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「UWって、そもそも何なんですか?」(前編)

 薄暮の空の下、いまだ監視を続ける弥生と滋。が、空を見上げるのは滋のみで、退屈した弥生は滋に買ってこさせたバーガーを頬張りシェイクをストローで吸って、頬杖をついてファッション雑誌を読み耽る。職務怠慢でも、新人の滋に文句はない。初仕事の興奮もあって真面目に四方天を仰ぐ。ただ、魔法使いらしき影は一向に現れない。そのうち滋も退屈となってくる。ふと同じ歳の女の子にこき使われている我が身を考える。三人の姉を持つ彼にすれば女に使われることは普段の生活でもよくある。これにも文句はない。慎ましくもなくちょっといい加減と思われる弥生の性分も三人の姉を見ていれば慣れたものである。三人の姉を例にしてみると、どれもやはり家の中では横柄で、愚痴も言えば嫌味も言う。大口開けて馬鹿笑いをしているときもあれば、だらしなく寝間着姿で半日過ごしていることもある。ところが、これまたどれも恋人の前ではしたたかに豹変する。着るもの、化粧と隙なくめかし込んで、外見のみならずその内面をも大人しく慎ましく衣を変えると、笑い方すらおしとやかに、立ち姿すら凛とする。気を入れるところは気を入れて、気を抜くところは遠慮なく抜く処世の術は、滋には到底真似できない。この情理を物差しにして言えば、初対面の滋を前にする弥生の無防備は、つまり滋を惹かれる異性と見ていない。滋もまた、弥生の性分が姉たちと等しいなら彼女のことを姉妹兄弟ようにしか見えなくなる。初見の印象では共に恋はない。恋はないが、新人の滋はこの業界の先輩として弥生に少し興味がある。


「あの、弥生さんはどうしてこの組織に入ろうとしたんですか?」


「私? そりゃあんたと同じで普通の人にはない能力があるからよ」


「そうですか…」


「何あんた、組織に入るの、あまり気乗りしないの?」


「気乗りしないというか、自信がなくて… 僕はあまり運動も得意じゃないし、特技といっても結界は全然使いこなせていないし、誠司のような戦いは僕には絶対にできないと思うんですよね」


「ああ、あいつと比べちゃいけない。あいつは運動能力に関しては化け物だから。あいつは世界で見てもトップクラスの戦闘タイプよ。単純に武器を使っただけの格闘であいつに勝てる人なんて、もしかしたらいないんじゃない。それぐらい飛びぬけているの。でも馬鹿だし。ちなみに運動だけなら私だって人並みよ。一般人の中でもちょっと運動神経がいいほうといった程度なんだから。魔法力だって、口惜しいけど、まだまだ全然だし」


「そういう、ものなんですか…」


「そういうものよ。組織の中には魔法も能力も使えない一般の人だってたくさんいるんだから、むしろあんたや私みたいな人は希少なほうよ」


 返事をするときは雑誌に目をやるが、話を聞くときはしかと相手の目を見る弥生の態度は、滋にして悪くない。彼女は基本的に真面目で面倒見が良いと直感する。弥生も弥生で、滋が唯の臆病で甲斐性なしで人と会話もろくに出来ない小心者ならどうしようかと思っていたが、自分から話しかけてくるなら、その不安も少しは消える。



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