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117 遠征編2 帝都宇宙港

『やあ、君が噂のルーキー第6皇子アキラか。僕は第1皇子カイルだ。よろしく』


 突然の第1皇子からの直接通信に僕は焦らずにはいられなかった。

しかも音声のみではない顔を映したヴィジュアル通信だ。

第1皇子カイルは柔らかい物腰で穏やかな話し方をしていた。


『第6皇子アキラです。地球人奪還にご協力いただきありがとうございました。こちらこそよろしくお願いします』

『地球人誘拐は僕も帝国の一員として謝らないといけない。あれはあってはいけないことだ。すまなかった』


 仮装スクリーン内のカイルが頭を下げる。


『そんな! 頭を上げてください』

『奪還にはいくらでも協力するよ』


 カイルは頭を上げると満面の笑みで協力を約束する。


『助かります』


 すごく人間の出来た人だ。これが皇帝の器なんだろうな。

まあ僕はプリンスの裏の顔を見抜けなかったわけだが……。

少なくとも今のところカイルからは善意しか受け取っていない。


『ところで、アキラはなんで上洛したんだい? 期限に間に合わないはずだろ?』


 あれか。僕は知らなかったんだけど、期限に間に合わないことを理由に断って良いという仕来りだったんだそうだ。

それなのに僕は必死に間に合わせてしまった。


『それが仕来りを良く知らなかったもので、なんとか間に合うルートを見つけて単艦でやって来ました』

『あはは、面白いな君は。この無理難題に降参せずに間に合わせたのは君が始めてだと思うよ』


 カイルは心底面白いと思っているのか腹を抱えて笑っている。


『間に合っても戦力にならなければマイナス評価でしょ?』

『そうでもないかもしれないよ』


 カイルは表情を引き締めて一瞬真面目な顔をし僕を見つめたが直ぐ笑顔に戻った。

第1皇子ともなると僕の情報を持っているのかもしれない。

例えば次元格納庫の秘密とか。


『この後、皇帝陛下に謁見するんだろ? 僕と一緒に行こう』


 僕はカイルの専用艦を隣に第1皇子派遣艦隊2万に囲まれながら帝都の宇宙港に向かった。

カイルの専用艦は2km級の超大型戦艦だった。

僕の専用艦250mの8倍も全長がある。つまり体積は8の3乗倍あるということ。

この超巨大戦艦が隣に居ると僕の専用艦は巨大ザメにくっつくコバンザメのようだ。

端から見ると内火艇にしか見えないかもしれない。


 僕が圧倒的な格差に打ち拉がれているうちに帝都宇宙港に到着した。

そこは帝国本星の衛星軌道に浮かぶ宮殿だった。

手前には宇宙艦を駐機させる駐機スポットを持つ宇宙港エリアがあり、そこには数万の艦が駐機出来るだけの敷地があった。

その宇宙港エリアの後ろに文字通りの城郭が聳え綺羅びやかな輝きを放っていた。


 第1皇子派遣艦隊の艦が左右に分かれて離れる。

僕とカイルはそのまま宇宙港奥の特別エリアに向かう。

そこは皇族専用駐機スポットらしく、超大型戦艦を駐機させられる大きさの駐機スポットがいくつもあった。

カイルの超巨大戦艦を誘導するレーザービーコンが発せられる。

超巨大戦艦はその誘導に従い降下していく。

続いて僕の専用艦にもレーザービーコンによる誘導がなされる。

2kmの超巨大戦艦の駐機を想定した駐機スポットの真ん中に250mの巡洋艦が降りる。

なんか晒し者になってる気がする。


 僕らが駐機すると透明なドームがせり出してきて駐機スポットを覆う。

ドームに空気が充填されると床から桟橋がせり上がってくる。

しかし、幅が合わなくて戻って行った。艦が小さくて悪かったな!

結局桟橋は諦めてタラップ車が用意された。

うん。晒し者になってる。


 僕はパイロットスーツ背中のランドセル上部の突起からヘルメットを出して装着する。

外で作業している人も宇宙服姿だし、気密漏れ対策は必要だろう。

一応専用艦のハッチのランプはグリーン。開けても問題ないサインだ。一思いにハッチを開ける。

何事も無く開き、ハッチ下に用意されたタラップで降りる。

駐機スポットの重力は微弱なようで、このハッチの高さなら飛び降りても大丈夫そうだ。

まあせっかくのタラップなので歩いて降りていった。

そのまま作業用の出入口ハッチまで行って中に入った。

ヘルメットを取って背中に収納し、案内に従ってカイルが待つ所へと階段を登る。

作業通路なのでエレベーターなど無い。

カイルは一部始終を見ていたようで気の毒そうに笑っていた。


 この後僕は皇帝に謁見となるのだが、正式な礼服なんて持っていない。

困っているとカイルが用意してくれた。やっぱり良い人っぽい。


「みんな礼服はここに置きっぱなしだからね。サイズが合わなくなって着なくなった礼服なんていくらでもある。

もちろん洗ってあるし管理も行き届いているから問題ないはずだよ。あ、それプリンスのかも」

「えっ!」


 僕は焦る。宿敵の礼服を借りるなんて拙いでしょ。


「冗談だよ。あいつはまだ謁見の栄誉を賜ってない。もう一生ないけどね」


 それは冗談が過ぎると思います。さらに重い話は勘弁して下さい。

僕は第1皇子カイルに遊ばれていた。

評価、ブックマークありがとうございます。

つい先日5500ptを達成したと思ったら、もう5600ptに!

励みになります。


感想返せてません。ごめんなさい。

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