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ヒーローライクヒール  作者: 手頃羊
1話:異世界とはこういう世界
5/33

その5・笑顔の仲間達

扉を開けて中に入る。

丸型のテーブルがいくつかあり、それをそれぞれ2,3個ずつ椅子が囲っている。

奥にはカウンターもあり、その向こうに酒と見られる瓶が何本も飾ってある。

向かって右側に階段もある。

何人かが椅子に座って酒を飲みつつ会話している。


(いま昼…)


少女「おかえり、お父さん!」

1番近くにいた子どもがハゼットに歩み寄る。


(この人子持ちだったのか。)

青や赤の装飾が付いたセーラー服系魔法少女のような服。

派手ではないが、アメリカの西部開拓時代の酒場みたいな外観のこの場の雰囲気には浮いている。


ハゼット「あぁ、ただいま。」

少女の頭をポンと叩く。


青髪の女「おかえりハゼットさん。」

青い髪の女性が酒瓶片手にやってきた。


青髪「そっちの人は?依頼者さんかい?」

海賊衣装でも着てたら似合いそうな、姉御という感じの女性だ。


ハゼット「いや、違う。」


橙髪の男「じゃあ新入りとか?」

今度は橙髪のオールバックの青年がやってきた。


(俺と同い年くらいか?)

若くて明るい青年。


ハゼット「拾ってきたんだ。新入りじゃない。」


(そんな子犬みたいな…)


黒髪の女「へぇ〜、拾われたんですか。」

今度はボサボサした髪の女性がやってくる。

目の下にクマがあるからか、話し方のせいからか、幸薄そうな雰囲気だ。

ただ話し方は暗いわけではない。


科学者風の女「それはまた、ハゼットに拾われるとはな。」

今度は白衣を着た女性だ。


(あれ、その服俺んとこの世界にも…)

この女性が来ている服は、どこからどう見ても玄野がいた世界にある、科学者なんかが着ている白衣。


科学者「なんだ、この服か?不思議だろう?森に落ちていてな。なかなか着心地が良いから愛用しているんだ。誰のものか分からんしな。」


玄野「そうなんすか…」


(落ちてた?あれが?)


科学者「いつかはこれを量産したいと思ってるんだが、こんな素材見たことなくてな…」

疑問には思ったが、放っておくことにした。


(またいずれ知る機会が来る…)


ハゼット「とりあえず、もう一度自己紹介だな。俺はハゼット・ローウェル。このギルドでギルドマスターをしている。」

手を差し出される。


玄野「握手ってことですか?」


ハゼット「あぁ。そっちにもこの文化はあるんだろう?」

握手を返す。


ハゼット「それからこいつらが、うちのギルドのメンバーだ。」

先ほど話しかけてきた者たち全員がギルドで働いているという。


青髪「アクア・ローレンス。そこの役立たずの姉さ。」

オレンジ髪のオールバックの男を親指で指差しながら言う。


橙髪の男「俺はフレア・ローレンス。そこのグータラの弟。」

フレアもアクアを指差して言う。


アクア「あ?」


フレア「お?」


(なんだこの姉弟…)


黒髪の女「エリー・ローウェルです。」

ボサボサした髪の少し気弱な声の女性。


玄野「ん?ローウェル?」

ハゼットと同じ姓をしている。


玄野「この人も身内の方?」


ハゼット「あぁ。俺の恋人だ。」


(こいつ、堂々と…‼︎)

恥ずかしげもなく、堂々と恋人宣言。


エリー「恋人だなんて…」

顔を赤らめて言う。


(見てるこっちが恥ずかしい!)


少女「レオ・ローウェルだよ。よろしく!」

先ほどの少女が手を差し出してくる。

握手をしようの合図である。


玄野「あぁ。よろしく。」

握手を返す。


(この子もローウェルってことは、娘さん?いやでも、エリーさんのこと妻とは言わなかったよな…面倒な関係なのかな?拾ったとか…)


レオ「お兄さん、僕のこと平気なの?」

握手をしながらレオが聞いてくる。


クロノ「え?」


レオ「ううん…」


(平気?)

レオに聞かれたことの真意が分からない。

しかし、何も返さないわけにはいかないので、


玄野「何の話かは分かんないけど、別に?」

逃げるように手を離し、顔を俯かせてしまった。


(あれ?)

女心というものを理解するのは難しいと思った。


ハゼット「…そして」


科学者「私か。」

白衣の女性の番である。


科学者「クサバ・マキノだ。他のと違って、クサバが姓だ。」

この世界にも日本人と同じように、苗字が先に来るという文化があるらしい。


マキノ「東国の出身でな。東の方は姓と名が逆なんだ。」


フレア「そんで、君は?」


玄野「僕は…上月玄野です。」


ハゼット「カミヅキ・クロノか。ようこそ、クロノ。」

これからこの異世界での生活が始まる。


クロノ「よろしくお願いします。」

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