110 領主編22 嫁ーず動く1
ちょいシリアスのはずが、すっと鬱シリアスになっていて拙いなと、こんな話を入れてみました。
書いていたら3人称になっていて、慌てて1人称に修正しました。
変なところがあったらごめんなさい。修正入るかもです。
「旦那様がお困りのようです。私どもの出番です」
私、押しかけ嫁1号ことカプリース子爵令嬢キャロライナが宣言します。
そこには押しかけ嫁2号ことグラウル子爵令嬢マリアンナと押しかけ嫁3号ことラーテル男爵令嬢ジェーンが集い決意の顔で頷いていますわ。
クローン襲撃事件以後、晶羅様の地球人奪還事業が滞っていることを私ども3人は危惧して集まったのですわ。
「このまま旦那様が忙しいと、私どもが構ってもらえません!」
それは私どもにとって最上級の深刻な事態ですの。
「でもキャリー、私らだけでどうすればいいのよ」
「父上の話では、クローンの専用艦がダロン4産なのかどうかの確証を得たいらしいぞ」
「研究所に突入したラーテルの情報なら間違いないわね」
「いえ、いいんですのそれ?」
マリーさん、うんうんと頷いてる場合じゃなくってよ。
それは情報漏洩ですわよキャリーさん。
お二人の弛さに頭が痛くなってきましたわ。
「なら私らでちょちょっと調べて旦那様に褒めてもらおう」
「おー」「しかたありませんわね」
いけませんわ。妄想でニヤけてしまいましたわ。
私は正気に戻ると各所に連絡を入れる。お二人も決意の表情を浮かべ行動に移りました。
嫁ーずが動いた。自らの欲望のために。
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「駄目ね。第8皇子の主星系であるダロン星系に乗り込むのは無理ですわ」
私は頭を抱えてしまいました。
旦那様が慎重になっているのは、第8皇子と無闇に事を構えないため。
第8皇子が地球人クローン襲撃事件に関与しているかどうか確定的な証拠も無いのに敵対行動は出来ないのです。
「ダロン星系産の宇宙艦が配備されているような別の星系を探すのも有りだ」
「となると第8皇子の直属の配下が治める星系が狙い目ですわね」
「ここ、ダロン星系ハブ下星系のウグリチ星系ウグリチ3。有名なブランドショップがあるわ!」
ジェーンさん、よく気づきました。その意見が突破口になり話が広がりますわ。
そこでついにマリーさんが女性が訪問しても不自然じゃない惑星を見つけました。大手柄ですわ。
ウグリチ3、各種繊維織物や衣料品生産が主産業で衣料品ブランドが工場を置き、最先端ファッションの発信地として栄えている惑星。
首都にはブランドショップが軒を連ね、女性客がショッピング目当てで押しかけていますわ。
「星系領主のブィコフスキー男爵は確かに第8皇子の配下ですわね」
「ここなら堂々と訪問できるぞ」
「決まりね!」
「行きますわよ!」
だが嫁―ずは気付いてなかった。
どうやって宇宙艦を調べればいいのか、全く検討もしていないことに。
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私達の専用艦3艦は仲良くダロン星系のハブ次元跳躍門に到着すると、ダロン星系に出ること無く、このまま亜空間を迂回しハブ下のウグリチ星系に向かいます。
『星系進入許可を。こちらはカプリース子爵令嬢、グラウル子爵令嬢、ラーテル男爵令嬢です。目的はショッピング。よろしくお願いしますわ』
『子爵に男爵令嬢? しばらくお待ちを』
私の申告にウグリチ星系の管制官が慌てていますわ。
貴族令嬢に失礼があってはいけないというところでしょうか。
まさか私達が旦那様の嫁だとはバレていないですわよね?
『ようこそウグリチ星系へ。歓迎いたします』
案ずるより生むが易し。すんなり通過出来ましたわ。
「それでは、みなさん、ブランド品が待つウグリチ3に向かいますわよ」
「いや、目的が違うと思う」
「やっぱりノープランだったのね!」
ラーテルとグラウルが煩いですわね!
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ダメだこの子。早く何とかしないと。
私、いや面倒くさい。普段通りであたいでいいや。
あたいはジェーン。ラーテル男爵令嬢だ。晶羅様の筆頭嫁だ。
今までキャリーことカプリース子爵令嬢に仕切らせていたけど、この子、ブランド惑星に来たら舞い上がってすっかり目的を忘れている。
あたい達が、このウグリチ3に来たのは、第8皇子系の工業惑星がアノイ星系を襲撃したクローンの専用艦の生産地であるか確認するためだ。
そのため第8皇子の直属の配下であるブィコフスキー男爵領の宇宙艦を調べようとして、この星系に来たんだ。
あたいが考えた作戦はこうだ。
あたい達の専用艦は貴族令嬢に相応しいように豪華な装飾がなされている。
晶羅様に嫁ぐ前は実家も准男爵で貧乏だったから、こうはいかなかったんだけど、今は男爵令嬢いや第6皇子妃に相応しいように装飾されている。
この豪華専用艦にウグリチ星系の宇宙艦が衝突したらどうなるのか。
修理にかこつけて相手を調べられるんじゃないかという寸法だ。
あたいはウグリチ星系内に進入すると獲物を求め周囲を観察しだした。
rucifer様よりレビューをいただきました。ありがとうございます。
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