表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローライクヒール  作者: 手頃羊
7話・たった1人の
30/33

その1・さらわれて

クロノと別れたハゼットとエリーが村の中の探索を開始する。


エリー「ハゼットさんがクロノさんに同行すると思ってました。」


ハゼット「それも考えたんだが、森の中でのアクアの支援技術は最高なんだ。あいつの右に出る奴はいないと思っている。」


エリー「だから勝てなかったのか…」


ハゼット「なんだ、あいつと戦ったのか?」


エリー「え?えぇ!まぁ!」

急に焦り出す。


ハゼット「…そうか。」

ハゼットには大体想像がついている。



村の中にはゾンビがちらほらいるものの、大した数ではない。


エリー「そういえば、私たちがゾンビに噛まれたらどうなるんです?不老不死だから死ぬことはなさそうですけど。」


ハゼット「俺も気になってクロノに聞いたんだ。だが、あいつも知らないらしい。ゾンビにならない為には、事前にゾンビにならない特殊な薬を使うか、噛まれた後にゾンビになるのを遅らせる薬を使い続けるしかないらしい。」


エリー「遅らせるってことは、ゾンビ化そのものを防ぐことはできないってことですか?」


ハゼット「そうらしい。薬を使い続ければ。だから、死ぬまで使えばゾンビにはならずに済むだろうな。まぁ、こちらのゾンビとあいつの知ってるゾンビが同じだったらという前提だが。」


エリー「その薬って、こっちの世界には無いものですよね?」


ハゼット「だからマキノに頼んだ。クロノには事後報告になってしまったがな。」



ゾンビに見つからないように村を回るが、生存者らしき者は見当たらない。


エリー「どうします?」


ハゼット「一件一件、調べるしかないな。」

目についた家から調査を開始する。


ドアに耳を近づける。

中から物音は聞こえない。

静かにドアを開ける。


ハゼット「ぬっ…」

血まみれの若い男の死体が床に転がっていた。

手に持ったナイフも血まみれで、首が裂かれている。

腕には噛まれた痕もある。


ハゼット「ゾンビになるのは嫌だった、ということだろうな…」


エリー「ひどい…」


次々家を調べていく。

死体が転がっていた家、特に何もない家、ゾンビへと変わり果ててしまった者がいた家。

しかし生存者は見当たらない。


残すはあと2軒となった。

残りの1つのドアへ耳を近づける。

中から何かを食べているような音が聞こえる。


(この状況で咀嚼音…ゾンビか。)

エリーに手で合図を出し、中にゾンビがいることを知らせる。


エリー「開けます。」

エリーがゆっくりとドアを開ける。

ハゼットが魔法で創った槍を構えて中に入る。


女性のゾンビが男性の体を食べていた。

やはり、と思ったところで違和感を感じる。


(なんだこいつは…泣いている?)

泣いているかのような声を出しながら男の体にかじりついている。

構えていた槍を下ろす。


エリー「ハゼットさん?」


ハゼット「…おい。」

ゾンビに声をかける。


ゾンビ「ひっ!」

怯えたような声を出すと、奥へと逃げてしまった。


ハゼット「向かってこない、か。」


エリー「逃げるゾンビは初めてですね。」


ハゼット「いや、あれはゾンビかもしれないが…」


エリー「え?」


ハゼット「俺の勘違いでなければ、あいつは自我が残っているのかもしれん。」


エリー「自我が?」

ゾンビらしき者が立ち去った方向を見つめる。


エリー「でも今人間を…」


ハゼット「分からないが、怯えたように見えた。武器を持った2人組が入ってきたら普通の人間は怯えるだろう。」


エリー「じゃあなんです?人間の意識を保ったままゾンビになったってことですか?」


ハゼット「だと思ったのだが…」


エリー「クロノさんからは何も聞いてないんですか?」


ハゼット「聞いていない。こういう大事なことは知ってたら言うはずだ。」


エリー「ということは、クロノさんも知らないこと…」


ハゼット「とにかく行ってみるしかない。」



一方その頃、クロノは…

平原を縛られた状態で運ばれていた。


クロノ「んー‼︎んー‼︎」

上半身が人間、下半身が蛇の体をした女性と目が1つしかない女性の2人組に連れ去られている。

蛇の体でクロノの体に巻きつき、尻尾の先っぽを口に入れて声が出ないようにしている。

その状態で魔力を使い、地面をスライドするように走っている。


巨大生物を倒した後、その体を調べようとするとアクアが茂みに向かって弓を構えた。


アクア「そこにいるのは誰だ‼︎」


クロノ「え、なに?」

異常を察知したクロノも剣を構える。

すると茂みの中から蛇の体をした女性が口から炎を吐きながら現れた。

炎がアクアを覆いかけるも間一髪避ける。

そのすぐ後に蛇女の背後にいた1つ目の女性がアクアに向けて矢を射る。

アクアも矢を放ち、空中で射落す。


クロノ「て、敵襲⁉︎」

あまりの事に頭が追いつかず、状況を理解するのが遅れる。

蛇女は辺りの木を次々燃やし、一面が火の海となる。


クロノ「やべぇなんだこの大火事‼︎ちくしょう‼︎」

蛇女を止めようと剣を構えて走る。

1つ目がそれを阻止しようとクロノに向けて矢を射る。

1度立ち止まって矢を斬り落とし、再び蛇女の方を向く。

その瞬間に既に蛇女が尻尾を伸ばしてきていた。


クロノ「うわっ‼︎」

尻尾に体をくるまれ、捕まってしまう。


蛇女「ずらかるぞ!」

1つ目の女性に合図をし、クロノを捕まえたまま逃げ出す。


アクア「待ておい‼︎」

矢で射ろうとするも火の勢いが強く、弓を構えることもできない。


アクア「これじゃああたしが燃えちまう!でもクロノが…くそッ‼︎あいつら魔族だったな‼︎」


そして今に至る。


クロノ「むー‼︎むー‼︎」


1つ目「マレー、何か喋りたがっているけど。」


蛇女「知らないよ。」


(ちくしょうこのやろう‼︎)

尻尾を思い切り噛む。


蛇女「いってぇ‼︎おい‼︎」

しかし走るのをやめず、なおも縛られ続ける。


クロノ「うるせぇ‼︎俺は蛇とか虫とか爬虫類とか苦手なんだよ‼︎放せ‼︎」


蛇女「うっさいなぁ男だろ‼︎それくらい我慢しな‼︎」


クロノ「なんなんだあんたらいったい⁉︎」


1つ目「私はエル。そっちのラミアがマレー。」


クロノ「エル?ラミア?マレー?」


マレー「ラミアくらい知ってるだろ。下半身蛇の魔族だよ。」


(魔族⁉︎魔族って人間と仲悪いってアレか‼︎)


クロノ「なんで俺は攫われてるんだ?何するつもりだ?」


エル「売る。」


クロノ「売る⁉︎」


マレー「あんたみたいな強い人間ってのは、魔界では需要があるのさ。なんてったって長持ちするからな。」


クロノ「長持ち⁉︎まさか、奴隷商人かなんかかあんたら‼︎」


エル「奴隷商人じゃない。それに良い感じの商品を売りつける仕事。」


クロノ「マジかよ…」


(ってことは俺、これから奴隷にされるのか⁉︎ふざけんなよ⁉︎)


クロノ「この…!」

必死にもがくが、さらに締めつけられる。


マレー「暴れるとへし折るぞ?別に死なれてもそれはそれで需要はあるんだ。」


クロノ「くっそ…‼︎」


(いや、チャンスを待つんだ!門があるとか言ってたし、そこでチャンスがあるかも‼︎)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ