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132 遠征編17 帝都隔離

129から131のナンバリングを間違えていましたので修正しました。

130、131で汚染された艦の乗員を簡単に見殺しにしたように取れるため、敵に乗員まで汚染されていると確認された結果であるとわかるように加筆修正しました。


 僕とカイルは8B星系の掃除が終わると専用艦の次元跳躍(ワープ)機関を使って直接帝国本星系に戻って来た。

回収艦に機械人形が転送されていた可能性があるため、その帝国本星系への進入を阻止するためだ。

幸い皇帝が回収された回収艦には機械人形は転送されていなかった。

これは皇帝が回収された回収艦が皇族及び高級貴族専用であったための偶然の賜物だった。

そう、汚染された高級貴族の艦は自爆に利用されたため転送する間も無かったのだ。


『皇帝陛下の回収艦が汚染されてなくて良かった』

『だが陛下は重症だ。自爆テロの傷は軽くない。これでは指揮命令系統に問題が出る』


 皇帝は自爆テロで転送装置が作動し回収艦に転送されていたが、テロの影響で重症を負っていた。

今は集中治療カプセルに入っていて意識を失い差配できる状況ではなかった。

このような事態を想定していなかったため、次席指揮官など指名もされていなかった。

次席は順当なところでは第1皇子カイルなのだが、今回の遠征には第1から第4皇子まで揃っていたため、お互いの臣下が牽制しあってまとまる物もまとまらなかった。

え? 僕? 第6皇子の僕なんかは、出る幕もなかったさ。

皇帝から本作戦の指揮を任されていたのに、テロ直前に指揮権を返してしまっていたし、それを皇帝の意思として指揮権を主張しようにも、他の皇子の臣下が絶対に許さなかった。

加えて撤退戦の指示出しを越権行為と非難される始末だった。


『皇帝陛下直属の正規軍は前回の戦いがあるし、ある程度の知識があるうえにあの映像を見て協力的だけど、皇子の軍と援軍として馳せ参じた貴族の領軍が問題だね』

『80万に減った正規軍に40万の増援を迎えたからね。アキラが帝位の簒奪を謀って偽映像を送っていると奴らが言い出したのは呆れたよ』

『帝国存亡の危機なのに、自分達の勢力争いに利用しようなんて、あれがザ・貴族なのか……』


 そのため帝国本星系への敵ニアヒューム進入を防ぐため、僕とカイルだけで先回りをしたのだ。


『アキラ、第2皇子と第3皇子の軍は、勝手に領地に帰ったようだ。親玉が次元跳躍(ワープ)で帰ったから後を追ったのだろう』

『となると彼らの領地を封鎖しないとならないね。これも権限がないか……』

『宰相に頼むのも無理だ。彼は第3皇子の母方の祖父にあたる。皇帝陛下の意識さえ戻れば事は簡単なのだが』

『いずれにしろ、帝国本星系への進入だけは阻止しよう。捕まえて証拠を突きつければ文句は言えないはずだよ』


 僕とカイルは次元跳躍門(ゲート)の手前で1週間を過ごすことにした。

帝都に戻って身動きが取れなくなることを懸念したのだ。

宰相がどう動くのかわからないし、戻れば事情聴取だなんだと拘束される。宇宙港を押さえられたら水際で防ぐことが出来なくなる。

なので僕とカイルは食事のデリバリーを必要としていた。


『待たせたな』『ん』


 新鋭艦が2艦、そして見慣れぬ貴族の専用艦が1艦、僕達の所へやって来る。

新鋭艦に乗っているのは、帝都にやって来ていたジェーンと美優(みゆ)の2人だ。

いきなりニアヒューム防衛戦に遠征させられて、しばらく会えなかったけど元気なようだ。

もう1人はカイルの関係者だ。


『紹介するよ。彼女は僕の妹、つまり皇帝陛下の娘でアキラ、君の嫁になるステファニーだ』

『アキラ様、初めまして。ステファニーです。ステフとお呼びください』


 こんなところで未来の嫁と会った!


晶羅(あきら)です。こっちは嫁の美優(みゆ)とジェーン』

『存じ上げてます。今はアキラ様の邸宅で一緒に住んでますのよ』


「もう知り合ってた! しかも邸宅? あの皇帝陛下が用意すると言ってた?

あの死亡フラグの結婚式がまだなんですけど!?」


 僕はマイクをオフにして叫んだ。

混乱しながらもちょっと冷静な自分を褒めてやりたい。


『そ、そうなんだ。仲良くやってくれてれば何よりだよ』

『事情は兄様の執事に聞きました。お食事は(わたくし)達が運びます』


 そう言って僕の専用艦には美優(みゆ)が、カイルの専用感にはステフが食事をデリバリーしてくれた。

3人で来たのは初日だけで、その後1週間は毎日3食をローテ―ションで運んでくれた。



 そして次元跳躍門(ゲート)より皇帝主力艦隊が帰還して来た。

僕とカイルはニアヒュームの進入を阻止すべく、次元跳躍門(ゲート)から進入して来た艦を臨検していった。


『第1皇子カイルです。ニアヒューム汚染が深刻なため臨検を行います。

次の分艦隊は亜空間でお待ちください。この分艦隊の臨検が終了次第次元跳躍門(ゲート)に進入していただきます』

『カイル、終わった。感染者なし』

『あなた方に感染者はいませんでした。臨検作業の警護をお願いしてもよろしいでしょうか?』

『はっ! お任せください』


 僕が8B星系で非感染艦を逃した時、分艦隊単位で次元跳躍門(ゲート)に突入させた。

その分艦隊には専用の回収艦が付いて回っていたはずだ。

彼らは分艦隊単位で亜空間を航行して来た。

つまり回収艦の中に機械人形が紛れていた場合、その分艦隊単位で汚染が広がる可能性が高い。

そのため臨検を分艦隊単位で行なっているのだ。

戦闘になったときに相手にする艦が少ない方が良いという都合もある。


『次の分艦隊は進入して下さい』


 このように臨検を続けていくと近衛艦隊がやってきた。

僕は即ぐに皇帝が転送された回収艦を調べる。

汚染なし。


『汚染なし。皇帝陛下を帝都の病院へ!』


 何はともかく皇帝を助けて今後の執政としてカイルを指名してもらわないと。

続けて近衛艦隊を調べる。これも汚染なし。


『近衛艦隊、汚染なし。陛下をお守りして!』


 そしてしばらく分艦隊単位で調べていたところ、ついにその時が来た。


『全艦敵に汚染されている可能性がある! 警戒態勢! 1艦たりとも逃がすな!』


 警護についていた艦隊が一斉に砲門を向ける。

僕は敵を拿捕し正体を暴こうと先頭の1艦に侵食弾を撃ち込んだ。

すると敵はバレたと悟ったようで艦体からケーブルを出しウネウネと動かし始めた。

このケーブルが繋がると汚染されてしまうのだろう。

分艦隊1万全てが同時に正体を表す。


『見た通りだ。殲滅せよ!』


 警護の艦隊は敵をケーブルの届かない遠距離から始末して行った。

最後はトドメで粒子ビーム砲で焼き尽くす。

敵の帝都進入は未然に防がれた。

その後の分艦隊には、敵の汚染は確認されなかった。

問題はやはり自領に逃げた第2皇子、第3皇子の軍と貴族の領軍だろう。

感染が広がれば今後は民間船の臨検まで必要になるだろう。大きな失態だ。

そして敵の正体を把握出来るのが僕の専用艦だけというのも問題だ。

なんとか敵をみつける手段を確立し拡散しなければならない。

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