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144 帝国内乱編2 討伐

side:帝都(皇帝、カイル)


「あいつは、この大事な時期を理解していないのか?

此度の差配、お前が指揮をとれ。アキラを補佐につける」


 呆れ顔の皇帝はカイル(第1皇子)レオナルド(第5皇子)討伐の指揮を担うように勅命を発した。


「ご命令のままに。 それでは討伐軍を予備役から編成したいと思います。

正規軍にはニアヒューム侵攻を警戒させます」


 第5皇子(レオナルド)第7皇子(ロレンツォ)の支配星系へ攻め込んだという一報を受け、帝国正規軍予備役の軍から派遣が決まった。


「その討伐、私めにお任せ下さい!」


 そこで手を上げたのが職業軍人であるコックス子爵だった。

皇子討伐の指揮官としては小物であったが、対ニアヒュームで待機している軍を動かすわけには行かず、彼で決定となった。

彼には5万の軍(うち無人艦4万5千)を任せることとなった。

コックス子爵は軍備を整えるとロレンツォ(第7)皇子の主星系であるラスティ星系へと次元跳門(ゲート)をくぐった。

身に余る大任に気負いすぎのコックス子爵の様子が気になるカイル(第1皇子)だった、



**************************************

side:仮想空間極秘会議室(アキラ、カイル)


 (あきら)は仮想空間の極秘会議室でカイル(第1皇子)と定時報告会を開いていた。

カイル(第1皇子)はまだ本調子ではない皇帝の補佐としてニアヒューム対策司令と宰相職を兼務していた。

そのニアヒューム対策の一部を僕に押し付けるため、カイル(第1皇子)は僕をニアヒューム対策司令補佐に任命していた。

そのため情報を共有するために定時報告会を仮想空間で開いていた。


「やれやれ、レオナルド(第5皇子)が余計なことをしてくれて仕事が増えてしまったよ。

今回の討伐の指揮は僕がとることになった。

そして(アキラ)が補佐に指名されている。逃さないからな」


 カイル()()が僕も巻き込まれたことを報告する。

仕方ない。協力しよう。


レオナルド(第5皇子)の軍は戦闘艦3万6千と要塞艦5だ。要塞艦は君がシステムをロックしたから使えないはずだ。

対する討伐軍のコックス子爵には予備役5万を与えている。

ロレンツォ(第7皇子)の星系守備艦隊が5千だから、よっぽどの間抜けじゃない限り負けはしないだろう」

「問題は援軍が星系へ到着するのに次元跳躍門(ゲート)を使って1週間かかることだね。ラスティ星系には要塞衛星もあるから到着までもつといいんだけど」

「ラスティ星系からの通信は既に途絶している。通信妨害なら良いのだが、あてにしない方が良いかもしれないな」

レオナルド(第5皇子)の軍は要塞艦の要塞砲ありきで攻めて来たみたいだから、要塞衛星の要塞砲で牽制すれば膠着状態になっていると思うんだけどね」

「ラスティ星系が頑張っていれば次元跳躍門(ゲート)から突入しレオナルド(第5皇子)の後ろを取れるだろう。1週間後の吉報を待とう」


 ラスティ星系の対策に関してはここまでとなった。

僕はロレンツォ(第7皇子)が迎撃中のニアヒュームの状況をカイル(第1皇子)に報告する。


ロレンツォ(第7皇子)は自分の主星系がレオナルド(第5皇子)に襲われているにもかかわらず、焦らずニアヒューム殲滅に専念している。

ここで戦力を割ってレオナルド(第5皇子)とニアヒュームを同時に相手をする愚を犯さないとは大した人物だね。

戦闘はロレンツォ(第7皇子)軍優勢。ニアヒュームとの戦力差は開く一方で殲滅は時間の問題だと思うよ」


 僕は各星系に次元レーダーを配備するに当たり、全ての情報を収集出来るようにシステムを変更していた。

そのため遠隔地の次元レーダーの情報も共有しているのだ。

その情報によりニアヒュームの侵攻と帝国軍の迎撃状況を把握している。


レオナルド(第5皇子)の星系に向かっているニアヒュームはどうなっている?」


 僕はカイル(第1皇子)の質問に次元レーダーの情報を精査する。

レオナルド(第5皇子)の星系はレオナルド星系。自分の名を付けるなんて自己主張の激しい奴だ。


「レオナルド星系に向かっていたニアヒュームは数を減らさずにコースを変えたようだね。

え!? まさか! まずい。ロレンツォ(第7皇子)の所へ向かってる!」

「なんだって!」

「いったいどうして……。いや、どうやって!?」


 僕は確信した。レオナルド(第5皇子)が何らかの手段でニアヒュームの進路を変えたのだと。

なぜなら次元レーダーにはニアヒュームを引き連れる2つの光点が映っていたからだ。


「まだ距離があるから対応する時間はあるはずだよ。

ニアヒュームに合流される前にロレンツォ(第7皇子)が今対峙しているニアヒュームを撃破すれば勝てるかもしれないね」

「いや、ニアヒュームが1日1光年ずつしか次元跳躍(ワープ)出来ないことを逆手に取って距離を取るという手もある」

「それでは、そのうちレオナルド(第5皇子)とニアヒュームの挟み撃ちにあってしまうよ。

ニアヒュームの最終目標はラスティ星系になるだろうし」

「ならいっそニアヒュームとレオナルド(第5皇子)をぶつけてやるのも手だ」

「最悪そのオプションも考慮しておく必要があるね……」


 いざとなったら僕が次元跳躍(ワープ)加速装置(アクセラレータ)を使って現地に飛ぼう。

ニアヒュームを星系に入れるということは星系の人達の命を脅かすということだ。これは避けたい。

まさかレオナルド(第5皇子)も星系の非戦闘員に手を出すようなことは無いだろうしね。


「ではニアヒューム接近の急報をロレンツォ(第7皇子)に送っておく。

対応オプションは示すが、どうするかの判断はロレンツォ(第7皇子)に任せる。

アキラ、いざとなったら助けに行ってくれるか?」

「そのつもりだよ。任せてカイル(第1皇子)

「すまないな。高速次元跳躍(ワープ)が使えるのはお前の専用艦だけだからな」


 こうして定時報告会は終了し、僕は戦力を補充し即応体制に移った。



**********************************

side:レオナルド


「オラオラ! 手を出したら主星に落とすぞコラ!」


 ラスティ3(主星)の軌道上で主星を守っている要塞衛星は、主星を人質に取られ反撃の手段を奪われていた。

雪崩れ込む上陸部隊に要塞衛星は占領されつつあった。

レオナルド(第5皇子)の戦争は汚かった。

主星を爆撃すると脅し発砲を防ぐと、動かなくなった要塞艦を曳航しラスティ3の軌道に配置、落とすと脅して来たのだ。

ラスティ星系最大の脅威は要塞衛星の要塞砲だった。

それを防ぐ手段としてレオナルド(第5皇子)は人質を取って脅すという手段を選んだ。

これに対し人命優先をロレンツォ(第7皇子)から厳命されていた星系政府は脅迫に屈することとなった。


レオナルド(第5皇子)カイル(第1皇子)やアキラの予想の斜め上を行く男だった。

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