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159 自由浮遊惑星編1 皇位継承順位改定

side:クロウニー星系 (アキラ)


 無力化したニアヒュームの隔離作業のため、僕はまだクロウニー星系にいた。

僕らは工場母艦の格納庫に入り、内部の居住区画にてまったりと生活している。

ロレンツォが有人惑星であるクロウニー4から生活物資を融通してくれて助かっている。

僕らの「ら」とは嫁メンバー+嫁ーず+(かえで)の8人のことだ。

菜穂(なほ)さんは僕が専用艦の次元格納庫に収納しエリュシオンに送り届けた。

彼女は神澤男爵の恋人なので、こちらに縛り付けておくわけにはいかないからね。

みんな送り届けるつもりだったんだけど、僕のことが心配で残ると言って聞かなかった。

エリュシオン星系で、それを聞きつけた嫁ーずに捕まり、彼女達までこっちに来てしまった。

カイル(第1皇子)の実妹であるステファニーとは、初めての同居になる。


 ロレンツォ(第7皇子)は、主星系であるラスティ星系に戻り復興の指揮を取っている。

クロウニー星系には大破した要塞艦とニアヒュームの監視艦隊が残されている。

要塞艦は工場母艦に収納され修理中だ。

工場母艦によると新造より面倒くさいそうだ。

いっそ電脳と戦闘データだけ移植して新造艦を渡そうかと思ったのだが、配備先に渡された要塞艦はローカル文化や使い勝手によりカスタマイズされているらしい。

特に司令室の内装などは力が入っているとのことだ。

確かにその星系の領主が鎮座するのだから力が入るのは当然だろう。

なので面倒くさい修理が進められることになった。

尤も、必要な部品を配置して融合をかけるだけなのだが。

まあその必要な部品を調べるのが面倒だというはわかる。



*********************************

side:工場母艦内居住区晶羅邸(アキラ、ステファニー)


「旦那様、おめでとうございます」


 ステファニーが満面の笑みでお祝いの言葉を述べる。

僕は何のことか理解できずに首を傾げた。


「ステフ、何のことだい?」


 ステファニーは、僕がまだ知らせを受けていないのだと悟り説明する。


「先日、皇位継承順位の改定がございました。

そこで旦那様が皇位継承権2位、つまり第2皇子に認定されました」

「え? なんで2位? 僕の上にはカイル、ヘンリー、ルーカスの3人がいるよね?」

「旦那様の皇帝の因子の強さ、武力、経済力、品格の評価がヘンリー、ルーカスの2人を抜いたということです」


 僕は皇位継承権改定の仕組みを良くわかっていなかったようだ。

まず成人(帝国では15歳から)の新たな皇帝の因子持ちが確認されると、皇位継承権が認められる。

それに武力、経済力、品格の評価が加わり、継承順位が決まり入れ替わるのだ。

これが僕という存在が確認された時におきた改定だ。

僕は皇帝の因子が強く、品格がニュートラルだったため皇位継承権6位を得たわけだ。


 次に年に1度、その年の実績を加味した改定が行われる。

皇帝の因子の強さ、武力、経済力、品格が改めて評価され順位が入れ替わる。

この改定で最下位を5年連続で取った自然発生皇子は廃嫡となる。


 そして今回のように5人も皇子が居なくなるという場合も、帝国存亡の危機ということで改定が行われる。

第3皇子イーサン、第5皇子レオナルド、第8皇子ライオット、第9皇子ベンジャミン、第13皇子プリンス。

うん、全員僕絡みで死亡あるいは廃嫡だ。

これって僕が帝国存亡の危機を招いてるんじゃ……。

いや、ニアヒューム関係は僕のせいじゃない!


 今回、皇子が5人減ったことで、新たな血筋皇子が継承権を得ることになったらしい。

今までは現皇帝の子の成人男子という区切りがあった。

そこに現皇帝の孫の成人男子が加わることとなった。

廃嫡された子の子孫は除外。皇帝の因子の弱い者も除外。

ただし皇帝の子で皇子になれなかった者でも孫が強い因子を持っていれば対象となる。

もちろん皇帝の娘の子も因子が強ければ対象だ。

その孫の中から皇帝の因子が強い上位5名が例外的に加わることとなった。

あまりにも血筋皇子が減ったことへの危機感が働いたらしい。

だが、子を飛ばして孫を後継者にするというのも問題があるらしく、孫には継承順位にハンデが設けられているそうだ。

となると血の繋がっていない自然発生皇子の僕を皇帝にする気なんか元々無いんだろうな。

だから皇帝の娘と婚姻させたのか。孫は確実に血筋だ。


 そして改定された皇位継承順位がこれだ。


第1皇子:カイル 元第1皇子。血筋皇子。順当に地位を守る。

第2皇子:アキラ 元第6皇子。自然発生皇子。現皇帝の娘婿。武力、経済力、品格でポイントを上げ昇格。

第3皇子:ルーカス 元第4皇子。血筋皇子。第2皇子ヘンリーがニアヒュームにより大被害を受け繰り上げ昇格。

第4皇子:ヘンリー 元第2皇子。血筋皇子。ニアヒュームにより武力、経済力に大被害を受け降格。

第5皇子:ロレンツォ 元第7皇子。血筋皇子。第5皇子レオナルドとの戦いに勝ち領地を併合。そのため経済力が上がるが武力に大被害を受ける。上位の空席により繰り上げ。

第6皇子:ケイン 元第10皇子。血筋皇子。アキラへの賠償で経済力を下げるも、上位の空席により繰り上げ。

第7皇子:氏名不詳 元第11皇子。血筋皇子。上位空席により繰り上げ。

第8皇子:氏名不詳 元第12皇子。血筋皇子。皇帝の子で成人の中では末弟。上位空席により繰り上げ。

第9皇子:氏名不詳 孫1位。血筋皇子。娘と自然発生皇子の子。ハンデにより子の順位より下になっている。

第10皇子:氏名不詳 孫2位。血筋皇子。娘と自然発生皇子の子。ハンデにより子の順位より下になっている。

第11皇子:氏名不詳 孫3位。血筋皇子。ケインの子。ハンデにより子の順位より下になっている。

第12皇子:氏名不詳 孫4位。血筋皇子。皇子になれなかった息子の子。ハンデにより子の順位より下になっている。

第13皇子:氏名不詳 孫5位。血筋皇子。カイルの子。ハンデにより子の順位より下になっている。

第14皇子:氏名不詳 自然発生皇子。現皇帝の娘婿。

第15皇子:氏名不詳 自然発生皇子。現皇帝の娘婿。

第16皇子:氏名不詳 自然発生皇子。現皇帝の娘婿。


 氏名不詳が多いのは、弱い立場の者を寄って集って叩き、自らの継承権の安寧を謀ろうとする皇子が出るかららしい。

確かにレオナルドやルーカスあたりがやりそうな事だ。

まあおいおい判ってしまうんだろうけど、名簿に載った瞬間に攻め滅ぼされたんじゃたまらないからね。


 僕の昇格は置いておいて、驚くところはカイルの子が第13皇子になっていることだ。

カイルって若く見えるのに成人の父だったんだ。

そういや帝国人は延命措置により若い姿でも100歳超えということもあるらしい。

見た目お爺さんだったライオットとベンジャミンがプリンスの弟だって話だし、その兄であるカイルって何歳なんだろう?

あれ? もしかしてステフって……。ロリババア?

女性に年齢を聞くのがこんなに恐ろしい事だとは思わなかった。


「第13皇子ってステフの甥っ子なんだね」

(わたくし)は17歳ですよ?」


 じっと見つめる僕の目に何かを察したステフが自ら年齢を言って来た。

疑ってごめんなさい。

見た目も身体も若いということは子を作る期間も長いということ。

年上の甥が存在していても不思議ではない。

どうやら皇帝はお盛んでまだ子が生まれているようだ。

まあカイルの年齢を知るのが怖いのは置いておこう。


 そういえば、レオナルドも自然発生皇子だったらしい。

他の自然発生皇子のように皇帝の娘と結婚していたのかもしれない。

子はいたんだろうか?

もしかするとその子を助けるために皇帝はレオナルドを謀反人にしなかったのかもしれない。

サブタイトルがネタバレなことはスルーしてください。

8200pt達成ありがとうございます。

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