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143 帝国内乱編1 強襲

本日2話目です。

前に閑話があります。

side:ラスティ星系


 第7皇子(ロレンツォ)の主星系のであるラスティ星系に5艦の要塞艦が次元跳躍(ワープ)アウトした。

表敬訪問としては過大な戦力による訪問だ。

要塞艦からは搭載されていた艦が次々に発進していく。明らかな敵対行動だ。

これをもって所属不明艦は敵と認定された。

だが第7皇子領ではニアヒューム侵攻阻止のため主戦力が遠征中だった。

防衛用の要塞衛星はあるが、戦力差は一目瞭然だった。

救援要請を発信する第7皇子領をあざ笑うかのように、要塞艦に搭載された要塞砲にエネルギーが充填されていく。

目標は唯一の防衛戦力である要塞衛星。その要塞衛星に向かい5門の要塞砲が発射態勢に入っていた。

第7皇子領の要塞衛星もたった1門の要塞砲にエネルギーを充填していく。

しかし、要塞砲が発射されるかという刹那、敵の要塞艦はシステムがダウンし要塞砲のエネルギーを放出し始めた。

戸惑う第7皇子領防衛隊に向け敵の所属不明艦2万が作戦行動を開始した。



**********************************

side:アキラ


 エリュシオン星系領主執務室で(あきら)は呆れていた。

第7皇子領での情報が流れてきたからだ。


「うーん。この事態を想定してないとでも思ったのかな?」


 僕は第7皇子領からの救援要請を受け、当該星系にいる要塞艦のマスターキーをロックした。

それは第5皇子レオナルドに貸与された要塞艦だった。


「つまり、ロレンツォ(第7皇子)領を攻めているのはレオナルド(第5皇子)ということか。

なんでまた、そんなことを?」


 これは要塞艦という戦力を各星系に与えるにあたって皇帝代理(カイル)と一緒に用意した反乱防止策だった。

皇帝が治療カプセルから復帰した後もこの策は追認を受け、帝国として正式な施策となっていた。

この要塞艦は晶羅(あきら)領で製造されたもので、皇帝公認で晶羅(あきら)にマスターキーのロック権限が与えられていた。

同様の権限は皇帝自身とカイル(第1皇子)も所持していた。


ロレンツォ(第7皇子)はニアヒューム対策で動けないわけか……。

その隙を突いたということなんだろうけど、襲ってきたレオナルド(第5皇子)はバカか?

自分の支配星系にもニアヒュームが迫って来ているじゃないか」


 レオナルド(第5皇子)の真意を僕ははかりかねていた。



**********************************

side:レオナルド


 レオナルド(第5皇子)の艦隊は要塞艦から発進した先遣制圧艦隊2万を除いて要塞艦に閉じ込められていた。


「おい、何がおこってるんだ!?」


 要塞艦の作戦司令室でレオナルドがたまたま近くにいた参謀の胸ぐらを掴んで叫ぶ。

顔を青くした参謀が慌てた表情で答える。


「おそらく要塞艦の機能がマスターキーによりロックされました」

「なんだと!」

「ひぃぃ!」


 レオナルドが怒り、その恐ろしい顔に参謀はなお萎縮した。

自分のせいじゃないと言うが如く参謀はさらに説明を続ける。


「この要塞艦は陛下から貸与されたものです。マスターキーは陛下の意志のもと管理されていることでしょう」

「はぁ? だからなんだっつーんだよ」

「つまり、要塞艦には使用制限が科せられていて、一定の条件で機能を停止されるようになっていたのでしょう。

例えば味方を攻撃しようとするような事態に機能を停止出来るようにしたのかと」

「くっ! やるじゃねぇか……。なら格納庫に閉じ込められた艦は扉を破壊してでも発進させろ!」


 要塞艦の機能が凍結されたなら、逃げ帰るにしても次元跳躍門(ゲート)の制圧が必要になる。

そのためには閉じ込められている全艦を発進させる必要があった。

そう参謀は考え主君の代わりに指示を出した。


「撤退準備。次元跳躍門(ゲート)を速やかに制圧せよ。各艦格納庫から強制発進せよ」


 その時、参謀は頭に強い衝撃を受け宙を飛び床に投げ出された。

レオナルドの回し蹴りを食らったのだ。


「バカ野郎! 誰が撤退だっつった! まだ終わったわけじゃねぇ。星系を人質に取るんだよ!」

「申し訳ございません!」


 参謀は頭から血を流しながら謝った。


『おい、ラスティ星系のやつら! こっちに撃って来たら主星に爆撃するからな! そのつもりでやれよ?』


 その脅しに要塞衛星の要塞砲から火が消える。

この男、まともではなかった。



*********************************

side:アキラ


「要塞艦頼みの侵攻をしたかと思ったら、レオナルド(第5皇子)ってここまでバカだったのか……」


 (あきら)はまさかの展開に衝撃を覚えた。

要塞艦を抑えられ要塞砲という決定的な打撃力と次元跳躍(ワープ)という移動力を失ったというのに、レオナルド(第5皇子)は撤退せず星系に居残り住民を人質に取っていた。


「ここは自星系に撤退して守りに入るべきだろうに……。破滅型の考えることはわからないな」


 とはいえニアヒュームを迎撃中のロレンツォ(第7皇子)を戻すわけにもいかない。

ここは帝国正規軍に援軍に行ってもらうべきだろうな。

そこは皇帝もカイル(第1皇子)も抜かりないだろう。

僕はカイル(第1皇子)と連絡を取りつつ状況を見守り続けることにした。


「お、やはり正規軍が出撃して行ったか。これでつまらない内乱も終了だろう」


 この時僕はレオナルド(第5皇子)という男を完全に見誤っていたいことに気付いていなかった。 

評価、ブックマーク感謝です。励みになっております。

感想もありがとう。返事書けなくてすみません。


描写不足の部分を加筆修正しました。

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