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155 帝国内乱編13 絆

side:レオナルド


「なんなんだ、あいつは!」


 ロレンツォ(第7皇子)を葬り去ったと思った瞬間、謎の大型戦艦が現れ要塞砲を防ぎ、一瞬のうちに味方要塞艦のニアヒュームを殺して行った。

ラスティ星系で分捕った無人艦2万5千の支配も奪われ、さらに自らの艦隊の無人艦1万5千にまで敵の支配が及んでいた。

今、こちらが動かせる艦隊は親衛艦隊5千のみ。

頼みのニアヒューム艦も6万弱ほどしか残っていなかった。

そのニアヒューム艦も動きが鈍い。

奪われた無人艦から攻撃を受けると反撃するが、攻撃を受けなければ待機状態になってしまう。


「黒騎士のやつに騙されたわ! ニアヒュームを制御出来ると言うから食客にしてやったのに、制御が完璧じゃねーのかよ!」


 レオナルド(第5皇子)は思い出す。

あの2人が転がり込んで来た時のことを。

圧倒的な性能を持つ専用艦に乗り、帝国が相容れない天敵と呼ぶニアヒュームを制御出来るという売り込みだった。

レオナルド(第5皇子)は隣の星系を支配しているロレンツォ(第7皇子)の存在が面白くなかった。

奴の星系は、上位皇子とトラブルになり奪われた自分が手塩をかけて育てた星系だったからだ。

そのロレンツォ(第7皇子)がニアヒューム対策で出撃中という好機に、こちらの星系にもニアヒュームを向かって来ているという状況。

格好のタイミングで現れた2人の口車に乗ったのは、彼らが実際にニアヒューム艦を引き連れていたからだった。


「奴らを利用したつもりで利用されてたのかもしれねーな」


 レオナルド(第5皇子)はギリリと奥歯を噛みしめた。


「要塞砲に反応炉からエネルギーを直結しろ、1発でいい。奴らにぶち込んでやる!」


 レオナルド(第5皇子)の指示に配下が慌てて従う。

程なくして要塞砲の使用が可能になる。だが、それはいつ爆発するかもしれない危険な行為だった。

黒騎士はレオナルド(第5皇子)とは別の要塞艦から出撃しアキラと戦っていた。


「くくく。俺は運が良いな。同一射線上に獲物が固まっていやがる」


 レオナルド(第5皇子)は照準をつけると笑いながら要塞砲の引き金を引いた。



********************************

side:アキラ


 要塞砲の光条が近づいてくる。

プリンス艦もカレン艦も侵食が追いつかない。侵食中のため自分の意志で回避行動も取れない。

見捨てる? そんな決断は僕には出来なかった。

そんな僕の甘い所が命取りになる。シイナ様に言われた通りだ。


『緊急回避、次元跳躍(ワープ)準備完了しています。タイムリミットまでカウントダウン。20秒前』

「却下だ! 次元格納庫に格納出来ないか!?」

『敵性艦は格納出来ません』


 僕は焦る。既に回避限界を迎えつつある。カウントダウンが耳に響く。


「せめて盾になる艦を!」


 盾として次元格納庫から搭載艦を展開するも焼け石に水だろう。

その時、懐かしい声が響いた。


『何やってんの、お兄ちゃん!』


 (かえで)の戦艦が要塞砲の射線を遮るように次元跳躍(ワープ)アウトしてくる。


『……めっ!』


 (かえで)艦にコバンザメのようにへばりついた美優(みゆ)艦が次元格納庫から紗綾(さーや)艦を放出する。


『全く、晶羅(あきら)っちは。なんでも1人でやろうとするんじゃないぞ』


 紗綾(さーや)艦が前に出ると相転移フィールドを展開し、要塞砲の光条を防ぐ。

続けて菜穂(なほ)艦が美優(みゆ)艦の次元格納庫から出てくる。


『いつだってお姉さんを頼っていいのよ?』


 菜穂(なほ)艦が強力なジャミングをかける。

ニアヒューム艦が混乱し同士討ちを始める。

続けて綾姫(あやめ)艦が美優(みゆ)艦の次元格納庫から出てくる。


『教官が言ってた。艦隊は1+1を3にも4にも出来るんだって。私達を何だと思ってるの?』

『『『『『私達はブラッシュリップス艦隊よ(だぞ)(ん)』』』』』

『私達1人1人の力では何も出来なくても、全員が揃えば晶羅(あきら)と同じ事だって出来ちゃうんだからね?』


 僕の頼もしい仲間が助けに来てくれた。


「そうだった。僕はもうぼっちじゃなかったんだ」


 綾姫(あやめ)艦が高速移動を始める。

レオナルド(第5皇子)の要塞艦に向かって赤い光を引いて離れていくと要塞砲を破壊してまわる。

あっと言う間に処理すると蒼い光を纏って帰って来た。

だが、急制動をかけて止まったと思ったら宇宙空間を漂い始めた。


美優(みゆ)~。回収して。もう動けないよ』

『ん』


 綾姫(あやめ)艦の活動限界時間は短かった。

どうやら、彼女達の専用艦の能力は僕の大型戦艦の劣化版のようだ。

(かえで)艦は次元跳躍(ワープ)装置。加速装置(アクセラレータ)無し。

美優(みゆ)艦は次元格納庫。容量制限有り。

紗綾(さーや)艦は相転移フィールドバリヤー。フィールドの大きさが小さい。

菜穂(なほ)艦は電子戦装備。もしかすると僕の専用艦より強力?

綾姫(あやめ)艦はV-MAX。速度が多少劣り、活動限界が早い。


『その能力、どうやって手に入れたのさ?』

(かえで)は元から次元跳躍(ワープ)機関を持っていたけど、他は急に融合フィールドに包まれちゃってさ。

融合が終わったらレベルアップしていたんだよ』


 もしかして、僕と接触したことが影響したのか?


『そんなことより、さっさと敵をやっつけるよ!』

綾姫(あやめ)の位置は晶羅(きらら)が入って。フォーメーションAで行くよ!』

『『『『おー』』』』


 久しぶりにブラッシュリップス艦隊のオンステージだ。


『ちょっと! いまダブル晶羅(きらら)になっちゃってるよ!』


 晶羅(きらら)の代役をしていた(かえで)が叫ぶもみんなに無視されていた。

ファンが見て無ければそこはどうでもいいのだろう。

評価、ブックマークありがとうございます。おかげ様で7900pt達成しました。

いつのまにか150万PV超えもしていて嬉しい限りです。

次回は土曜更新の予定です。


ニアヒューム艦の数を6万弱に変更しました。以前と計算が合っていませんでした。

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