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160 自由浮遊惑星編2 文化侵略?

side:クロウニー星系 工場母艦内居住区晶羅邸(アキラ、嫁メンバー、嫁ーず)


 僕は工場母艦内に構えた邸宅で工場母艦と打ち合わせをしつつ寛いでいた。

クロウニー星系でのニアヒューム艦隔離作業と、ラスティ星系の小母艦の処遇を決めようという話だ。

ほぼ待ち時間なので、僕は邸宅のリビングのソファで寛ぎながら仕事をしていた。

僕の周囲には嫁たちもいるのだが、そのポジションを狙って不穏な空気が漂っている。

皇帝の娘つまり皇女であるステファニーは僕の左横の正妻位置をキープ。

右横には紗綾(さーや)が居たのだが、トレイに立った隙にラーテル族のジェーンが腕力で確保。

僕の股の間に入り床に座る形で美優(みゆ)が定位置をキープしている。

綾姫(あやめ)はその一歩引く性格が災いして壁の花になっている。

そして僕の後ろを確保しようと猫族のキャリーと犬族のマリーが、僕の仕事が邪魔にならない距離を取りながら牽制しあっていた。

あ、(かえで)は長い待ち時間に飽きて帰ってしまって不在だ。

そのせいで(かえで)の目に遠慮していた嫁ーずが、形振り構わないエロモードに入っていて、僕は生命の危機を感じているところだ。


『ダーリン、輸送艦が出来たよ』


 工場母艦から通信が入る。

ついにニアヒューム隔離用の次元隔離施設搭載大型輸送艦が竣工したのだ。

対消滅反応炉を7基持ち大容量の次元格納庫を6つ構築出来る。

クロウニー星系で無力化中のニアヒューム艦は6万艦にのぼる。

その全てを隔離出来るように設計されている。

その6基の次元格納庫にそれぞれ1万艦ずつ収納し、無力化信号を浴びせ続ける。

これでクロウニー星系に安全宣言が出せそうだ。


「ニアヒュームに平和の概念を教えることは出来ないかしら?」


 僕の仕事を隣で見守っていたステファニーが唐突に疑問を投げかける。

確かに、共通意識を持っているなら平和の概念を植え付ければ、ニアヒュームに戦いに対する忌避感が生まれるかもしれない。


「それはやってみる価値があるかもしれないね。

どうせ無力化信号を浴びせるんだから、そこに情報を乗せるということも可能だろう」


「それなら、私達の曲を聞かせよーよ」


 紗綾(さーや)が僕の後頭部に抱きついて来て言う。

僕の後ろのポジション争いはトイレから帰って来た紗綾(さーや)に奪われたようだ。

だが、頭に当たってるよ。紗綾(さーや)


「それもいいかもね。隔離区画は6つあるから、それぞれ違うアプローチをしてもいいだろう」


 僕の提案に、みんながアイデアを絞りだす。


「勧善懲悪の時代劇なんてどう?」

「なるほど」


 綾姫(あやめ)は実家が剣術道場をやっている関係で時代劇を推してくる。

ニアヒュームの行いが人間にとって悪であるという認識を植え付けるのは有りかもしれない。


「時代劇だと変な価値観を植え付けられそーじゃない? アニメがいーよ。魔法少女モノとかー」

「いいね。枠はあるから両方やってみよう」


 紗綾(さーや)がアニメを推す。柔らかいものを後頭部にも押している。 

女児向けのアニメなら勧善懲悪や友情なんかも描かれるから良いかもしれない。


「……クラシック……」


 美優(みゆ)がクラシック音楽を推す。


「ああ、情緒安定にいいよね。言葉が通じないニアヒュームには良いかもしれない。

ん? 言葉が通じない……。

そうか! 時代劇やアニメはニアヒュームが理解できる言語に翻訳しないとならないのか!」


 ここはゲールの出番だな。

ニアヒュームとのコミニュケーションをテーマに予算をつけて研究させていたんだから、今度こそ役に立ってもらおう。

時代劇やアニメの映像は神澤社長経由でステーションにいる地球人に任せて送ってもらおう。

ちゃんと放映権は買うように。海賊版ダメ絶対!

クラッシック音楽は著作権が切れているから問題ない。


「ニアヒューム言語翻訳はゲールに任せよう。映像は神澤社長経由で地球から取り寄せだな」


 そう言いながら僕はふと横にいるステファニーが気になった。

俯いて何か悲しそうな顔をしている。

そういえば、獣人嫁も同じように落ち込んでいる。


「どうした。ステフ」


 ステファニーが俯いたままポツリポツリと話し出す。


(わたくし)達帝国人は、娯楽といった文化で地球人より遅れているのです。

せっかく旦那様のお役に立てる機会なのに、何も出来ない自分が悔しいのです……」

「そうか。なら取り寄せた映像の上映会をやろう。地球の文化に触れて帝国に還元すればいい。

そうだ。領地でアニメを放送しよう。その吹き替えはステフ、キャリー、マリー、ジェーンに任せる。

自動翻訳機を使えば地球の言語もわかるだろう」

「「「「やります!」」」」


 僕の提案に嫁ーずは明るさを取り戻して協力を約束してくれた。

元々彼女達も独自のファッション文化は持っている。

興味を持てば自ら発展することも可能だろう。


『あのー……。ラスティ星系のニアヒューム隔離の話は……』

「そうだった! すまない」


 工場母艦がしびれを切らしていた。

僕にはまだ打ち合わせが残っていたんだった。




後日。


 魔法少女アニメにどっぷりハマった嫁ーずがいた。

いま見ているのは魔法少女が次から次へと死んでいくアニメだ。

誰だこれを混ぜたのは?

いや名作なんだけどね。彼女達にはまだ早いと思うんだ。



******************************

side:帝国帝都次元レーダー観測室


 その頃、帝国主星系に一つの天体が向かって来ている事が観測されていた。


「次元レーダー、量子レーダーに反応。重力異常検知。惑星です。惑星が近づいて来ています!」

「恒星なし。伴星なし。自由浮遊惑星か」

「ニアヒュームじゃないのか?」

「それより主星にぶつかったら大事だ!」

「コースは?」

「まだわからん」

「精密観測をする艦隊を派遣するべきだ」

「皇帝陛下に第一報を入れろ!」


 帝国主星に危機が迫っていた。

曜日の感覚がおかしくなってます。

基本2日に1回、週末3日に1回の不定期更新ということでお願いします。


間違えてアップしてしまいました。

これは一応29日水曜0時の回ということで。

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