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095 領主編7 領地経営2 惑星改造

 防衛会議の結果、アノイ星系の次元跳躍門(ゲート)防衛に3領軍から各2000、地球軍1000の合計7000艦を配備。

太陽系の次元跳躍門(ゲート)防衛には工場母艦の艦10000とSFOゲーマー500の合計10500艦を配備。

獣人領グループは領軍の残存戦力が防衛、アキラ直轄領グループにはアクア3以外は代官の艦隊を含め各有人惑星へ2000艦を配備することとなった。

アクア3はアクア子爵の領軍に任せた。


 そして経営会議ではアキラ直轄領(旧プリンス直轄領)グループにて重水素が採掘出来る惑星を開発することが決定。

獣人領(旧辺境)グループではグループ内で経済が完結出来るように畜産2農業2鉱業1水産1を賄う惑星を開発することに決定。

工場母艦は基本的にはアノイ要塞に配備。星系グループ内を自由に周り次元跳躍(ワープ)を行い星系探査と次元跳躍門(ゲート)設置を行うこととなった。

食料と燃料はグループ間の輸送さえ行えば今でもなんとか賄うことが出来る。

しかし今後の発展のために近隣星系を探査し支配星系を増やす予定だ。

会議は続く。


「とりあえず、今直ぐに動けるのはアノイ星系の開発だね。

アノイ2は気温が高いことを除けば居住可能惑星として使える。

これは恒星アノイと惑星アノイ2の間に遮蔽フィールドの傘を設置すれば最適な温度に調整可能だ。

そしてこの技術はグラウルα、βにも使える。夏の移動は必要なくなる。

冬対策も考案済みだが技術絡みの部分でまだ検討中だ。

最重要課題として傘の製造を工場母艦に依頼してある。

そこで工場母艦に素材を提供する鉱物惑星か鉱物性の小惑星が必要だ。

アノイ星系にそのような惑星か小惑星があるだろうか?」


 惑星アノイ2は帝国直轄領だってプリンスには聞いていたんだが、あれはプリンスが身分を隠すためについた嘘だった。

プリンスから受けていた情報はかなりの部分で嘘があった。

その嘘は帝国への報告にもあり、アノイ星系の惑星の数、惑星の種類、資源などの情報は秘匿されていた。

そのため新たに星系を探査し、惑星はアノイ1からアノイ4までが岩石惑星、その外にガス惑星のアノイ5があることがわかった。

それらの情報は全てサポートAIの愛さんに集約され閲覧可能となっていた。

僕の質問に愛さんが答える。


「アノイ3は岩石惑星でハビタブルゾーンの位置にあり、ジェネシス・システムを使えばテラフォーミング可能で、気温もそのままで適温と思われます。

採掘で潰すより居住可能惑星として整備する方が最適でしょう」

「となるとハビタブルゾーンの外にあるアノイ1かアノイ4で鉱物採取するのが良いかもしれないな」

「そこは軌道上から資源探査した結果、アノイ4が適任と思われます」

「それならアノイ4の衛星軌道上に工場母艦を配置、アノイ4で採掘した資源をマスドライバーで打ち出せばいいな」

「はい」

「鉱山開発なら、牛族が最適です。彼らはタタラ星系への出稼ぎで慣れております」


 ジョンからの提案で牛族にアノイ4の鉱山を任せることにした。

これでアノイ星系にも鉱業と工業が発展していくだろう。


「ガス惑星のアノイ5も重水素の採取が可能だな」

「重水素の採取は我ら犬族の出番でしょう。我らにお任せください」


 惑星グラウルの重水素採取もプリンスの下請けで犬族がやっていた。

アノイ5も犬族に任せで大丈夫だろう。

適材適所で2つの惑星開発を任せられたのは幸運だった。


「アノイ星系の開発計画は概ね決まったかな?

それでは仕事を割り振った各種族は予算を申請のうえ必要な機材の分配を工場母艦より受けてくれ。

必要な機材は工場母艦に発注可能にしておく。工場母艦の生産力なら直ぐ用意出来るだろう。

僕はアノイ3のテラフォーミングに向かう。

カプリース星系とレリック星系は資源探査をして報告、次の開発は両星系の予定だ。

近隣星系の観測もしておくように。

何か質問は?」


 僕はみんなの顔を見回す。質問はなし。


「よし第一次開発、アノイ星系開発計画を始める。仕事にかかれ!」



*******************************



 僕と護衛の神澤准男爵と護衛艦隊は惑星アノイ3にやって来た。

惑星アノイ3はハビタブルゾーンにあるものの重力が小さかったため空気が逃げ死の惑星だった。


「死の惑星というのはある意味テラフォーミングには最適だったな」

「うん、原始生物でも殺しちゃうのは気が引けるからね」

「で、晶羅(あきら)、本当に俺が撃っていいんだな?」

「ジェネシス・システムを運んで来たのが社長の専用艦なんだからいいんじゃない?」


 ジェネシス・システムはなぜか僕の専用艦の次元格納庫に入れられなかった。

次元格納庫の次元干渉能力とジェネシス・システムの次元干渉能力がお互いに悪影響を及ぼしているのだろうか。

ジェネシス・システムは無から有を生み出す際に次元干渉により有を引っ張り出しているようだ。

このシステムは(真・)帝国の遥か昔から伝わるブラックボックスで、仕組みも何も解らずに製造しているんだそうだ。


 ジェネシス・システムの設定はアノイ3の地形起伏により海洋惑星に決定した。

平地が少ないため高い山を島にした方が使いやすいという判断だ。

そして重力も1Gに設定し人が住める惑星とする。

まさに神の御業、創世装置だ。


「カウントダウンするよ。5・4・3・2・1」

「発射!」


 神澤准男爵がジェネシス・システムを発射する。

全長1km、神澤艦の全長が520mだからどっちがメインかわからない状態だ。

ジェネシス・システムが停滞フィールドを纏ってアノイ3の赤道上に撃ち込まれると奇跡が起きた。

ジェネシス・システムを中心に海が発生し星を飲み込んでいく。

重力が強くなりその海水が宇宙空間に放出されてしまうこともない。

海の次は大気が厚く覆いはじめ雲を形成していく。

磁場が強くなりオゾン層電離層も発生、有害太陽風も地上に届かないように排除する。

正味1分で地球型居住可能惑星が出来てしまった。

大地には樹木が、海には海洋生物の生態系まで出来ていた。


「社長、僕達は神になっちゃったよ」

「天地創造か、なんとも言えない気分だ」

「これでアノイ3は海産物を資源とした惑星に生まれ変わったわけだ」

「これはとんでもない価値だぞ。晶羅(あきら)、地球人を移住させる気はあるか?」

「確かに地球人は増えすぎて地球が狭くなってる。でも今の地球人を恒星間種族にして大丈夫かな?」

「宇宙に新たな火種を撒くことになるか……」

「うん。自称自治会みたいな身勝手な人多いよね?」

「ああ、あいつらには星の世界は早過ぎるか」


 僕は社長と顔を見合わせて笑ってしまった。

やるなら火星あたりを改造してそこで修行させるべきだろう。

そこにまでエゴを持ち込んだらその先は無しで。

なんたって僕は太陽系の星系領主だからね。


「社長、それと他も気付いたよね?」

「ああ、ジェネシス・システムの武器転用のことだろ?」

「うん。これ有人惑星に使ったら大量破壊兵器に早変わりだ」

「厳重な管理が必要だな」

「それと迎撃態勢も。道具は正しく使ってこそ便利なのに、人は違う使い方をしたがりすぎる」


 僕達の予感が将来現実化しないことを願わずにはいられなかった。

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