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150 帝国内乱編8 奇襲

side:電脳空間極秘会議室(アキラ、カイル、ロレンツォ)


 (アキラ)ロレンツォ(第7皇子)領の星系を巡り次元跳躍門(ゲート)を物理的に破壊した。

レオナルド(第5皇子)が他の星系にまで手を出す前に援軍を呼び討伐する時間を稼ぐ必要があったからだ。

僕は仕事を終えるとクロウニ―星系で一息ついていた。


「さて、緊急性のある仕事をもう1つこなさないとね」


 僕はカイル(第1皇子)に通信を送り、緊急報告会議の開催を要求した。


ロレンツォ(第7皇子)、いいかな? 今から極秘会議室へ向かうよ』

『待っていたよ。アキラ』

『じゃあ、要塞艦の仮想空間にアバターで待機していてくれるかな?』

『了解した』


 僕は専用艦から仮想空間に入り要塞艦の仮想空間に潜るとロレンツォ(第7皇子)のアバターをピックアップしてネット上の極秘会議室に向かった。

そこには既にカイル(第1皇子)のアバターが到着していた。


カイル(第1皇子)、緊急報告だ!

レオナルド(第5皇子)はニアヒュームを支配下に置き総数18万越えの艦が共闘しラスティ星系で待ち伏せしていた。

レオナルド(第5皇子)にニアヒュームをぶつける作戦は失敗どころか敵に援軍を送ってしまうことになった。

既にラスティ星系はレオナルド(第5皇子)の支配下にあり要塞衛星も奪われていた。

僕の反物質粒子砲も無効化されてしまった。

要塞衛星の要塞砲は破壊したが、僕らは劣勢で撤退するしかなかった」

「ニアヒュームを支配下にだと? それは本当か!? アキラ」

「それは私も目にした事実だ。レオナルド(第5皇子)とは戦力差が大き過ぎて戦えなかった」


 ロレンツォ(第7皇子)が追認するとカイル(第1皇子)は顎に手を当てて考えこんでしまった。


「それで僕は緊急事態と考え撤退先の次元跳躍門(ゲート)を物理的に破壊することにした。

わかってる。戦後すぐに新造の次元跳躍門ゲートを設置する」


 次元跳躍門ゲートを破壊したという話にカイル(第1皇子)が渋い顔をしたので先回りして説明し無駄な議論を回避する。


「それでレオナルド(第5皇子)を星系に閉じ込めるためハブ次元跳躍門(ゲート)の下にある次元跳躍門(ゲート)は全て破壊した。

レオナルド(第5皇子)の移動手段はニアヒュームの小母艦級しかない。ニアヒュームの次元跳躍(ワープ)は1日1光年だ。

ラスティ星系から最短距離の星系でも15光年離れている。つまり15日の猶予を手に入れたってことだ」


 僕の言葉に続けてロレンツォ(第7皇子)が言う。


「そこでカイル司令には援軍の派遣を要請したいのだ。

レオナルド(第5皇子)の艦隊は私達との戦闘で14万までは減っていると推定される。

こちらは宇宙艦6万5千と要塞艦9しか戦力がないのです。

互角以上に戦うために最低10万艦の派遣をお願いしたい」


 ロレンツォ(第7皇子)の要請にカイル(第1皇子)は難色を示す。


「うーん。だが無人艦はレオナルド(第5皇子)に乗っ取られる可能性が高い。

10万となると全て有人艦を揃えるのは無理だ」


「そこは対策がある。

僕の制御下にあった無人艦も乗っ取られたけど、敵の通信を阻害することで取り戻すことが出来た。

おそらく戦術兵器統合制御システムの制御信号を偽装して無人艦を乗っ取っているんだ。

その通信手段が次元通信システムを利用していたようで、ブラックボックスに信号を送ってロックしたら通信妨害も止まったよ。

だから次元通信システムを使ってもっと強い制御信号を送れば乗っ取りは無効化可能なはずだ。

たぶんこれで無人艦の乗っ取りは防げると思う」


「その手段の有効性は確認が欲しいが、援軍の移動にも時間がかかるな……。

よし、援軍10万は派遣しよう。その代わり乗っ取り防止策の成功が確認されるまでは参戦させない」


「それでいいと思 ブチッ!」


 突然通信が切れアキラのアバターが消えた。


「おい、どうしたアキラ!」


 見るとロレンツォ(第7皇子)のアバターも固まっている。


ロレンツォ(第7皇子)! 応答しろ!」


 カイル(第1皇子)の叫びだけが極秘会議室に響いていた。



**********************************

side:クロウニ―星系 (レオナルド)


 クロウニ―星系にレオナルド(第5皇子)()()()5艦が次元跳躍(ワープ)アウトして来た。

と同時に要塞砲にエネルギーをチャージ、4条のエネルギーの柱がロレンツォ(第7皇子)の要塞艦4艦に突き刺さる。

そして最後の1条が向かう先には晶羅(あきら)の専用艦があった。

高エネルギーの光の渦に巻き込まれた晶羅(あきら)の専用艦は粒子レベルへと変換されその姿を消して行った。


「殺った! 今度こそアキラを殺した!」


 レオナルド(第5皇子)は要塞艦の司令室で狂喜した。


「俺を舐めやがったのが運の尽きだ! どうせここに到着するのは15日後だと油断してやがったろ」


 レオナルド(第5皇子)は自分の思い付きが上手くいき有頂天になっていた。

その思い付きとは、こうだ。

マスターキーをロックされ動かなくなった要塞艦なんて部品以外に役には立たない。

ならその部品をニアヒュームに渡してやれば有効活用するだろう。

つまり、レオナルド(第5皇子)の要塞艦はニアヒュームに侵食され制御を奪われニアヒュームの要塞艦となっていたのだ。

要塞艦にはニアヒュームの小母艦級が2艦ずつ張り付いていた。

その小母艦級と要塞艦の格納庫からニアヒューム艦がわらわらと飛び出していく。

ニアヒュームなら黒騎士の力で服従させられる。

黒騎士の特殊専用艦がニアヒューム化要塞艦に搭載し同行すればレオナルド(第5皇子)の命令でさえ聞くということだ。


「次元レーダーもニアヒュームが取り込んで復活した。正規軍の無人艦はいただくとしよう」


 残り5艦の要塞艦にもニアヒュームが取り付き侵食していく。

クロウニ―星系はレオナルド(第5皇子)の支配下となって行った。



**********************************

side:クロウニ―星系 (ロレンツォ)


 アキラのアバターが停止すると同時にロレンツォ(第7皇子)の意識は要塞艦の司令室に引き戻されていた。


「何があった!」

「我軍の要塞艦に要塞砲が直撃しました」

「なんだと! 次元レーダーは!」

「敵影を捉えていませんでした」

「くっ。また妨害か。だがロックされたはずなのに、どうやって?」

「わかりません」


「アキラの専用艦は?」

「要塞砲の光に飲まれ消えました……」

「また変わり身の術であってくれよ、アキラ」


 ロレンツォ(第7皇子)は気を取り直すとダメージコントロールを命じた。

残った戦力でレオナルド(第5皇子)だけは討たなければならないと心に決めて。

表現不足を解消するため加筆修正しました。

ニアヒューム艦の運搬方法の記述を加筆しました。

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