031 アイドル編7 模擬戦トーナメント3
模擬戦トーナメントビギナークラス3艦の部準決勝。(といっても2回戦だけどね)
僕の出番は勝ち上がりで第ニ試合。
相手艦隊は「たけのこ」という名前らしい。
やっぱり艦隊名を登録するのがデフォのようだ。
こちらの戦力はおなじみ『AKIRA』『RIO』『NPC艦D型』の3艦。
トーナメント終了まで弾の補給が無いので残弾数が減っている。
もしも損傷していたら、その損傷も引き継ぐことになる。
例えば武器や盾が壊れていたら使用不能になり、停滞フィールドにダメージを負っていたらそのダメージも引き継ぐ。
それが最下段の項目『状態』に示される。
『AKIRA』
艦種 艦隊指揮艦(艦隊旗艦)
艦体 全長212m 高速巡洋艦型 2腕
主機 対消滅反応炉G型 高速推進機D型
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 50/50 特殊弾 20/20
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型
空きエネルギースロット 6
状態 良好
『RIO』
艦種 突撃艦
艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉D型 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 73/80
副砲 15cm粒子ビーム砲連装2基4門
対宙砲 10cmレーザー単装6基6門
ミサイル発射管 E型標準4基4門 最大弾数2×4 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾D型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『NPC艦D型』
艦種 駆逐艦
艦体 全長100m 駆逐艦型 2腕
主機 熱核反応炉G型 標準推進機B型
兵装 主砲 12cmレールガン単装1基1門 通常弾 40/40
副砲 10cm粒子ビーム砲単装2基2門
対宙砲 5cmレーザー単装2基2門
ミサイル発射管 D型標準3基3門 最大弾数4×3 ミサイル残弾 9
防御 耐実体弾特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)G型
電子兵装 対艦レーダーG型 通信機G型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
準決勝第一試合、第ニ試合も試合が同時に行われる。
目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『RIO』『NPC艦D型』のアイコンを掴んで放り込む。
戦闘宙域は「重力異常宙域」にランダム設定される。
長距離射撃が厳しい宙域だ。
準備完了。試合時間を待つ。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。
試合開始だ。
レーダー索敵開始。
戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
敵艦の位置はレーダーで捉えられるが、重力異常宙域のためお互い長距離射撃が撃てない。
NPC艦D型もRIOも射撃補正装置が無い。
僕の専用艦も豆鉄砲の5cmレールガンだ。
敵艦発砲。レールガンの弾が重力異常で曲がり、有効弾にならない。
しびれを切らしたたけのこ艦隊が突撃してくる。
向こうが当たらないということは、こちらの弾も当たらないという判断だろう。
レーダーと光学観測の結果、敵艦は巡洋艦クラス3艦。
ミサイルを大量搭載したミサイル艦のようだ。
ミサイルが筍のように艦体から生えている。
(あ、それで「たけのこ」艦隊なのね)
距離を詰められてのあの数のミサイルによる飽和攻撃は必殺の威力があるだろう。
僕は危機感を持った。やつらがミサイルを一斉発射する前に撃墜する必要がある。
僕はしばらく熟考する。
たけのこ艦隊からは牽制のレールガンが撃ち込まれるも至近弾は盾で滑らせて防御出来ている。
そして、あるアイデアが閃いた。
RIOには射撃補正装置が無いので大口径20cmレールガンの命中は厳しい。
だが、僕の専用艦は対艦レーダーS型。あらゆるオプションも含む最上級の装備。
当然射撃補正装置もある。だが主砲は豆鉄砲の5cmレールガン。
でも、戦術兵器統合制御システムを使えば、僕の専用艦の照準でRIOのレールガンが撃てるんじゃないのか?
僕は射撃補正装置を起動してVR画面に重力異常をグラフィック表示させる。
RIOのレールガンを意識すると専用艦の武装に『RIO長砲身20cmレールガン』が加わる。
早速右腕に接続するイメージで主砲設定を交換。
RIO視点で照準を合わせる。
たけのこ艦隊は横一列に並んでいる。
その中から重力異常の影響が一番少ない中央の巡洋艦を狙う。
(レールガン発射!)僕は頭で意識する。
するとRIOが20cmレールガンを発射した。
敵中央の艦に直撃!続けて発射をイメージするとレールガンが連射される。
突然大爆発が起こる。ミサイルが誘爆したのだ。敵中央艦は轟沈した。
専用艦の射撃補正装置で照準してRIOでレールガンを撃つというアイデアは成功だ。
続けて左右の敵艦を狙おうとするも、いきなり両艦が大爆発を起こした。
こちらはまだ撃っていない。
ミサイルの敵はミサイル。ミサイル防御でレーザーを集中運用しようとしたのだろう。
その密集隊形が仇となり中央艦の爆発で誘爆してしまったようだ。
『全艦撃破。試合終了。アキラ艦隊の勝利です』
システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。
ミサイルの集中運用は怖いな。
ミサイル艦3艦だけじゃなく護衛艦が守っていれば怖い存在だったはず。
「よし、でも2勝賞金20,000Gゲットだ! 次は決勝!」
同時刻。ステーション内面接会場。
神澤社長とタンポポこと菜穂がVR画面を見ながら話している。
「今日も大した候補者はいなかったわね」
「そりゃ実力があって美人なら、SFOには他に稼ぎ口がいくらでもあるからな」
「むしろ、私達みたいにアイドルをプロゲーマーにした方が楽だったわね」
「そうだな。そろそろ募集も終了にしないとな」
「でも、採用者が私推薦の1人だけじゃなくて?」
「とりあえず、菜穂、紗綾、美優のオリジナルメンバー3人と例の1人で4人で始めようかと思う。もう1人は地球で探して育てて3ヶ月後かな」
VR画面上の試合が終わる。
模擬戦トーナメントビギナークラス3艦の部準決勝。
「この子、いいでしょ?」
「ああ、決まりだな」
晶羅の知らない所で計画は勝手に進んでいた。
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