002 修行編2 ステーション ギルド
10話投稿3話目です。
「とりあえずステーションの案内を頼むよ」と僕。
ミーナは頷くと白い部屋の白い壁に近付いていく。するとドアがシュッと開いた。
そこはプリンスが出入りしていた場所で、内側からはドアが判別出来ない。
二人で廊下に出るとドアが閉まる。廊下側からは出入口がわかりやすく色分けされている。
なるほどゲストが勝手に出歩かないように一応安全対策なんだろうな。
僕一人だとロックされていて出入口だとも気付けないのだろう。
所謂軟禁部屋? まあしょうがない。運営側から見ればセキュリティ大事だし。
廊下には同じ出入口がいくつも並んでいることがわかる。
同時に何人か収容出来るようになっているのだろう。
廊下をミーナに連れられて歩いて行くとエレベーターホールに行き着く。
そのまま1Fに降りるとエントランスに出る。
「ここは行政塔にゃ。何かあったら1F受付でミーニャを呼ぶといいにゃ。
では案内するにゃ」
”案内”が”あんにゃい”になっていることは脳内変換してスルーしておこう。
僕は広いエントランスをミーナに連れられて出て行く。
ブロック構造体が連なった宇宙ステーションかと思っていたら、巨大構造物の中に建物が建っていた。
「ステーションは直径100km高さ20kmの扁平な球形構造にゃ。1km級の宇宙戦艦を格納するにはこれくらいにゃいとだめにゃ。
だから移動は転送ポートを使うにゃ。晶羅さんはまだ住居が決まっていにゃいので居住区の案内は省略にゃ。
専用艦が竣工して格納庫が決まるとそこに隣接した居住区が指定されるにゃ。
だいたいは格納庫の真上の居住区になるにゃ」
横から見たらまんま葉巻型UFOだろう。
なるほど、アブダクションといいリアル元ネタに遭遇したわけか。
少し歩くと光の柱が中心に立つ広場に出た。
「ここが転送ポートにゃ。ステーション内の主要施設の前には必ずあるにゃ。
腕輪に行きたい先を告げて光の柱に入れば転送されるにゃ。
施設は行政区、商業区、居住区、格納庫区、ドック区、工業区、生産区、戦闘区、機関区、航法管制区に分かれているにゃ。
戦闘区以降は立ち入り禁止区域にゃ。生産区は一部がバイトに公開されているにゃ。
立入禁止区域への転送は禁止されていてアカウントのレベルによって転送されにゃくにゃっているにゃ。
あと転送先は各区域内でも細かく指定できるにゃ。慣れたら近い転送ポートを選択すればいいにゃ。
では次にギルドに案内するにゃ」
そう言うとミーナは転送ポートから離れて行く。
え?と思ってついていくとギルドは行政塔の目の前にあった。
「ここがギルドにゃ。正確には航宙士斡旋所にゃ。
あまり余計な単語を覚えると外でポロっと口にしてしまうのでゲーマーギルド略してギルドと呼んでいるにゃ。
晶羅さんは専用艦がまだ無いので無料で艦をレンタルできるにゃ。
ただし壊すと修理費の一部は負担してもらうにゃ。
ここで各種クエストを受注したり、艦隊同士の仮想空間での模擬戦カードを組んだりするにゃ。
一方的に喧嘩を吹っ掛けられて不利な戦いににゃらにゃいように、対戦には必ずギルドが間に入ることににゃっているにゃ。
そこらへんは家庭用ゲーム内と同じ仕様にゃ」
その言葉に僕は冷や汗をかいた。
だって姉貴のセーブポイントでズルをしてSFCをプレイしてないからな。
とりあえず簡単な仕事から入った方がいいだろう。
薬草採取ってあるのかな?
アカウントが共通で使えるのでギルド登録は必要無かった。
空いている窓口に行くと定番の受付嬢さんが座っている。
モブなので外見は省略。
「こんにちは。レンタル艦1つに初心者用の簡単なお仕事1つ」
◯ックかというノリで注文を入れる僕。ミーナのジト目がちょっと痛い。
受付嬢さんは笑顔でスルー。仕事をテキパキとこなす。
「初心者でしたら、デブリ採取の仕事がお薦めです。小惑星帯での依頼があります」
初仕事としては問題なさそうだ。慣熟航行に打って付けだろう。
「じゃあ、それで」
「クエスト報酬が2000G、回収したデブリの価値を査定して買い取ることも可能です。レンタル艦は標準採掘仕様の2腕装備の10番にしますね。
レンタル料は……。建造期間中で無料ですね」
受付嬢さんは、端末で腕輪からデータを読んだようだ。
「レンタル艦の格納庫は、ギルド格納庫10番です。腕輪に使用許可を書き込みます」
受付嬢さんが端末を操作すると腕輪が光り電子音がピッと鳴る。
「それではクエスト受付完了です。よい航海を」
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