
その目の前でブラッシュリップスSFOマネージャー沙也加は泣き腫らした目で俯いていた。
「どうして相談もせずに個別デュエルを受けてしまったんだ」
「だって、個別デュエルの対戦相手を探しておいてくれって社長が……」
「そうは言ったが、正式契約するのは俺の許可を待ってもらわないと拙いだろ」
「だって、相手は若い女の子だったし、まさかあんな内容だったなんて……」
また沙也加が泣き出してしまった。
彼女はアイドルマネージャーとして最悪のミスをしていた。
彼女が契約してきた個別デュエルは野球拳ルールだった。
あの悪名高き脱がせルールのエロ動画配信だ。
キャンセルは不可。個別デュエルの敗北宣言のみが認められていた。
負けた場合のペナルティは相手が指定する装備の譲渡。
この契約さえ成立させてしまえば、相手はどっちにしろ儲かるという詐欺的な契約だった。
こちらがアイドルグループの艦隊であると判っていてハメに来たことは間違いないだろう。
この契約のために新たに女性メンバーをスカウトし交渉役にするとか、まだ慣れていない新人マネージャーをターゲットにして契約に持ち込むなど計画性が高く悪質だった。
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神澤社長の緊急招集で僕達メンバーも事務所に集まってきた。
頭を抱えた神澤社長から今回の個別デュエル契約の事情と問題が説明された。
続けて神妙な面持ちで神澤社長が意見を述べる。
「俺はペナルティを払ってでもキャンセルするのがブラッシュリップスのためだと思う」
僕はその言葉が信じられなかった。
それは僕がアイドルになるのを承諾するに至った重要な要素の一つが危機に晒されていたからだ。
「ちょっと待って。そうなると奪われるのは僕のGバレットだと思うよ。しかも、奪われるのはリアルな装備なんだから、それは困る」
装備を賭けた試合では、勝った側に負けた側の装備一覧が渡される。
そこに巷で話題のGバレットが載っていたら、間違いなく奪われるだろう。
奪われなかったとしても、持っていることがバラされてしまうだけで大打撃だ。
それは僕にとって許容出来なかった。
「だが、例えアバターだとしても、アイドルとして全世界に裸を晒すわけにはいかない」
だが、神澤社長にも芸能事務所社長として許容できない矜持があった。
「なら、僕はアイドル辞めるよ。元々Gバレットの秘密を守るためのアイドル活動でもあるんだし」
「その場合は賞金の返還が必要になるんだがね」
「そうだった! なら僕は戦ってGバレットを守るよ」
神澤社長はまた頭を抱えてしまった。
菜穂さんが契約書類に目を走らせある項目を指摘する。
「ここ、勝利条件に敵旗艦の撃沈があるわ。敵艦隊を全滅させなくても旗艦さえ倒せば勝てるわよ」
ちなみに、ここで言う旗艦は僕の専用艦のような艦種としての旗艦ではなく、模擬戦艦隊の指揮担当という意味での旗艦だ。
「相手艦隊は5艦で、こちらも艦数を合わせていいことになってるね。NPC艦を使わずにRIOを使えば相手を驚かすことは出来そうだ」
「向こうが標準型のNPC艦だと思ってくれれば、戦力差で意表をつくことが出来るわね。勝てる可能性はあるわ」
僕の言葉に菜穂さんも勝ち筋が見えたようだ。
「取られるぐらいなら、最悪Gバレットを撃ち込んでやる!」
「だが、メンバーが下着姿にされそうになったら降伏するからな」
こうして、どうせ取られるならギリギリで降伏しても同じだと、戦うことが決定した。
掛け試合に関する説明が不足していたため誤解を生む結果になっていました。
説明文を加筆しました。




