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138 遠征編23 ニアヒュームの正体

ちょっと短いです。

「お兄ちゃん、これー」


 エリュシオン3の衛星軌道上にステーション型要塞艦が浮かんでいる。

その要塞艦には星系領主である僕の邸宅があった。

一応領主の邸宅ということになるので以前より大きくなっている。

その邸宅内執務室の扉を乱暴に開けて(かえで)が突然飛び込んで来た。

身内だからまあいいけど、この邸宅のセキュリティはどうなっているのだろうか?

その(かえで)の手には情報キューブが握られていて、いきなり僕にそれを放り投げて来た。


「わっとと。何だこれ?」


 僕は慌てて情報キューブを受け取ると疑問を呈した。


「何ってニアヒュームの情報だよ?」

「ずいぶん早いじゃないか」

「お兄ちゃんから何か送って来た物を科学者が見て直ぐにデータをコピーしてたよ?」

「まさかニアヒュームの情報は調べるまでもないってことかな?」


 僕は頭を抱えた。灯台下暗しだったとは。

そういや旧帝国ではニアヒュームの侵略を防げていたから隣の銀河腕まで進出出来たのだろう。

それが現帝国となり対策も失われたから隣の銀河腕は滅んでしまった。

真・帝国が持つ旧帝国の技術が残っているならニアヒュームなど怖くないのだろう。


「ボクは知らないよ? でも、情報キューブを見ればわかるって言ってた」

「そうか……」


 僕は素直に情報キューブを開くことにした。



侵略性機械生命体に関する報告書


 機械生命体の目的は侵略である。

資源を喰らい仲間を増やし新たな地を求めて旅立つ。

その習性は勢力の拡大が至上命題である。

奴らは女王とその配下という階級構造を持ち、個にして群、群にして個である。

蟻や蜂が女王を中心にした1つの集団を形成するのと似ている。

集団はある一定数を越えると女王候補を作り出し一定数の配下を連れて集団を分かつ。

これも蟻や蜂に似た習性である。


 奴らの本体はコアと呼ばれるシリコン生命体であり、その制御下に置いた機械で身体を形成する。

その姿は基本的に宇宙艦型であるが、野良宇宙艦や我らの艦に寄生することで、我らに似た宇宙艦の形で侵攻して来るため識別が困難となる。

その宇宙艦から触手を伸ばし分割したコアを植え付けられると我らの宇宙艦が機械生命体に乗っ取られてしまう。


 機械生命体は我ら有機生命体と接触し戦いとなり、我らの行動の不条理、非論理性に戸惑ったようだ。

それを自らの弱点と認識した機械生命体は、我ら人類を部品として取り込む進化を遂げた。

戦いは一時的に機械生命体有利となったが、我らがコアの識別技術を確立したため駆除が進むこととなった。

我らの勝利は揺るぎないと思われた時、奴らは人と機械を融合した端末を作り街の中に入り込み人への寄生を始めた。

奴らにとっては人に化けることで増える事ができれば何ら問題がないようであった。

人に寄生したコアは見つかりにくかったが、機械の身体という言い逃れの出来ない特徴を持っているため、裸にして個別に調べていけば簡単にみつける事ができた。

これで人類は救われるそう思った時、我らの有機アンドロイドが敵の手に落ちてしまった。


 奴らは人と外観も同じ有機体の身体を持ち、頭蓋の中にコアを持つという擬似人間となった。

有機体の身体を持つことで他人への寄生が困難となった彼らは新たな人類として接触して来た。

彼らはヒューマンに近い(ニア)存在ということで、ニアヒュームと呼ばれるようになった。

我々と拡大寄生を止めたニアヒュームの戦いはここに終結した。


「終わり? ほとんど僕達が知ってることだったぞ?

でも有機体の身体を持って寄生が止まったというのは新しい情報かな。

そして対話によって戦いが終結したという部分は知らない情報だな」


 僕は思案する。真・帝国に伝わるニアヒュームの存在は人類の天敵と呼ばれるものではなくなっている。

それが何故、天敵、相容れない存在とまで言われるようになったのか?

そして寄生をやめ対話による平和を得たニアヒュームが、何故また侵略的寄生を始めたのか?

しかも皇帝を殺そうとしたり、帝国の皇子を乗っ取るような行動を取っている意味がわからない。

真・帝国の知るニアヒュームは有機体の身体を得て大人しくなった。

現在侵攻中のニアヒュームは有機生命体に敵対的で容赦がない。いったい何が違っているのだろうか?

とりあえず、有機体の身体を得たニアヒュームでも識別できるノウハウは真・帝国から手に入れられた。

あとは今現在侵攻中のニアヒュームの解析をゲールの研究室に委ねるしかない。


「対話が可能なら話してみたいけど……。人に対する容赦が無いところが気になる。

ニアヒュームが隣の銀河腕の人々を平気で部品にして侵攻して来ているのは事実なんだよね……」

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