137 遠征編22 ニアヒューム捕獲作戦
大変遅くなり申し訳ありません。
昨日、熱中症ぎみになり倒れておりました。
カイルに有機型機械人形の可能性を伝えたところ、極秘扱いにするように指示された。
『それを聞いて、なぜイーサンだけが無事だったのか納得したよ。
イーサンが有機型機械人形にされているなら、我々の前にあえて全裸を晒した理由がよくわかる。
あの行動はプライドの高いあいつには違和感があったんだ。
それと有機型が存在するならヘンリーも疑うべきだ。
秘密裏に調査しよう。これは彼らに気取られる事無く進めなければならない』
確かにイーサンやヘンリーが汚染されていたとしたら、帝国は大混乱に陥るだろう。
迂闊だったのはニアヒュームを識別出来る可能性のある波長をみつけたことを、彼らにも教えてしまったことだ。
彼らに対しては既に確かめる術は無くなったと見ていい。
新たな識別方法をみつけるしかない。
新たな識別方法をみつけるためにも、サンプルが必要になった。
ニアヒュームのコアを捕獲し調べる必要がある。
しかしコアには強力な感染力がある。これを封じ込める手段は無いものかと思案する。
そこで思いついたのが反物質粒子砲の反物質カートリッジだ。
内向きの停滞フィールドでがっちり捕まえるのでコアの物理的な侵食手段であるケーブルを押え込めるかもしれない。
ニアヒュームのコアが他者を汚染する時に伸長させるケーブルの速度では停滞フィールドを抜くことは出来ないだろう。
反物質カートリッジに入れる方法は反物質の捕獲と同じく転送を使えばいいだろう。
「あとはサンプルとなるニアヒュームをみつけるだけだな」
僕は意気揚々とニアヒューム捕獲作戦を開始した。
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各星系ではニアヒュームの星系進入を防ぐため、各星系の次元跳躍門では特殊波長による識別検査が行われていた。
そこでついに初のニアヒューム進入が観測された。
僕は次元跳躍を使い直ぐに駆けつけた。
目の前のそれは民間船の1隻に寄生した形で発見された。
由々しき事態だ。民間船ということは直接戦闘で寄生されたのではなく、二次感染三次感染と感染が進んでいることを示すからだ。
幸いなのは、まだ特殊波長による識別が有効なことだ。
民間船は推進器を破壊され浮遊している。
ときおりケーブルを伸長して感染を謀るが充分に距離を取った戦闘艦のビーム攻撃により感染は防がれていた。
そのうちケーブルに利用する資源が尽きたのか、船体をスカスカにすると沈黙したようだ。
『この船の寄港地はわかってるんだよね?』
僕はこのペリル星系の担当官に質問する。皇帝代理の勅書を示し、代官に話を通して得た現地担当官だ。
『はい。記録によると第2皇子殿下の支配星系であるアルド星系から第3皇子殿下の主星系スィリー星系を経由してこのペリル星系に来たようです。所属はアルド船籍です』
ガチガチの疑惑星系を通っているわけか。
『するとスィリー星系で感染してここに来たか、アルド星系で感染してスィリー星系がスルーしたかという感じか』
第3皇子領アウトじゃん。アルド星系は名目上はきちんと侵入防止策を行なっているはずだからね。
いや感染がみつかった場合に第3皇子領の責任にするために経由しているのかもしれない。
疑ったらキリがないな。少なくとも第3皇子領は感染チェックがザルだと確定か。
『まあ、どっちにしろ感染経路はこちらで精査します。皇子領じゃ皇帝代理の命令で動くしかないわけですし』
とりあえずカイルに報告を入れて調べてもらおう。
「さてと。コアを捕獲するか」
目の前の民間船は船体がスカスカになりコアが良く見えている。
僕は反物質カートリッジを次元格納庫から出し宇宙空間に浮遊させる。
そこから一定の距離を保ち転送装置を起動してコアを反物質カートリッジに転送する。
捕獲完了。しばらく観測するとコアがケーブルを出して突破しようとしたようだが停滞フィールドに阻まれ、どうやら封じ込めに成功したようだ。
僕は同様の事を繰り返しコアを5つ捕獲した。
戦闘艦、民間船、輸送艦、船の種類を問わずニアヒュームは感染していた。
だが、その航路には必ずと言って良いほどに第2皇子領と第3皇子領が関わっていた。
第3皇子領は僕とカイルと帝国正規軍で掃除したはずなんだが、その後別ルートで再感染し感染が広がっているのかもしれない。
皇帝代理カイルは各皇子に自らの星系守護を命じていた。
それは名目上のもので、各皇子を星系に縛り付け移動を禁止する策だった。
誰とは言わないが有機型が歩きまわって感染を広げることを危惧したからだ。
ちなみに僕はニアヒューム対応を命じられているので動き回れるよ。
首尾よくコアを入手した。後は調査だ。
僕は入手したコアの調査をある人達に委託した。
それは真・帝国とゲルン星系の研究所だ。
真・帝国の現帝国では失われた科学力は役に立つだろう。ゲールもマッドだが有能だ。
有機体でも機械でも精神生命というレベルでは同列に扱えるだろう。
ニアヒュームの生態や言語、思想などが判明すれば対処しやすい。
人類の天敵、相容れぬ存在と呼ばれる者達は何を考えているのだろうか?
評価、ブックマークありがとうごさいます。
執筆の糧になってます。
感想ありがとうございます。
体調不良や執筆遅延もあり返事が出来ませんが、しっかり読んで参考、励みにしております。