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139 遠征編24 対話1

遅くなりました。すみません。

 有機体の身体を手に入れて一度は友好的になったニアヒュームが何故凶悪化しているのか。

その謎はニアヒューム本人に聞くしか無いだろう。

方法としてはコアの記憶を解析するか、コアと会話を成立させ聴取するか、有機体の身体を手に入れたニアヒューム、有機型ニアヒュームと対話するかだろう。

コアから情報を得る方法はゲールの研究所に任せた。時間を与えれば何らかの結果を出すだろう。

有機型ニアヒュームは、未だ存在を証明できず疑わしくても接触も出来ていない。

少なくとも現在ニアヒュームは、人類を新たに部品とし続け、未だに拡大路線を堅持している。

敵対的な行動しかとっていないので戦うしかないのが現状だ。


 とりあえず真・帝国から入手した識別方法で、有機型ニアヒュームであってもコアを持つ限り識別出来るはずだ。

隣の銀河腕から侵攻して来るニアヒュームは、対話で帰って貰えない限り殲滅するしかない。

その迎撃体制は次元レーダーの量産によって実現しつつある。

しかもこれは帝国本国からの発注という形であり、僕の領地では製造特需が発生し経済が上向くという副産物を産んだ。

次元レーダーを製造するのが工場衛星でも、それを運ぶのは我が星系の商船である。

効率的な製造のための精製された原材料の輸入や自星系での採掘精製も活発になっている。

新しい星系にとっては喜ばしい限りだ。

次元レーダーを運ぶ先の星系には脅威度により優先順位が付き順次稼働を開始している。


「これでニアヒュームの早期警戒態勢と感染拡大は目処が立った。後は汚染された星系をどうするかだな」


 現在、感染している艦船が確認された出港地は汚染されたとみなして閉鎖されている。

それはやはり第2皇子(ヘンリー)第3皇子(イーサン)の支配星系だった。

イーサンの星系は前回の殲滅作戦で戦闘艦のほとんどを汚染されていたため尽く破壊され、殲滅完了したと思われていた。

しかし惑星上に有機型ニアヒュームとして隠れ、何らかの方法で感染を広げているとしたら、それは見逃してしまっている。

その結果が残った艦や民間船の汚染だったのだろう。

有機型ニアヒュームからの感染は出来なくなったという真・帝国の資料とは異なる動きが発生しているのかもしれない。


「うーん。有機型ニアヒュームを捕縛あるいは通信でもいいから対話出来ないものだろうか。

これは一番疑わしいイーサン本人の感染確認をするしかないかな。

皇子領と皇子本人への調査となるとカイル(皇帝代理)に相談するしかないな」



********************************



「皇帝代理閣下、折り入ってご相談があります」

「何だ改まって。そんな口調はやめろ気持ち悪い」


 (あきら)皇帝代理(カイル)に仮想空間での会議を要請した。

秘匿回線で仮想空間上の会議室にアバターを纏い集まるのだ。

僕はこの会議が帝国の存亡に関わる重要なものであると強調するため改まった態度をとった。

当然本人そっくりのアバターだよ? ここでアイドルのアバターは使わないからね?


「わかった。ここにニアヒュームに関する古い資料があるんで読んで欲しい」


 僕が口調をくだけさせて促すと、カイルが真・帝国からもたらされた資料を読み始める。

当然、真・帝国から得たことは隠す。どこかに埋もれていた古い資料を発掘したという(てい)だ。


「驚いたな。過去にニアヒュームの侵攻拡大は平和裏に止まっていたのか」

「うん。それがいつ凶悪化し現在に至るのかがわからないんだ」

「確かに、僕が閲覧出来る帝国データでも人類の天敵、相容れぬ存在という敵対関係であることしか記されていない」

「捕獲したコアの情報を閲覧する方法は、旧帝国の末裔を称する研究者に委ねているんだけど、それには時間がかかるんだ」


 ゲールの事だ。

僕が地球人誘拐クローン化事件の際に研究所を接収したことはカイルも知っていることだから、ゲールの正体も隠さなかった。


「我々は研究開発という部門で劣っているからな。

国の将来のためになんとかしないとと常々思っていたところだ。

その研究者に任せても時間がかかるというのは理解できる」

「そこで本人に直接聞いてみようと思って」

「え? 本人?」


 カイルが驚きの表情をする。


「うん。おそらくイーサンは有機型ニアヒュームだろうから、彼と話せば良いんじゃないかと」

「直球で来たな!」


 僕の言葉にカイルが呆れる。


「それで皇子に対する尋問の許可と、従うようにという強制命令を出して欲しいのだな?」

「さすがカイル。話が早い。せっかく皇帝代理なんて立場になったんだから、権力使っちゃおうよ」


 しばしカイルが思案する。


「それで、その尋問は誰がやるつもりだ?」

「当然、僕だけど?」

「却下だ。アキラだけはだめだ」

「どうして!」

「当たり前だろ。お前が汚染されたら困るからだ」

「カイル。まさか……」

「違うわ!」


 僕が告白に頬を染めると、カイルが全力で否定して来た。

冗談だってば。キーワードにBL入ってないし。


「尋問は有機アンドロイドにやらせる」

「でも下っ端だとイーサンが本物だった場合プライドを傷つけて話してくれないかも」

「そこは僕の影武者を使う」


 なんと第1皇子ともなると影武者が存在するんだ!


「わかった。それで行こう」


 はたしてニアヒュームと対話することは出来るのだろうか?

7100pt突破ありがとうございます。

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