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012 修行編12 顛末

 レンタル艦10番に敵艦を融合して成長させてしまった。

最早標準採掘仕様の小艦艇はそこには存在しなかった。

当然なことだが、今までのレンタル艦格納庫に入る大きさじゃない。


 融合前にレンタル艦10番が情報を送っていたため、僕たちは行方不明にはなっていなかった。

つまり融合を行った事実と3日間の宙域滞在はステーションも把握していたわけだ。

識別信号も旧レンタル艦10番のものなので、攻撃されることもないだろう。

あとはステーションに着いてから相談しよう。

僕は艦にステーションへの帰還を指示した。



 ステーションに近付くと、高出力レーダーを浴びせられて、各種兵装でロックオンされた。

ロックオン警報がCIC内に鳴り響く。

ステーションの手前200kmで艦を止めて管制室に通信を送る。


『こちらレンタル艦10番の八重樫だ。敵艦と融合してこんなんなった。どうしたらいい?』

『こちらプリンスです。検疫をしますのでエネルギー炉を止め、しばらくその場に停止していてください』


 管制官ではなくプリンスが応答した。

行政官が出てくるとは、大事(おおごと)になっているようだ。

しばらくするとステーションから1km級の宇宙戦艦が発進して来た。

逆行する形で横に並ぶと戦艦の砲塔が全てこっちに向いた。

ロックオン警報が煩いので切る。


 ステーションのプリンスから通信が入る。


『まず、艦を()()()が掌握しているのかを確認させていただきます』


 ネットワークに何者かが侵入してきた感覚があり、直ぐに消えた。


『確認したとのことです。驚きました。本当にレンタル艦が上位の融合なんですね?

小艦艇が200m級を融合したなんて前代未聞ですよ?』



 しばらく待たされた後、僕達の処遇が決まったようだ。


『疑いは晴れました。航行の自由が認められましたので、帰港してください。

格納庫は管制室より指示しますので、誘導に従ってください』


 僕らはやっとステーションに帰ることが出来た。

艦を降りたら即呼び出しだったけども。



 行政塔に呼び出され赴くと白い(軟禁)部屋に入れられた。

一応応接セットがあるだけ前回よりマシかもしれない。

パイロットスーツのままだったので着替えと風呂も用意されていた。

名誉のために言うがオムツは使ってない。


「これは風呂に入れってことだよな?」


 風呂からあがり着替えると、タイミングよくドアが開きプリンスとミーナが部屋に入ってきた。

ミーナはギルド格納庫に残してきた僕の私服を持ってきてくれた。

プリンスはニコニコしているが、作り笑顔な気がする。ちょっと怖い。


「単刀直入に申しまして、前代未聞ばかりで対応に苦慮いたしました。

まず登録3日の新人が敵艦と交戦するのが前代未聞です。

しかもその敵艦を拿捕するとは重ねて前代未聞です。

それにも増して小艦艇が200m級を融合するなど前代未聞過ぎます!」


 プリンスは頭を抱える寸前で留まっていた。

プリンスはミーナが配膳した紅茶を口にして一呼吸置く。


「今後の処遇ですが、大戦果に対してお咎めなどあろうはずがありません。

現在問題になっているのは融合後の艦の所有権になります。

元々のレンタル艦10番の所有権はギルドにありますが、融合元の敵艦の所有権は八重樫さんになります。

では融合後の艦はどうなるのかという問題です」


「まあ、そうなるだろうな……」


「はい、そこで3つの案が出ました。

1つ目は敵艦の価値を査定してギルドが買い取るという案。

2つ目は八重樫さんがレンタル艦10番を購入し全て所有するという案。

3つ目は第三者に売却してギルドと八重樫さんで代金を分けるという案です」


「僕としては売れればいいんだけど。何より入学金問題をクリアしたいし」


「しかし問題が発生しました。

融合により新レンタル艦10番(R10)の電脳が八重樫さんに服従してしまっています。

これが解除できそうにありません。解除出来なければ所有権を移せません。

となると八重樫さんにレンタル艦10番を購入していただくしかなくなります」


「え? 僕は借金まみれだから艦を買うなんて出来ないぞ?」


「はい、それは我々も重々承知していますので、行政府が苦渋の決断をいたしました。

レンタル艦10番の代金1億Gは行政府が立て替えます。

格納庫の使用料金は行政府管轄なので無償で構いません。

ですが、この借金を返済するまで、八重樫さんにはSFOでずーーーっと働いてもらいます!

任務の拒否権はなしです!」


 僕は新たな借金1億Gを背負ってしまった。


「出来れば入学金から先に払わせてください。お願いします……」


 僕は項垂れた。


「災難だったにゃ。でも大譲歩にゃ」


 ミーナがポンポンと肩を叩く。


「どうしてこうなった!」


 僕は叫ばずにはいられなかった。

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