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23 お買い物ぱーと2

23 お買い物ぱーと2


 ささっと簡単に昼食を済ませてから買い物に出た。


作り初めてから色々足りない物が分かってさて何処に行くべきか悩む。鍋やなんかは金物屋だろう。

簀みたいな木箱や何かは何処にあるんだろう?


あと、露店で売るドードの塩レモン焼きに使う串とか。


必要な物を整理してみよう!


・鍋(糖化液を煮詰める用)

・ボール(ポテーイ剥いたのを入れとく用、おろしたポテーイを入れとく用、でんぷんを沈殿させる用)

・簀状の木箱(でんぷんを乾かす用)

・保温機(糖化させるのに温度を一定に保てる様な物)

・温度計 (あれば)

・木杓子、お玉

・広口瓶(出来上がった水飴を保存する)


ここまでが水飴作りに必要な道具。


・串

・炭

・焼き台(焼き鳥焼くような調理機)



あと! これ大事!


ディーにアイテムボックスを買うこと!


わたしは帰ってしまうのだ。それがいつかはわからないけど、そうしたらディーは荷物を運ぶのに苦労してしまう。


ターニャさんに聞いたときからドランで購入しようと決めていた。


フィシオノシア様に御会いしたりしてテンション上がってちょっと忘れてたけど(^-^ゞ)


というわけで先ずは魔道具屋さんだね!


 3区の魔道具屋さんがいいのか?


「ディー、アイテムボックスってどの位の値段がするものなの?」


「内容量の問題と、後は魔石依存か、本人の魔力依存かによる」


「魔石依存か魔力依存かで何が違うの?」


「魔石依存の場合は使用者本人に魔力が無くても使えるが、使用者制限が掛けられないので貴重品の保管などは止めた方がいい。魔力が少ない人族はこちらが多い。容量が大きくなれば魔石も大きくなくてはならないので値段は張る」


「ほぼ魔石の値段みたいなものか」


「魔力依存の物は容量、時間経過、鑑定等の付与が付くほど最初起動させる為の魔力が多くなる。値段は時価だな」


「時価?」


「制作してはみたが購入者が誰もいなくて何年も不良在庫として抱えられてたら購入希望者が現れれば多少の値引きはあると思うが」


 成る程


「ディーは魔力多いんだよね?」


「種族特性として人族よりは多いと思うが魔力はステータスにのらないからわからないな」


「体力とか筋力とかはのるのにねぇ~」


 変なの


「魔力は精神と知力値の乗算だと言われている」


 ということは制限がかかってた時点でディーの魔力は知力21×精神168=3,528だった。

 制限を解除した今はどのくらいあるのだろう?


 ちなみにわたしは知力36×精神15=540だ。これが人族として多いのか少ないのかは知らない。


 そんな話をしているうちに魔道具屋さんに到着。


 外観は街の時計屋さんと電気屋さんを足して2で割ったような感じかな。


 ドアベルを鳴らして店内に入るとカウンター奥でで作業をしていたうちの1人が眼鏡を外してこちらを見て


「いらっしゃいませ」


 と言った。


「今日はどんな物をお探しですか?」


 若いのだか中年なんだか見た感じわからない痩せて神経質そうな男性だった。


「アイテムボックスを見せていただきたいのですが」


「今あるのはこちらですね」


 布を張ったお盆(宝石とかを乗せるようなやつ)に指輪が15点、ペンダントが6点乗せられた物を出された。

 その中で一番大ぶりなペンダントを指して


「これは魔石依存の物ですよね? 容量はどの位でお幾らなんですか?」


 と聞いてみた。


「こちらは容量が3㎥で108万ペレでございます」


 縦横高さ3mって四畳半よりちょっと広い位だよね。それに108万ペレか、高くないか?


「他にはないんですか? 魔力依存の物でも良いのですが」


「他でございますか? 今のところうちにはこれだけでございますね。申し訳ございません」


「そうですか、ありがとございました」


 無いなら仕方ないと礼を言って帰ろうとしたらもう一人の店員が口を挟んだ。


「店長、あれは? バカ助が置いてったヤツ」


「あれは、誰も起動させられなかった不良品だろう」


「あいつが言うには付与魔術つけすぎたかららしいぜ、起動さえ出来れば絶対クレームは出ないって言い張ってたぞ」


 もう一人の店員はわたしよりもディーを見てそう言った。


「あの、一応それも見せていただけますか?」


「はぁ、それは構いませんが。少々お待ち下さいませ」


 店長はそう言うと見せてくれてたアイテムボックスの魔道具をもう一人の店員に預けると奥へと続くのであろう扉の奥に引っ込んだ。


「制作者はちょっと変わり者だけど腕は確かだから起動出来ればお買得だよ」


 起動出来ればね。


「お待たせいたしました。こちらになります」


 奥から持って来たそれは今まで見せてくれてた様なアクセサリータイプではなく、ワンショルダーのボディバッグだった。


「このバッグは“ふぁすなー”ごとに付与が違うそうです」


 店長さんは書き付けを見ながら説明してくれた。


「一番大きな口は素材解体、時間停止。前ポケットは無限収納、時間停止。脇の口は1分1時間の時間促進”あらぁむ”付き。ベルトの所は無限財布。鞄自体に所有者登録機能、重量不感知、不破壊、汚れ防止、防水を付与。だそうです」


 これ作った人ってもしかして転移者?


「で、おいくらですか?」


「起動させられる奴だったら2万ペレでイイって、ただし起動出来ない奴には売るな。だってさ」


 後ろの店員が笑いながら言うのに接客してくれてる店長も


「そう言うことです」


 と肩を竦めた。


「起動を試す事はしてもイイですか?」


「本来ならお断りしているのですがこれに関しては制作者に許可をいただいておりますのでどうぞお試しください」


「ディー試して見てくれる?」


 わたしはディーに場所を譲り試してみるように即した。


「これはどこに魔力を注げばいいんだ?」


「はい、・・・こちらのプレートからのようです」


 ベルトの財布といわれた口の下に名刺大の金属プレートが打ち付けられている。


 ディーがその部分に指を当てると仄かに光を発した。


「確かに随分魔力を持って行かれるな」


「大丈夫? クラクラしたりしてない?」


 奴隷商館の所で魔力枯渇に陥って昏倒してしまったのが記憶にあるので心配になってくる。


「大丈夫だ。魔力錬成をしながらしているから問題ない。それにそろそろ終わりのようだ」

 

 ピピピピ


 電子音がして金属板に文字が浮かぶ。


〖所有者登録を完了しました〗


 あ、日本語だ。


「何か出たぞ」


「そうだね、使えそう?」


 そう聞くとディーはファスナーを開けて手を突っ込んだりしながら


「問題無さそうだ」


 と答えた。


「じゃあこれいただいていきますね。あと熱いとか寒いとかが分かる道具はないですか? あと、暖かいまま保つ容器もあれば欲しいいんですが」


「熱いとか寒いとか? 温度計でよろしいですか? 容器ではないのですが保温機として使われる物ならございます。ジャン、孵卵機を出してくれ」


 店長は先程と同じように布張りのお盆に温度計らしきものをでしてくれた。


 金属の棒、ロング、ミディアム、ショート。って感じだ。ロングが1m位、ミディアムが50cm 、ショートが20cm 、というところだ。

 メモリも何も付いていないのでどうやって温度を見るのか解らない。


「この短いのは水温計で氷になる温度が青、沸騰する温度が赤その間は色の変化で見ます。中くらいのは竃の温度を見るものです。高くなると赤、低くなると青。だだし低くなっても水が沸騰する温度以上だから気を付けてください。長いのは炉の温度を見るものです。青が錫が溶ける温度、赤が鉄の溶ける温度です」


 炉って鍛冶するときに使うんだから鍛冶はしないからこれはいらない。


「水温計と竈計を下さい。あ、おいくらですか?」


「水温計が5000ペレ、竈計が7000ペレです」


 今32000ペレか。


「店長これでイイのか?」


 ジャン店員は奥から抱えるようにして箱を持って来た。 


「そうだ、ここへ置いてくれ」


 カウンターの上に乗せられた箱は中々に大きい。外回りは木で左右と後ろの上の方に網が張った空気口がある。正面はガラス?の開き戸がついている。扉の脇にダイヤルとスライドバーが付いている。

 開けると中は金属張りでメッシュの金属棚が2段付いている。


「これはケミカル妖虫の孵卵機です。ケミカル妖虫はここの気候より熱い地域に生息するものなので孵すのに高い温度30日間暖めないと孵らないのです。その為の魔道具ですね。これでしたら温度を一定に保てますがいかがでしょうか?」


「これはどの位の温度を保てるんでしょうか? 水温計の半分より少し上の温度にならないと意味がないんですが」


 糖化させるには40℃以上60℃以下を8時間維持出来なければならない。

 最悪保温機が無くても竈のおきびに一晩置くことでも出来なくはないが確実性に欠ける。


「だったらそのアイテムボックス作った奴に調整を頼むといいんじゃないか? どうせあいつなら売れもしない変なもんばかり作っていて仕事が立て込んでるなんて事はなさそうだから二つ返事で受けると思うぞ」


 どうもその人日本人の転移者ぽいんだよな~ 


「わかりました、ではその方をご紹介いただけますか? あとその孵卵機はその方と相談してから買うか決めますので、アイテムボックスと温度計の精算をお願いします」


 そう言って会計を済ませると店長さんがお店の名刺がわりの木札の裏に紹介する旨を書き付けたものをくれた。

 

 名前はシュン・ワターニャ。住所が4区左2通り6番地ノ3ノ3階

 

 4区か、そしてワターニャって渡辺かな?


「家に居なかったら毎日4区の風見鶏亭で夕飯食ってるから7つの鐘の頃にいくといるよ。」

 

 そう追加情報をもらって魔道具屋を後にした。



 



総合評価が400ptを越えました。皆様ありがとうございます。これからも何卒よろしくお願いいたします。

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