015 初心者講習1 シイナ様
前回のRIOのミサイル発射管は最大弾数の少ないE型の間違いでした。
プリンスに呼び出されて行政塔の講習室に来た。
今日は新たに専用艦を手にした航宙士の初心者講習といったところだ。
講習室には僕以外に男3人に女2人の計6人が思い思いに座っている。
「みんなそろったな。これより初心者講習を行う」
入り口から颯爽と軍服姿の女性が入って来た。
「講習期間は5日の予定だ。私は教官のゲーマー名シイナだ。以後よろしく」
「「「よろしく」」」
「「よろしくお願いします」」
「……」
シイナはミーナと同様のジ◯ンっぽい感じの赤色の軍服を着て髪が腰まである長髪グラマーさんだ。
まるでシ◯マ様のようだ。いやシイナ様だな。年齢はみそじ……。
そう思考した瞬間、殺し屋のような視線が胸に刺さる。
僕は脂汗を流して思考を変える。年齢は20代(忖度)ぐらいだ。
シイナ様を見ると普通に笑顔だった。良かった。
心を読まれているようだが気のせいだろう。
「まずは君達も順番に自己紹介だ。本名は言うなよ。GNでいい」
シイナ様は自分の右側の人物から自己紹介を促した。
「GNオオイだ」オオイは30代おっさん。
「GNフォレストだ」フォレストは10代中二病男子。
「キリ……」キリは20代陰キャラ男子。
「GNタンポポです」タンポポは20代眼鏡女子。
「GNアキラです」と僕。
「GNアヤメです」アヤメは10代スポーツ系女子。
「じゃあ、キリさんから右が男子チームで、タンポポさんより左が女子チームね。この後の講習はチーム毎にやるからね」
(ちょっと待て、僕は女子じゃないぞ)
「良かった。女の子ばかりで組めて」
アヤメさんとタンポポさんが会心の笑顔で喜んでる。
(はい。どうせ女顔です。女子チームでいいです)
僕は折れた。男の方に混ざっても、まためんどくさいからな。
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シイナ様の講義が始まる。
「まず説明したいのはSFCとの違いだ。
SFCがゲームの性質上、個の集団vs艦隊の戦いであったのに対し、SFOは艦隊vs艦隊の戦いである。
艦隊を組み、その艦隊単位で模擬戦クエストや臨時クエストを受ける。
個の力を上げることより艦隊として相互に協力し合うことで、1+1+1を4にも5にもするのが目的だ。
艦隊は最低3艦で組む。上限は無い」
「その艦隊を組むことで行えるようになるのが艦隊模擬戦だ。
2組の艦隊が敵味方に分かれて、電脳空間内の戦闘フィールドで模擬戦を行い勝敗を決する。
この模擬戦の戦績によりステーション行政府から賞金や副賞のアイテムがもらえるぞ。
電脳空間なので攻撃は全て仮想シミュレーションによるものだ。
艦は実際の被害を受けずに済む。怪我や艦の損傷を心配する必要はない」
「この戦闘映像がゲームのプレイ映像としてオンデマンド放送される。
航宙士は放映権収入を得ることが出来、プロゲームをしているという言い訳が成立する。
国によってはブックメーカーが賭けの対象にしているそうだぞ」
「そこ! 本人は賭けられないから注意しろよ!」
オオイのおっさんの目が光ったのをシイナ様が見逃さず注意する。
「次に敵の存在を説明する。やつらは次元跳躍門のシステムに割り込んで転移してくる。
ゲートは恒星間航行用に帝国が設置したものだ。敵は帝国に反旗を翻す武装集団だと思えばいい。
奴らは勢力圏を広げるために次元跳躍門のある恒星系を侵略しようとしている。
その防御の要がステーションである。だが、人出が足りない。
そこで現地の者に艦を育ててもらい防衛を手助けしてもらおうというのが、我々ステーションがSFOを運営する所以だ」
(帝国というと皇帝の独裁だよな。そんな帝国の方が危険じゃないのか?)
僕が疑問を頭に浮かべると、シイナ様はまたそれに答えるように話す。
「帝国に侵略の意図はない。あるなら200年は前に侵略が終わっている。
帝国は太陽系に次元跳躍門を設置維持することが目的といっていい。
所謂中継点として重要だということ以外には興味がないと断言する」
(やっぱり心を読まれてる?)
「まあ、そんな疑問はSFOで稼げれば吹っ飛んでしまうさ。
では、これより模擬戦の演習を始めよう。
男子チームと女子チームに分かれて、後部にある6つのボックスに入ってくれ。
そいつが艦のCICを模した仮想シミュレーターだ」
僕らは3対3に分かれてシミュレーターに入っていった。
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