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18 この世界の就業案内

18 この世界の就業案内



「どこから説明したもんかな。」


何やら考えているようで炊事場から戻ったディーはわたしの向かい側に座る。


「俺は説明とか得意じゃないから解りずらかったら途中でもいいから聞いてくれていいから。」


そう前置きをしてディーは話し出した。


「俺たちが今居るこの土地はラスター大陸と呼ばれている大陸の西南部ロドニア国エルダー領だ。ラスター大陸の主神はフィシオノシア様だ。ラスター大陸では5才で洗礼を受け、フィシオノシア様の恩恵を戴く。俺の場合は《剛力》だな。15才が成人で職能を得る事が出来るが大体家系職能がある場合のみだな。」


「ち、ちょっとタンマ。土地の名前までは大丈夫。その次の主神って何?」


「その大陸のことわりを決める神だ。」


「存在するの?」


「勿論。」


「会ったことあるの?」


「あるぞ。初めて御逢いしたのは5才の洗礼の時だな。神殿で拝謁を申し込めば誰でも御会いする事が出来るが?」


リアル神様来たー!


「わたしでも?」


「勿論。あ、でもチカは洗礼を受けてないよな? そうするとどうだろう? 神殿で聞いてみるといい。」


「・・・日本では神様には会えないもんなんだけどな。」


「そうなのか? 」


「だったらお願い事叶いまくりだね。」


「願い事? 願いは自分で叶えるものだろう? フィシオノシア様には成したことを報告するんだぞ。そうすると新しい恩恵をいただけたりするんだ。」


「・・・成果主義の神様なのね」


所変われば常識が変わるがそう甘くはないのだね(笑)


「続けて大丈夫か?」


「恩恵と職能っていうのは?」


「恩恵はチカの《収納》みたいなものだ。職能は特殊技能を必要とする職業だな。大抵は家系で世襲していくものだ。《酒造》が有名だな。後は《調薬》《鋳造》とかだな。」


「ということはそういう職業は新参ものには厳しいってことね。」


「ダメってワケではないが代々の経験と実積がある方が有利だからな。どうしてもなりたい奴はそこに弟子入りするしかないな。」


「みんな15才で職業を決めるの?」


「いや、実際はそれより早い。7才ぐらいから見習いで入るな。だから努力したものは15才で職能を貰えるんだ。」


「ディーは?」


「俺は無い。職能は生産業種がほとんどだ。」


「それで土地を勝手に開墾したり出来ないっていうのはどういう事?」


「その街々に開墾率っていうのが決まっているんだ。やたらめったら開墾してしまうと森にしか生えない貴重な薬草などが無くなってしまうからな。その管理は領主が行っている。守らないとフィシオノシア様の罰が下る。」


「なにそれ怖い。」


「普通に生活をしている分には何の問題もない。フィシオノシア様は『憎しみにより殺すことなかれ、欲望により盗むことなかれ、悪意により騙すことなかれ』と仰っててそれに触れなければ問題無い。」


「街の住人が増えて食糧難とかになったりしないの?」


「街は職業によって住み分けされていてなドランは《織物の街》ネーシャは《染物の街》サーザンは《農業の街》クワエは《貿易の街》ウキナは《林業の街》テクヨは《鍛冶の街》だ。全ての生産物はギルドによって管理され公平に各街に供給される。だから運搬の仕事が途切れなくあっただろ? それでだが街の定住者の人数は大体定数だな。専門職の街で腕を磨いてよその街にギルドを通して派遣依頼される形になる。」


何か公務員みたい。


「ということは勝手にその街で開業出来ない?」


「そうだな。店舗がギルドの持ち物だからな。後は露店商か行商だな。あれは街から街へ定住地を持たない、持てない者がやるもんだ。」


「だからイソガルさんの息子はあんなにバルディアだっけ? の縁故を欲しがってたの?」


「そうだ、露店商や行商は街への定住権を持ってない。最終的には街で開業するのが目標だろう。バルディア国は新興の国だから移住して定住権を得ることが出来るかもしれないと噂にはなっていたな。」


はぁー、成るほどね。


「じゃあもしかしてディーの独立計画って結構大変なの?」


「そうだな。俺はそもそも奴隷だし、それを抜きにしても冒険者以外で使えるような特技は無いしな。」


「定住権を手に入れる条件は?」


「金で買うか、新しい職能を見つけるか、弟子入りするとかかな。」


「因みにお金で買うなら?」


「確か1千万ペレ位だったと思う。」


1千万ペレ・・・ 大金だよね。今お金って幾らあったかな。商業ギルドにわたし名義の預金が200万ペレ、ディーの名義の預金が100万ペレ。手持ちが端数をはぶくと140ペレ。全部合わせても450万ペレ。


う~ん、ドードを乱獲すれば届かない額じゃないか。でもなぁ、お金があっても職がなきゃ定住権得たとしてもすぐに手放すはめになりそう。

それじゃ困る。


一番良いのはディーに新しい職能を生やせる事かな。


「現在得られている職能を全部知りたいと思ったらどこにいけばいい?」


「神殿だな。まさか新しい職能を探すつもりなのか?」


「うん。それが最善だと思う。」


ディーは呆れたようにため息をついた。


「チカはホント思いもかけないような考えをひねくり出すな。」


「まぁ、調べてみても損はないじゃない。」


出来るか出来ないかはやってみなけりゃ分からない。何事も成せばなるだ。成らぬは人が成さぬなりってなもんよ。





説明回です。分かりにくかったら御一報いただけると参考になりますのでよろしくお願い致します。

ブクマや評価、感想などをいただけると小躍りして喜びます。のでよろしくです。

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