20 大急ぎでお買い物
20 大急ぎでお買い物
結局ディーが起きたのは1時間後でした。起きたときのディーの焦りまくりの様子には笑った。
んで、奴隷商で思ったより時間を食ったのでちょっと早目だけどお昼御飯にしてしまいましょうということになった。
3区にあるレストランは夕暮れ時からのディナーしか営業をしていないようなので4区に行く。
中央の大通りから商店街に入っていくと様々なお店があった。各々のお店はさほど大きくなく何だか近所にあった商店街を思い出す。
木地の食器屋さん、お肉屋さん、隣に解体屋さん。向かい側には八百屋さん、酒屋さん、豆屋に洋品店。
靴屋さん、粉屋さん、穀物屋さん。貴金属屋さん、本屋さん。刃物屋さん、騎獣具屋さん。生地屋さん、喫茶店、飲み屋さん。植木屋さん、またまたお肉屋さん。
牛乳屋さん。卵屋さん、食堂。お魚屋さんにもう一軒酒屋さん。雑貨屋さんに寝具屋さん。穀物屋さんに紙屋さん。
そして魔導具屋さん。ここは心引かれるのよね後で寄ってみよう。
はー、こうして見ると4区でけでも色々なお店があるなぁ。区ごとに品物のグレードは違うが購買層が違うので競争たりえないのかな。
初めて辿り着いた街はドランだったがお金は無いし気持ちに余裕は無いし配達の仕事はしたが途中で靴擦れが酷くてディーに抱えられるように移動してノルマをこなすのに一杯一杯だったからこうしてゆっくり見るのは楽しい。
わたしとディーは食堂に入ってその日のランチを注文した。
今日のランチはモーギュウのワイン煮と黒パンが500ペレ。ごろっと入っているお肉は牛肉と同じ味がする。柔らかくてしっかり味が染み込んでいる。
材料は牛すね?、赤ワイン、玉ねぎ、にんじん、セロリ、後はローリエの香りがする。それとこのちっちゃい黒い粒々は何だろう? たまに胡椒ポイ味がするんだけどこれかな?
給仕のお姉さんに聞くとニゲールだと教えてくれた。どうやら胡椒の代用品らしい。
代用品か・・・
こっちの主食はパン。固くて黒いやつ。イースト菌による発酵は無いようだ。天然酵母位はあるのかな? 解んないな。
基本スープに浸して食べる。それぐらい硬い。もはやこれをパンと言ってイイのかというレベルだ。
三温糖を売らずに残こしているから天然酵母種を仕込んでみようかな。上手くすればそこから増やしていけるかも。
もしくはスイトンみたいな団子状の粉もん。あるいは麦がゆ。
米はあるにはあるけど長いインディカ米みたいなやつ。独特の香りがあるから和食で白いご飯が好きな人には不評だが パエリヤとかにはいいんだよね~
後は汁気の多いおかず、カレーとかシチューとか。スパイシーな味付けにも合うし、以外に美味しい。
とはいえ、それは各種調味料の揃った日本での話。ここでは基本味付けは塩。後はハーブ類。香辛料は薬の扱いだ。砂糖も貴重。
街中でお菓子屋さんが一軒も無かった。パイとかだったらあってもよさそうなのに。
「口に合わなかったか?」
「へ?」
「いや、難しい顔してるから。」
「違うよ、ちょっと考え事。」
取りあえず教会で調べてみれば先へは進まない。ご馳走さまと挨拶をしてついでにお姉さんにハーブの売っているお店を聞く。と、どうやらギルドの直売所のようだ。塩、砂糖、香辛料、等はギルドの管理下にあるようだ。
昔は日本も塩と煙草は専売公社だった。
ギルドか、随分手広くしかも浸透している。下手すると国より力があるんじゃないか?
教会は2区にある。ギルドの直売所は4区だ。ギルドの直売所に寄ってから教会に行こう。
5区にあるギルドは門に近く探索系ギルド、商業ギルド、生産ギルドに別れている。普段使うのはここ。仕事の依頼、買い取り、新規登録が主な業務だ。
4区のギルドは直売所や住民の依頼、街の中の業務だ。
2区にあるギルドはドランの統括ギルドで報奨や懲罰等所謂法的な部分を担っているらしい。
特許的な事務手続きはここだ。
で今は4区のギルドの直売所だ。
何処かな? あぁ、中央通りを渡った向こう側だ。長い倉庫のような感じで入り口は1つ。入るとゲートカウンターがある。
そのまま中に入ろうとしたらカウンターのお姉さんに声をかけられた。
「いらっしゃいませ、受付をお願い致します。」
ギルドカードの提示を求められた。手続きをすると首から下げる札を渡された。ディーと二人して首から下げた。
「庫内で買取りされたものは此方で商品の受け渡しとお支払になります。取引の際にそちらの札を提示なさってください。では行ってらっしゃいませ。」
送り出されて行けば箱のようなお店が並んでいる。カウンターがあってお店の人に商品を出してもらう形式のようだ。
お客さんもそう多くなくゆったり買い物出来そうだ、
あぁ、何かここでも時間食いそう。
「あ、石ころが売ってる。」
「石ころって、あれは魔石だ。」
「魔石。」
んーと? どっかで聞いたぞ。『・・・魔石とか補助に必要だし、思うほど儲からないと思うぞ。』
あぁ! 思い出した! クワエの氷売りのおっちゃんだ!
興味を引かれてフラフラとお店に寄っていく。
へぇ、こういう物だったんだ。
カウンターの奥の棚に陳列されているのは比較的大きな乳白色の丸い石だ。ピンポン玉位の物からテニスボール位の物、一番大きいのはハンドボールのボール位の大きさだ。
あとカウンターの上に木皿に入った小指の先位に小さいく歪な石。
「この小さいものでいくらですか?」
「こちらは空の屑魔石ですので1つ100ペレです。」
「これはどのように使えるのですか?」
「そうですね、大概は火の魔法を入れ付け火に使いますね。小さなものなので魔力もさほどはいりませんので10回程度でしょうか。」
100円ライターみたいなものか。何かに使えるかな。
「随分安いんだな、他では屑といえどもう少しするが?」
「そうですね。他の街ですと500ペレ位ですが、ドランではケミカル妖虫の魔石がかなりの数で出ますので他の街よりお安いんです。」
「これ用量内だったら何の魔法でも入れられるの?」
「はい、大丈夫ですよ。」
よし買った!
「じゃあこの魔石100個下さい。」
「かしこまりました。では札の提示をお願いいたします。・・・・・はい、確かに承りました。商品の受け渡しはカウンターにてお願いいたします。お買上ありがとうございました。」
後は糸が必要かな。
「屑魔石なんて何に使うんだ?」
「うん、後でディーにも手伝ってもらうから家に帰ったらね。」
外でアイデア話すのはちょっとね~
「ほら、次行こう。」
香辛料と香草を探さなくては!
と意気込んだがそう広くない倉庫だ見渡せばすぐに見つかった。
「すみません、料理に使える香草を探しているのですがどんなものを取り扱ってますか?」
「数が多いからね、どんなのにつかいたいんだか言ってくれれば出すよ。」
「肉の臭みを消すのと、煮込みの薫り付け、ピリッと辛味があるのと清涼感の有るものが欲しいです。あとあれば甘い香りのする物を。」
「肉の臭み消しにはサウジ、ローマリン、煮込みのにはテーム、ラウリエル。ピリッと辛味か、ニゲール。辛いのはアルバ。清涼感はミンツ、メリッサかね。甘い香りってのは扱ってないね。」
サウジはセージ、ローマリンはローズマリー。テームはタイム、ラウリエルはローレル。ニゲールは黒い粒々? アルバは白い粒々?。ミンツはミント。メリッサはレモンバームかな?
バニラビーンズは無かったか。残念。
ミンツは生葉なので1束、束の大きさはスーパーで売ってるホウレン草の束ぐらい450ペレ×2=900。他は乾燥葉や種?なので1袋100g780ペレ×6=4680ペレ。結構イイ値段です。各1づつお買上。
後はケミカル妖虫糸の生糸1束、200ペレ。
あとあと! 塩! 粗塩を5kgこれが高い! クワエの街で買っときゃ良かった。1kg3000ペレ。しかも砂混じり。わたしが売った食塩が高いわけだよ。
ついでに砂糖の値段もチェック。黒砂糖で1kg1万ペレ。高ッ! そりゃ街中に甘いもの売って無いわけだよ。庶民には中々手が出ない値段になるもん。
締めて30780ペレ。カウンターで品物ともらってお金を払う。その際双方で商品と品質のチェックをする。問題なければお支払で終わり。
ここに買い物に来る人は自分で商売をしている人が殆どらしくどの人もアイテムボックスにさっさと仕舞っているのでわたしもストレージにしまいこむ。
倉庫を出ると陽は既に中天を越えていた。
おぉう! 急がねば! 次は教会だ!
いつもいつも出来上がりが遅くて申し訳ありません。読んでいただいている皆様に感謝感激です!
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