114 領主編26 内政いろいろ
第8皇子ライオットと第9皇子ベンジャミンの領土が決闘により僕のものになった。
第8皇子主星系ダロン星系、配下のブィコフスキー男爵領惑星ウグリチ3のあるウグリチ星系、直轄領リビンスク星系、リュビーム星系。
第9皇子主星系グレイド星系、配下のアッテンボロー男爵領惑星レディング2のあるレディング星系、直轄領ダラム星系、グロスター星系。
皇子の元主星系がハブ次元跳躍門を持ち、他の星系の次元跳躍門がその下にぶら下がる形でグループ管理されている。
これが地球人連れ去りの中継点となっていたハブ次元跳躍門4つのうちの2つになる。
もう1つは第13皇子プリンス領だったアノイ星系のハブ次元跳躍で、もう1つが第10皇子ケインから奪ったブライビー星系のハブ次元跳躍門だ。
その第10皇子ケインからブライビー要塞に向けてメッセージが届いた。内容は保護申請。
支配星系にプロパガンダ映像を流してあげたところ、第10皇子ケイン自身も第4皇子に狙われていると気付いたらしい。
僕が第4皇子ルーカスのブライビー門通過を認めれば第8、第9皇子と同じ運命だと悟ったようだ。
だがここで第10皇子ケインを大っぴらに保護してしまうと、第4皇子を不必要に追い詰めてしまう。
そうなった時は第4皇子も身を守るために形振り構わずに動くだろう。
元々僕と戦う気があれば味方を切り捨てずに総力戦を挑んで来たはずだ。
それをしなかったことこそ、第4皇子が上位3皇子とのパワーバランスを重視したという現れだと思う。
それほどクローン兵の存在はダメージだったのだ。
第4皇子自身がクローン兵に関わっていると知られれば上位3皇子に攻める口実を与えて潰される。
だからこそ第10皇子の存在が邪魔となっているのだ。
「これって僕が真実を知ったら次は僕が邪魔になるという構図だよね?」
第10皇子保護は表向き拒否しよう。
第10皇子とは仲が悪いことをアピールして星系の閉鎖も解かない。
第4皇子にも第10皇子主星系ケイン星系へは進入させない。
その状態を維持することで保護としよう。
僕は何も知らない。だから第4皇子とも交流を持つ。
奴を煽ててもっと援助を引き出してやろう。
第4皇子すごーい(棒)で行こう。
地球人奪還は順調に進んでいる。
行方不明者はSFOで活躍した人物に限られてきた。
姉貴の場合は皇帝の因子はもちろん、専用艦の装備が特殊なことでも狙われたようだ。
そういった装備狙いの誘拐も行方不明者には多い。
他にも驚くべきことがあった。
SFOによる誘拐以前の50年以上前に誘拐された地球人に生き残りが居た。
幸せに暮らしていて延命処置も受けていたそうだ。
外観はまだ若く寿命もまだ先だが地球に帰る気はないそうだ。
同時期に誘拐された人がほとんど亡くなっているだろうという証言を得られただけでも良かった。
新たに僕の領地となった星系の貴族や代官は僕に従うことを表明した。
ブィコフスキー男爵は誰が星系領主だろうが惑星領主として認めて貰えれば関係が無いようだ。
元々ウグリチ3は服飾ブランド惑星として有名で経済活動の自由が守られることのみが拘りのようだ。
アッテンボロー男爵は、元々星系領主となった第9皇子ベンジャミンと仲が悪かったそうで、惑星領主として惑星レディング2の領民が守られれば良いらしい。
配下として従軍することを免除すれば税金も渡してくれるそうだ。
こっちは星系間貿易とレディング星系の守護任務さえしてくれれば税金無しでもいいんだが。
代官は不正さえしていなければ、そのままでいいだろう。
支配星系が増えるということは、そこを守護する艦隊も増やさないといけないわけで、人員も物資も余計にかかりすぎる。
正直、僕には新たな星系を抱えるメリットが無い。税金をくれる? 防衛でそれ以上に持ち出しだろう。
だから独立採算で勝手に統治してくれる貴族がいるなら全部任せたいところなのだ。
僕の支配星系の統治としては人を増やすこと、有益な惑星を開発すること、移民を奨励し資源開発をすること、宇宙艦を製造し戦力を増強すること、新たな航宙士を養成すること等を行う必要がある。
上位3皇子に匹敵する経済圏と戦力を備える必要がある。
それまで真・帝国復権なんて夢のまた夢だ。
地球人奪還は続くが、膠着状態になって来た。
既に支配星系の人々を犠牲にしてまで奪還に拘るのかというジレンマに突入しつつある。
そりゃ助けたい。なんたって姉貴がまだみつかっていないんだし……。
かと言って第4皇子と血みどろの死闘を繰り広げてまで奪還すべきかというと、犠牲になるかもしれない知り合いの顔が目に浮かんで躊躇する。
だからとりあえず今は領地の平定に務めるしかない。
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