013 修行編13 専用艦竣工
初評価ありがとうございます。
感謝感激しております。
借金は多ければ多いほど開き直るというのは本当みたいだ。
僕は行政府に1億Gの借金が出来た。
白い部屋で返済計画や細かい条件を決めて契約書を交わした。
借金返済よりも入学金納付を優先してくれたり、利子なしという好条件を付けてくれたのはありがたかった。
また、今後は専用艦と新R10の2艦を収納できる格納庫が必要となる。
その格納庫拡張の追加料金もタダになった。
行政府からの条件は1億Gを完済するまでSFO退会は出来ないということと、行政府から依頼されるクエストの無条件受諾、そして専用艦の育成優先だった。
そこには太陽系外へ遠征しての敵との戦闘も含まれる。
僕が専用艦とR10の2艦持ちとなったことでR10にばかり乗らないようにという通達があった。
SFOは専用艦を育成強化することを推奨しているため、あくまでもR10は修理中の予備戦力として使用して欲しいということだった。
太陽系外に出るには次元跳躍機関が必要になるが、それを装備している艦は、近隣にはステーションそのものしかない。
だが、ステーションは基本的に太陽系から動かないことになっている。
そのためワープ機関を装備していない大多数の艦のために次元跳躍門が用意されている。
簡単に言うとステーションに設置してある転送ポートの巨大版だ。
それが最寄り(と言っても次元回廊的に最寄り)の星系のゲートに繋がっていて、恒星間距離を短時間で移動できるようになっているんだそうだ。
そのゲートのシステムに敵が介入して敵の勢力圏と繋がることがあり、太陽系も敵の侵攻を受けているのだそうだ。
先日にプリンスが敵の存在を軽く流したのも、専用艦を持ってから順を追っておいおい説明する予定だったらしい。
その敵勢力圏への逆侵攻もやれということだ。
入学金を稼ぐだけのつもりが命がけの戦いを強いられることになってしまった。
ん? そういえば姉貴もゲートの先に行ってると言われたな。
そういや、まだ返信がないな。姉貴に縋り付いたら1億G払ってもらえるだろうか?
「そういえば、姉貴とは連絡取れたの?」
疲れきった表情のプリンスに聞く。
「残念ながらまだです。ゲートの先へは直接通信が出来ないので、連絡艦を送らなければなりません。
お姉さんはゲートをいくつも渡っているようですので、連絡するにも連絡艦のリレーが必要になっているのです。もうしばらくかかりそうですよ」
『ピピッ!ピピッ!』
そこへ電子音が鳴る。プリンスの腕輪に通信が入ったようだ。
プリンスはその場で会話することなく仮想スクリーンを開いた。
プリンスはその内容を読むと僕に告げた。
「お喜びください。八重樫さんの専用艦が竣工したそうです」
プリンスは仮想スクリーンを広げると、その艦の映像を僕に見せた。
そこには横から見た宇宙艦の映像と各種諸元が表示されていた。
200m級の艦体に2腕装備。左腕には耐実体弾耐ビーム盾を持っている。
艦体上面には小さな艦橋と大きなレーダーに通信アンテナ、武装として対宙対デブリ用10cmレーザー単装2基2門が。
同じレーザーが両舷にも1基づつ。
下面には長砲身の5cmレールガンが1基1門ついている。
「武装が貧弱な気がするが……」
「そうですね。艦種が『艦隊指揮艦』所謂『艦隊旗艦』ですからね」
僕は恐る恐る聞く。
「……これって専用艦として普通なのか?」
「いいえ、レア中のレアですね。おめでとうございます」
「でも、単艦戦闘力低すぎないか?」
「あ……。でも、専用艦はゲーマーのDNAやプレイ履歴により適正を判断して艦種が決まるのです。
この艦種が八重樫さんに最適だとステーションの中央電脳が判断したということです。
ですから、八重樫さんが仲間を募って艦隊を組めばいいんですよ!」
「いや、SFOに知り合いはいないし。そもそもプロ契約7日の新人の指揮下につくゲーマーなんていないだろ……。
そもそも戦力として仲間にしたいと思うか?」
「……」
プリンスは苦笑いしか出来なかった。
僕の船出は単艦行動確定だった。
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