身勝手な日曜日
俺の周りはどうしてみんな幸せそうな顔の奴が増えたのかな?
誰か分けてくれたっていいじゃない。
夜中に隣の家のエセお嬢に会って、泣きそうな顔がカノジョを思い出してしまい話を聞いてあげると言った。
あの雨の月曜のカノジョに。
そしたら土曜日はエセお嬢に捕まり、全部話を聞いてあげた。
話を聞く前にすでにすっきりした顔してたけど。
あの次の日のカノジョのように。
実は俺は知っていた。
カノジョが好きになったのは、うちの兄貴だって。
言えるわけなかったけど。月曜は必ず大学に行く。
家からじゃないけど。
いつもバイクだから雨の日くらいしか歩かない。
女をとっかえひっかえ。
そして水色の傘。
あの話を聞いた次の日には、すっきりした顔してて、何聞いてもはぐらかされて。
しかも兄貴もいつも心此処にあらずだって顔してたくせに、水曜には元気になりやがって。
なんだって言うんだ?
何があったんだよ。
誰も教えてはくれやしない。
「全くどいつもこいつも…」
「何かあったの?」
独り言に突っ込まれ、体がビクンとする。
弾けるような笑い声が当たりに響く。
「驚きすぎだよー。」
笑いやまないのはカノジョだった。
たまたま本屋に漫画を立ち読み来た。
いつもなら誰も会わないはずなのに。
「何してんの?」
俺の的を得ない質問にキョトンとしながらカノジョは答える。
「本買いにきたんだよ。
何かおかしかった?」
カノジョはとびきりの笑顔を向けてきて、俺は不覚にも顔を赤らめそうになった。
「休みの日に本屋で人に会ったことなかったから。
驚いたの。」
言い訳がましく説明すると、カノジョは納得してくれたようだった。
なぜか2人で店内から出て、お腹がすいたというカノジョと近くのファーストフード店に入る。「テイクアウトにしない?
今日暖かいからさ、公園で食べようよ!!」
カノジョは勝手に決めてしまう。
まぁ反論はないんだけど。
気が付くといつもカノジョのペース。
からかったのだってあの日くらい。
分かっている、自分の気持ちくらい。
好きなんだよ、カノジョのことが。
「あのさー…」
意を決して言葉にする。
「ん?なぁに?」
ハンバーガーにかぶりつくカノジョに向かって。想い口から出してみる。
「俺、お前のこと好きなんだ。」
完結しました。恋をすることでひとつ大人になる姿を描きたく書きました。ここまで読んでくれて有難うございます。