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147 帝国内乱編5 危機

side:アキラ


ロレンツォ(第7皇子)! 罠だ。逃げろ!』


 (アキラ)の警告通信は妨害されロレンツォ(第7皇子)には届かなかった。

要塞艦9に搭載され次元跳躍(ワープ)アウトしたロレンツォ(第7皇子)の討伐艦隊は、レオナルド(第5皇子)に占拠された要塞衛星の要塞砲に狙われていた。


「くっ……。仕方ない。ロレンツォ(第7皇子)が対応する隙を僕が作るしかないな」


 僕は次元格納庫から無人艦を出すと僚艦共々Gバレットを発射する。

爆発する敵前衛艦隊。

それにより作られた一瞬の隙で要塞衛星の要塞砲に跳躍弾を発射する。

弱点は過去に把握済みだ。エネルギー伝送チューブ逆流防止回路、その一点を跳躍弾が狙う。

爆発に揺れる要塞衛星。要塞砲もエネルギーが抜けていき発射不能となる。

とその時、僕の無人艦が僕の専用艦に向けてGバレットを発射する。

僕は盾を放り投げてGバレットの弾体に当てる。

Gバレットのエネルギーが盾に集中し拉げさせるも射線がそれていく。


「まさか、僕の制御下にある無人艦まで敵に支配されるのか!」


 僕の無人艦は敵に支配されていた。

戦術兵器統合制御システムのリンクが切れ、何者かに制御を奪われたのだ。

次弾が発射される前にナーブクラックをかける。

広域通信機S型がフル稼働で無人艦へのリンクを繋げる。


『警告! 電子量子次元通信の妨害を確認。リンクが繋がりません』


 専用艦の電脳から警告が入る。


「つまり接触通信しか使えないということか!」


 僕は何か手はないかと思考を巡らす。

ケーブルを放出させて接触通信を使うか……。いや、次元格納庫だ。有効範囲にある!

僕は敵に支配された無人艦を次元格納庫に取り込む。

その瞬間、次元の壁により通信妨害が解除され無人艦のコントロールが復活した。


「ナーブクラック発動! 無人艦の電脳を服従下に置く!」


 これで他の奴には支配されないはずだ。

おそらく戦術兵器統合制御システムのリンクを切られ、偽の命令を出されて制御を乗っ取られたんだ。

ナーブクラックの服従ならば電脳が独自に判断して、敵の偽命令に支配されることはないだろう。

広域通信機S型のECCMまでも無効化するとは侮れない敵だ。


「こんなことが出来るのは、あの電子戦特化の専用艦だろうね。

それと、あの隣の専用艦。色は違うけどあれはプリンスを助けた艦じゃないのか?」


 僕は黒い2艦の専用艦を睨みつけた。

あの通信妨害をなんとかしないとロレンツォ(第7皇子)が危ない。

彼が無人艦を出撃させたら、それが全て敵となって襲ってくるぞ。



******************************

side:レオナルド


 たった1艦で次元跳躍(ワープ)アウトして来た艦は巡洋艦クラスでありながら搭載艦を展開し主砲を連射して来た。

その主砲は見るからにしょぼい小口径にも関わらず、たった1発で戦艦をも轟沈させる威力があった。

レオナルドの艦隊は浮足立った。

その混乱の最中、要塞衛星内部から爆発が起きた。揺れる司令室。

その爆発は要塞砲を使用不能にした。


「要塞砲が! ちくしょう! せっかく奴らを騙せたのに、奴らの要塞艦を1艦も落とせねーのかよ!」


 要塞衛星の司令室でレオナルド(第5皇子)が地団駄を踏んでいた。 

黒騎士の特殊専用艦の能力で次元レーダーの探査内容を差し替え、レオナルド(第5皇子)がニアヒュームを僅差で倒し致命的被害を受けたかのように見せかけた。

楽に勝てるとノコノコとやって来たロレンツォ(第7皇子)の要塞艦を要塞衛星の要塞砲で片付ければ楽に勝てるはずだったのだ。


「あのちっこいやつはアキラの専用艦か! 余計なことをしやがって!

よし、黒騎士に連絡、無人艦の制御を奪え!

18万艦でやつを潰せ! 容赦するな」


 レオナルド(第5皇子)は18万:1の戦いをアキラにしかけると言い出した。

配下の将軍達も開いた口が塞がらなかった。


「何をしている。奴は『100万殺し』だぞ! 油断するんじゃねーよ」


 レオナルド(第5皇子)は本気だった。



******************************

side:アキラ


 レオナルド(第5皇子)とニアヒュームの混成軍18万艦が(アキラ)の専用艦に照準を会わせる。


次元跳躍(ワープ)待ち時間は消化出来なかったか……。仕方ない。反物質粒子砲発射!」


 敵18万艦からレールガンやビーム砲が撃ち込まれる。

その射線は僕の専用艦に向かっている。

その中心に反物質粒子砲を撃ち込む。

また反物質粒子砲封じの艦が進出しようとするが、味方艦の射線に入り爆散する。

だが膨大な弾幕の中で反物質粒子に弾体が接触、対消滅による膨大なエネルギーが発生する。

そのエネルギーに巻き込まれ敵18万艦が放った攻撃は全て飲み込まれ消滅した。

僕は反物質粒子砲を連射する。その都度巨大な爆発が起こり攻撃を防ぐ。


 さてちょっと意表を突いて罠をかけるかな?

僕は反物質粒子砲で弾幕を迎撃しつつ行動に移った。



******************************

side:ロレンツォ


「アキラを援護しろ! 要塞砲発射準備!」


 ロレンツォ(第7皇子)は一瞬でレオナルド(第5皇子)の罠に嵌った事を理解した。

目の前の状況は次元レーダーで把握していたものとは明らかに違っていた。

壊滅したはずのニアヒュームは健在。レオナルド(第5皇子)と共闘を続けている。

つまり戦力差が劣勢な現場に飛び込んでしまったということだ。

目の前ではアキラの専用艦が無人艦を出撃させ敵と対峙していた。

アキラの専用艦なら連続次元跳躍(ワープ)で逃げられたはずなのに戦場に留まっている。


「悪いなアキラ、私が逃げる隙を作ってくれているんだろう?

だが、私とてむざむざと逃げるわけにはいかないのだ。

この星系は私の星系なのだぞ。私にも矜持というものがある」


 するとアキラの専用艦に向けアキラの無人艦が砲を向けた。

無人艦が乗っ取られたのだ。レオナルド(第5皇子)が無人艦を乗っ取るという報告は受けていた。

となるとこちらも無人艦を出撃させるわけにはいかない。

無人艦は制御を奪われ味方を襲いかねないからだ。

通信は途絶しているが、アキアが身を以って無人艦の危険を知らせてくれた。


「僚艦、我に追随し要塞砲の発射態勢に入っています」


 要塞艦9艦全てが搭載された要塞砲合計9門を敵艦隊に向けて発射態勢に入っていた。

通信妨害の中、誰が命令を下すでもなく全艦がロレンツォ(第7皇子)の行動に同調していた。


「アキラが危ない! 要塞砲、発射!」


 アキラの専用艦の横を通り9束の巨大エネルギーの射線がレオナルド(第5皇子)艦隊に向かう。

レオナルド(第5皇子)艦隊がエネルギーに飲み込まれ消えていく。

だが、遅かった。アキラの専用艦にも敵から放たれたレールガンやビームが直撃していく。

アキラの専用艦も爆発して沈んだ。


「くっ! アキラが!」


 ロレンツォ(第7皇子)の叫びだけが木霊していた。

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