142.5 閑話・現在 某所軍議
短いです。
25日午後にもう1話更新予定です。
「やれやれ。せっかく揃えた戦力をニアヒューム対策に使えとは陛下も無茶を言う。なあみんな」
綺羅びやかな飾りのついた軍服を身に纏った青年が愚痴る。
彼はテーブルの上座となる椅子に腰を降ろし、参集した配下達をぐるりと見廻した。
「我らの星系防御のためでもあります。仕方ないことと存じます」
配下の将軍が慰めるかのように具申する。
それを受け彼は少しは機嫌を直して話しだす。
「まあニアヒュームのおかげで邪魔な第2皇子の軍は弱体化し、第3皇子は死んだ。
そこだけは俺らにとっては都合が良かったな」
「次の継承順位更新では殿下の順位もうなぎ登りでしょうな」
配下が追従するも、その言葉が彼の怒りに火をつける。
「はぁ? んなわけねーだろうが!
ちくしょう、アキラの野郎は無いわ。なんであいつが活躍して陛下に気に入られてるんだ。
俺だって招集に馳せ参じようとしたのに、お前らが慣習だなんだと止めやがって!」
彼は機嫌が良くなったと思ったら急に怒り出す。情緒不安定に見える。
配下も震え上がっている。
「だが、今がチャンスだ。皇帝は病み上がり、正規軍も各皇子も対ニアヒュームで戦力を分散させている。
しかもだ。陛下がありがたくも要塞艦を増派してくださった。これを使い皇子共を各個撃破してやるわ!」
「殿下! ニアヒュームの侵攻を確認しました!」
伝令の兵が軍議に駆け込んで来る。
帝都から配備された次元レーダーの試運転で、早くも彼の支配星系へと向かうニアヒュームを発見したのだ。
その知らせを聞き、彼はニヤリと笑みを浮かべる。
「全軍を出撃させる! 要塞艦も出せ! 敵は隣の星系の第7皇子だ! 奴もニアヒューム対策で戦力を派遣中だ。チャンスだ!」
「しかし、我が星系にもニアヒュームの危機が!」
「そこは心配ない。なあ、黒騎士!」
彼の視線の先には黒い仮面を被った男女が控えていた。
彼はその2人に向け行けというように顎をしゃくった。
「ニアヒューム殲滅は最狂の黒騎士に任せるのだからな」
黒騎士と呼ばれた2人は彼の命令を受け足早に去っていった。
「第7皇子もまさかニアヒュームに侵攻されている我が軍が、ニアヒュームを放って襲ってくるとは思わねーだろ? 俺って天才だろ」
自分達や領民にとっては天災だと配下の将軍は思った。
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