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016 初心者講習2 模擬戦シミュレーター

週間宇宙〔SF〕ランキング4位になりました。

みなさんのおかげです、ありがとうございます。

 仮想シミュレーターの擬似CICに入りコクピットに座る。

すると目の前に仮想スクリーンが開き演習空間がVR表示される。

そこには3体の武装少女が映っている。

武装少女は顔が僕、アヤメ、タンポポになっている。所謂アバターだ。

武装は同じ。シミュレーターなのでステーション標準艦D型、通称NPC(モブ)(駆逐艦)型になるんだそうだ。

艦の諸元は以下。


『NPC艦D型』

艦種 駆逐艦

艦体 全長100m 駆逐艦型 2腕

主機 熱核反応炉G型 標準推進機B型

兵装 主砲 12cmレールガン単装1基1門 通常弾 40(残弾)40(最大)

   副砲 10cm粒子ビーム砲単装2基2門

   対宙砲 5cmレーザー単装2基2門

   ミサイル発射管 D型標準3基3門 最大弾数4×3

防御 耐実体弾特殊鋼装甲板

   耐実体弾耐ビーム盾E型 1

   停滞フィールド(バリヤー)G型

電子兵装 対艦レーダーG型 通信機G型

空きエネルギースロット 0


 アバターの画像は控えめな部分鎧に右腕にレールガン、左腕に盾、両腰に粒子ビーム砲、両腿にミサイルポッド、背中に小さめなスラスター付きランドセルという出で立ちだ。

各アバターに視線を向けると頭の上に(下三角)と名前が表示される。

目の前が自分、左にアヤメさん、右にタンポポさんという配置だ。

ちなみにこの演習空間の何処かに対戦相手の男子チーム3艦も配置されているはず。

敵が目視出来る距離では始まらないということだ。


「演習空間は小惑星帯。勝利条件は敵の殲滅或は行動不能、降参とする。

タイムアップで戦闘中止。演習後教官が総評を行う。とりあえずは操艦感覚を掴め。

演習時間は30分。それでは模擬戦開始!」


 シイナ様の合図で模擬戦が始まる。

仮想スクリーンの左上には演習時間がカウントダウンされている。

僕達は対艦レーダーを動かして敵艦を探る。


「とりあえず、男子チームを探そう。デブリの影に気をつけて。それと二人は得意な分野はある? 僕は指揮担当なんだが」


 敵を策敵しつつチームとしての作戦を打ち合わせる。


「私はSFCで後衛の狙撃担当でした」とタンポポさん。

「私は前衛の切り込み役だね」とアヤメさん。

「じゃあ、僕の指揮でいいかな?」

「いいよ」

「かまわないよ」

「ありがとう。じゃあ、陣形は先頭にアヤメさん、次が僕、殿(しんがり)にタンポポさんの単従陣で行くよ」

「「了解」」

「あ、さんは無しでいいよ」

「私も無しでいいよ」

「わかった、僕もそうしてくれ」


 僕はアバターに意識を集中するとレールガンと盾を持ち替えるようにイメージする。

単従陣のメリットは敵に対して被弾面積を小さく出来ることだ。

先頭が盾を左に持っているなら続く僕は右に持った方が遭遇戦では対処しやすい。

最悪なのは待ち伏せている敵に無防備な横腹を取られることだ。

いざ戦闘になったら敵側に盾を持ち替えればいい。


 僕達はレーダーで索敵しつつ演習空間を行く。

レーダーには小惑星の岩塊しか映っていない。

おそらく男子チームは待ち伏せを選んだのだろう。


 しばらく進むといかにも艦を隠せる大きさの岩塊に接近した。

アヤメが盾で艦体を隠しつつ慎重に岩塊の裏に回る。

僕はアヤメの後を追いつつ周囲の岩塊を警戒する。敵は無し。通過する。


 その時、珍事(アクシデント)が起こった。


「ヒャッハーーーーーーーーー! 後ろを取ったぜ!」


 全周波数帯に声が響く。フォレストの声だ。

オープンチャンネルで叫んでいるのに気付いていないようだ……。

まあ岩塊の影から飛び出してきた時点でレーダーに捕まっているんだけどね。

それでも至近距離に詰められての突撃は効果がある。

僕はフォレスト(男アバターだと?!)に向かってミサイル3門全弾を発射して牽制を入れる。

すかさず周囲を見回し、進路変更を指示する。


「10時に回頭! おそらくフォレストは囮だ! 伏兵がいそうな10時の方向の岩塊へ進路変更しつつフォレストを迎撃する!」

「「了解!」」


 岩塊へ進路を向けたのは狙撃から被弾面積を小さくするため。

それと同時にフォレストへの攻撃位置を確保する。


「アヤメ、進路の警戒を頼む。タンポポと僕はフォレストを落とす!」


 おそらく前方の岩塊にはオオイのおっさんがいる。一番心配なのはキリさん。

上手く連携がとれているなら決定的瞬間にキリさんがこちらの弱点を突いてくるだろう。


 僕はミサイルを次発装填しつつビーム砲でフォレストを撃ちまくる。

フォレストもSFCクリア者だ。艦の扱いは上手い。すかさず盾で防御する。

その隙にタンポポがレールガンを撃ち込む。二艦に狙われるというのはそういうことだ。

NPC艦D型は艦体にビーム防御が無い。ビームは停滞フィールドも抜いて来る。

従って盾で迎撃せざるを得ない。盾を動かせば逆側の艦体を無防備に晒すことになる。

そこをタンポポが上手く突いた。レールガンが連射され10発近くぶち込まれる。

停滞フィールドが連続射撃で無力化。艦体に弾が届き、装甲を抉っていく。

装甲にダメージが入る度にアバターの鎧が脱衣していく。男は見たくねー。

哀れフォレスト艦は航行不能判定となった。


「なんであいつ叫んじゃったんだ? 叫ばなければ初撃は取れたろうに」


 結局フォレストは僕が牽制で発射したミサイルの迎撃に追われて初撃を逃し、敢え無く(デブリ)となった。


「12時に動きは?!」

「今、動いた」


 そう言うなり、アヤメが敵艦にビーム砲を雨あられと打ち込んだ。

隙を突いたつもりの敵艦が慌てている。

こちらのフォレストへの迎撃が早すぎて予定が狂ったのだろう。

しかも緊急回頭で接近中だ。

挟み撃ちにしたつもりが各個撃破の危機に陥ったわけだ。


「全艦ミサイル全射! 飽和攻撃でしとめる!」


 アヤメ、僕、タンポポの3艦から3発づつ、全部で9発のミサイルが発射され、別々の軌道をたどり敵艦に誘導されていく。

NPC艦D型の対宙レーザーは2門だ。しかも距離が近い。

回避機動をランダムでとり、レーザーの死角を狙ってミサイル9発が突っ込んで行く。

そのミサイル9発全てを迎撃するにはレーザー2門は力不足だった。

ミサイルが命中。敵艦は撃沈判定。やっぱりオオイ艦だった。

だが、予想していたキリさんの介入が無い。


「どうしたんだ? これは?」


 結局、タイムオーバーまでキリさんはみつからなかった。

判定勝ちで勝ちは勝ちだが完勝ではなかった。残念。

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