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憂鬱な月曜日

毎日更新致します。

また今日から一週間が始まる。



月曜日は嫌い。


雨の月曜日はもっと嫌い。



あの人に逢ってしまうから。


あの人は水色のビニル傘で歩いているから。


そして必ず横に誰かいるから。






月曜日の朝まず一番はじめにすることはカーテンを開けて空を確かめること。

そしてひとつ大きく溜め息。

私の願いを嘲笑うかのように、そらから大粒の雫。


それでも私はいつもと変わらないように学校に行く支度をする。

いつもと同じ時間に家を出る。

いつもと同じ駅への道を行く。

いつもと違い、傘を片手で差して。


私の昼ご飯はコンビニで買う。

サラダとメロンパンとミルクティー。

いつもと同じトーンがおかしい声の店員にお金を払い、店を出る。


8時10分程度前。


入り口で傘立てに差した傘を引き抜き、傘を空に向かって開く。


丁度、目の前に現れる。


水色の傘を差したあの人と、あの人に肩を抱かれた女の人。


私のことは見向きもせずに通り過ぎる。



当たり前だ。


だってあの人は私のこと知らないもの。

雨の日に逢う女子高生程度。

いや、それ以下の風景の一部か。


彼に見えている世界は、雨と水色の傘と、

いつも隣にいる違う女の人くらい。



だから、雨の月曜日は憂鬱だ。

私は風景でしかないから。


どうでもいいことだけど。







「それは、好きって言うんじゃない?」


憂鬱な私に興味を持った隣の席のヤツが聞いてきたので話したら、そんなこと言ってきた。


「は?何で知りもしない人のことを好きになるのよ。」


やっぱり話すんじゃなかったって後悔した。

口に出してしまったら、それが事実になるから。

私の想いが形をなしてしまうから。


「一目惚れだね。いいねーせいしゅんだ!」


私は隣で騒ぐヤツを無視して、机に突っ伏した。


一目惚れ?


そんなんじゃない。


そんなんじゃ…


「でも見てるだけじゃ何も変わらないよ。

口は人に伝えるためにあるんだから。話ししてみたら?」


尚もヤツは私を追い込みたいらしく、隣でペラペラ喋っていた。


月曜日の雨の日しか逢わないって言ったのに、どうやって伝えるんだよ。

しかもいつも違う女の人連れてるのに、どう話しかけるんだよ。

ヤツに言っても仕方ないので、心の中で呟く。



午後は打って変わっての晴天だった。

雨上がりの午後は水分を含んだ風が頬をなで上げる。

こみ上げる気持ち悪さで、尚も憂鬱は続く。


私はいつもの道を通って帰りたくなかった。

ヤツに話してしまった後悔が胸の中で渦巻きそうだったから。

遠回りになるが迂回経路を選ぶ。


いつもと違う道は気持ちを晴れやかにする。

片手に持った傘を振り回し、空を見上げながら歩く。



「月曜日の雨の日の朝はいつもあなたを見ていました。

水色の傘と、いつも違う女の人。

それでも私はあなたが気になっていました!」


一人で口に出して満足した。

私は幸せな気分で前に歩く人たちを追い越して、家路を急いだ。





憂鬱な月曜日がまた訪れたら、きちんと伝えよう。

あなたが気になっていることを。


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