027 アイドル編3 1人ぼっちの艦隊
遅くなりました。
なるべく2時までに投稿する予定です。
アイドルオーディションの二次試験に合格した。
何かの間違いだろうから、辞退のメールを送っておいた。
僕はアイドルじゃなく艦隊の通信担当に応募したんだからね。
今は地球の家にいるから、地球のネットでオーディションに関する情報収集をしてみた。
ステーションからは直接地球のネットには繋げられないんだよね。
簡単に繋がると機密情報が駄々漏れする可能性があるから、利便性より安心を取ってクローズドネットワークにしているらしい。
なので家からネットで調べているわけだけど、アイドル艦隊の募集は大々的に行われていた。
SFOのプロゲーマーになってアバターを利用すれば、アイドルが宇宙で歌い踊るという事が可能だと神澤社長が思いついたらしい。
模擬戦映像でリサイタルを開きプロモーション活動をしようという目論見のようだ。
今の御時世、アイドル戦国時代と言われるほどアイドルグループが溢れている。
そこで目立つためには使えるものは何でも使おうという逞しい方針なんだろう。
TVキー局番組に出れるのなんて、大手事務所出身アイドルか某国民的グループぐらいのもの。
必死に活動してもネット番組か、地元密着型アイドルがその地方局に出るのが良い所だ。
SFOと言えば世界的なオンデマンド放送局を持っているようなもの。
ゲームリプレイの放送がアイドルのプロモーション映像化するのであれば美味しい。
神澤社長は元々SFOプロゲーマーらしいので、そんな手口を思いついたんだろう。
事務所の既存アイドル3人グループをなんとかプロゲーマーにし、追加メンバーとして戦力になる2人を経験のあるプロゲーマーから選ぼうと思ったらしい。
(ほら、やっぱり女性グループだ)
通信担当は、その芸能活動の音響スタッフということだ。
なんでそのエントリーシートがアイドルオーディションに混ざったんだろう。
早速断っておいて良かった。
さて今日は行政府まで行ってミーナに相談をするつもりだ。
1人艦隊が成立するのか、RIOを無人で操艦できないかというのが相談ポイントだ。
低武装の専用艦で多数の艦と戦うのは不本意だが、無人艦が利用できれば戦えないこともない。
そこで少しでも善戦して名を売れれば、他の艦隊に入れてもらえるかもしれない。
勝てなかったとしてもシミュレーター上のことなら、例え轟沈されても艦に損傷は残らない。
負けて元々でも参加してみたい。
僕は腕輪を使ってステーションの行政区に転移した。
行政塔に移動し受付でミーナを呼んでもらう。
ついでに談話ブースを借りておこう。
ミーナがやって来た。
「晶羅さんにゃ。何か用かにゃ?」
いつものようにミーナが聞いてくる。
「相談したいことがあるんだけど。談話ブースを取っておいたからそっちでいいか?」
「秘密の話か? いいにゃ」
ミーナは何か察したような顔をすると談話ブースに向かう。
周りを警戒する素振りをしてミーナが談話ブースに座る。
そこまでしなくてもいいんだけど、微笑ましいから問題ない。
僕もちょっと乗って神妙な顔つきをする。
「実は」
「(ゴクリ)実は何にゃ?」
「艦隊のことなんだけど……」
「艦隊がどうしたにゃ?」
「1艦でも艦隊名乗っていいのかな?」
「にゃ? それだけ?」
「いや、それだけじゃないんだけど……」
「やっぱり、何かにゃ?」
ちょっと勿体ぶってみる。
「無人で艦を動かす事はできるの?」
「何だその普通の質問はーーーーーーーーーーー!」
「からかってごめんなさい」
ちょっとふざけ過ぎたようだ。
ミーナがちょっと怒った感じで説明してくれた。
「艦隊は1艦でも組めるにゃ。
ただし個別デュエルにゃら相手によっては1対多で戦うことを強要されても文句は言えにゃいにゃ。
模擬戦トーナメントにゃらば、艦の数合わせでNPC艦を利用できるにゃ。
このNPC艦が無人艦にゃ。艦の電脳が制御するからアバターも居るにゃ」
電脳が制御していてアバターがいる艦ならRIOもそうだぞ。
僕はRIOが使えることを期待してミーナに聞く。
「もしかしてRIOをそのNPC艦として使うことが出来ないか?」
ミーナは記憶を探るように思い出そうとしている。
「RIOは元ギルドのNPC艦にゃ。それを貸していたからレンタル艦と言っていただけにゃ。
それが成長した艦にゃんだからNPC艦扱いににゃるにゃ」
これは良いことを聞いた。
艦隊は1艦でも組める。
個別デュエルに於いては対戦相手によって1対多を強要される。
模擬戦トーナメントに於いては数合わせでNPC艦を利用できる。
RIOもNPC艦として使える。
自分で成長させられるRIOをNPC艦として使えるのは初見殺しに出来そうだ。
「ただし、それはシミュレーション空間の中のみにゃ。実戦ではRIOにもパイロットが必要にゃ」
「いや、模擬戦トーナメントで使えるということがわかって助かった。ありがとうな」
(よし、これで1人ぼっちでも艦隊が組めるぞ)
自由デュエルという表記を個別デュエルに統一しました。