103.5 閑話 現在 四天王2
本日閑話につき2話更新予定です。
☓次話は12:00ぐらい更新の予定です。
◯早く書けたので1:00に更新します。
電脳空間の極秘会議室に2人のアバターが集まっていた。
4つあった席は既に2つが空席となっていた。
1つはプリンスの席。もう1つは第10皇子ケインの席だった。
ケインの次元通信はハブ次元跳躍門の中継器が晶羅に抑えられたため寸断され参加不能だったのだ。
第10皇子ケインは自分の主星系に引きこもるしかない所謂隠居状態だった。
「ケインの奴めがアキラに屈した」
「奴は我らが助けに行くと思っているのだろうな」
「あのような失態を帝国中に晒されては、奴を助けに行けば我らとてダメージを追う」
2人は大きく溜息をついた。
「それにアキラの戦力だ。5万の艦隊を擁し反物質粒子砲を使うとは……」
「あれは我らの新兵器であったものを」
「プリンスめ、我らにまで隠して量産化を図ろうとは、どこまで権力欲が強いのか」
「おかげで我らにはあの新兵器は造れぬ」
「我らが獲得したDNAのせっかくの成果だったというのに」
不快感を露わにして話す2人のターゲットがプリンスから別の人物に移る。
「そのDNAの持ち主も行方不明か」
「プリンスを助けに行かせたことが仇となったな」
「まさかあのまま出奔するとはな」
「駆け落ちか……」
2人は苦笑いするしかなかった。
「プリンスとケインから我らに辿り着くのは時間の問題だろう」
「困った兄達だ」
そう彼らはプリンスとケインの腹違いの弟である皇子だ。
だが、彼らの方が継承順位が上だった。
そのため兄として敬うことはなく呼び捨てだった。
「善意の第三者を装うにも、返せない地球人の存在がネックになるだろう。戦いは不可避だ」
「何らかの不手際をあげつらってアキラに決闘を申し込むとして、ケインの戦力をあてにしてもこちらの方が分が悪い」
「やはり我らの総帥に出張ってもらうしかないな」
「我らはもう皇帝の座を諦めた皇子とは名ばかりの総帥の手下でしかないのだからな」
「このような時に出てもらうための主従関係なのだから嫌とは言わんだろう」
彼らは解ってなかった。
総帥の敵は晶羅だけではないと。
晶羅と戦うことで戦力を低下させれば他の敵を利することになると。
そうまでして助ける価値が自分達に無いのだと。
「こちらも切り札を切るべき時が来たようだな」
「あれを出すのか!」
「直接戦闘の前の嫌がらせには最適であろう?」
2人は嫌らしい笑みを浮かべるのだった。